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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年10月10日(金)

 今朝の閣議において、法務省請議案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告があります。
 まず、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」の実施状況について申し上げます。
 昨今、多くの国民の皆様方の間で不安が高まっている中で、国民の皆様方の安全・安心をしっかりと死守していくという趣旨で、出入国在留管理庁においては、今年の5月23日に私から公表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に掲げた施策の着実な実施を進めています。
 ゼロプランに係る取組は始まったばかりですが、その実施に際して、国民の皆様方の御関心が極めて高いこともあり、できるだけ速やかに実施状況を説明するために、この機会に集計し、速報値として公表することとしたところです。
 ゼロプランの実施、これは着実に施策を実施しているところです。開始から3か月ということであり、今後更なる成果が上がるものと考えていますが、まずは現状の報告ということで申し上げたいと思います。
 直接的な効果が一番見やすい項目ということで、ゼロプランの取組の柱の1つである護送官付き国費送還の実施状況を申し上げたいと思います。退去強制が確定した外国人を本年1月から8月までに203名送還しています。
 昨年の同じ期間、1月から8月までの実績が144名でしたので、約1.4倍ということで、成果が上がっているものと考えています。
 特にこのゼロプラン公表実施後の6月から8月までの3か月間の送還人数を申し上げれば、昨年の同時期の3か月で58名でしたが、2倍以上である119名で、その成果は顕著であろうかと考えています。
 さらに、護送官付き国費送還の実施を強化していくことで、自発的に帰国する方が増加するといった効果があるとも考えています。
 今後もゼロプランの下、退去強制が確定した外国人を速やかに送還するなど、不法滞在者ゼロの実現に向け、国民の皆様方の安全・安心を守るべく力を尽くすよう、出入国在留管理庁にも指示しているところです。
 2件目ですが、「経営・管理」の在留資格に関する見直しについて申し上げます。
 この在留資格について、その許可基準を見直すための省令改正を行います。改正省令については、本日10月10日金曜日に公布されたところです。そして今月の16日、来週の木曜日に施行される予定です。
 この「経営・管理」の在留資格については、許可基準が諸外国の同様の制度と比べて緩く、一部の外国人に移住の手段として悪用されている等の指摘がされていたところであり、また、在留審査において事業の実態がないと判明する事案が散見されるなどの問題も指摘されてきたところです。
 このような問題に速やかに対処するために、今年の5月、私から出入国在留管理庁に対して、許可基準の適正化に向けた検討を指示し、改正作業を進めていたものです。
 この度の「経営・管理」許可基準についての主な見直しの内容ですが、資本金の額又は出資の総額を現行の500万円から3,000万円に引き上げること、経営者として在留しようとする者に対する学歴・経歴要件を新設すること、そして1人以上の常勤職員の雇用を義務付けるほか、申請者又は外国人の常勤職員に相当程度の日本語能力を求めることとしたものです。
 今後の新たな許可基準の下で、経営活動等を通じて我が国の経済社会の発展に貢献いただくという、この在留資格の本来の趣旨に即した運用を行って、実態調査にも一層努めながら、適切な在留管理に努めてまいる所存です。

「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に関する質疑について

【記者】
 まず、冒頭御説明があったゼロプランについてなんですが、成果が上がっているとの御発言もあったかと思いますけれども、改めて現状の実施状況をどう受け止めていらっしゃるのかという大臣の評価、今後の課題ももしあれば、それも含めてお願いします。
 
【大臣】
 ゼロプランに係る取組ですが、5月23日に公表、その後実施ということで、まだ開始したばかりであり、その効果について分析・評価をするには期間がまだ短いという状況ですので、今後の状況について、その推移等をしっかり注視していく必要があるのではないかと考えています。
 今までのこの推移を見る限りですが、護送官付き国費送還について申し上げれば、ゼロプラン公表後の今年の6月から8月までの3か月間、これは先ほど申し上げましたが、119人の送還を実施していまして、去年の同じ時期の58名の2倍以上ということで、着実に実施できているという評価をしています。おそらく今後、更なる結果が出てくるものと、我々としては考えています。
 また、精緻な数値があるものではありませんが、入管庁からは、長期間にわたって仮放免となって送還を拒んでいた者の中で自発的に帰国の意思を示す者が出てきている旨の報告を受けています。
 こうした報告を踏まえれば、引き続き、護送官付き国費送還を着実に実施していくことで、自発的に帰国する者が増加することにも繋がると期待しています。
 そういう中にあって、不法滞在者をゼロにしていくための取組としてのゼロプランですので、退去強制が確定した外国人の速やかな送還等を、国民の皆様方の安全・安心の死守に向けて、私どもとしても全力を挙げてまいりたいと考えています。
 
【記者】
 先ほど成果について御発言もあったと思うんですけれども、一方で、その不法滞在者ゼロプランに対しては、様々な懸念の声が上がっております。日弁連は5月の会長声明で、国民の安心・安全に何ら脅威を与えず、保護されるべき外国人の人権を侵害するおそれが高く、国際人権法に反するというふうに批判しております。難民支援協会は、日本で保護を必要とする難民の送還拡大に懸念を示しています。アムネスティ・インターナショナル日本も、外国人への差別助長のおそれが強いというふうに批判しています。こうした批判の声に対して、どのようにお答えになるか改めてお願いします。
 
【大臣】
 これまでも様々な機会で申し上げていますが、当然のことながら、私どもとしては、秩序ある共生社会をしっかりと作っていくという趣旨の中で、ルールを守らない外国人の方には日本から退去いただくという方針の下で行っています。
 まさにそういったことの中で、不法滞在者ゼロをしっかりと目指して、きちんと送還をしていくことは、やはり国民の皆様方の安全・安心を確保していく上でも極めて重要なことだと考えています。
 そういった中で当然のことながら、私どもとしても、決して排外主義であるとか、そういったことは、断じてあってはならないと考えていますし、そういった趣旨の中で、秩序ある共生社会をしっかりと作っていくための取組を着実に進めているということで、御理解いただきたいと思います。
 

在留資格「経営・管理」の許可基準根拠等に関する質疑について

【記者】
 経営管理ビザの件で、基準の見直しということで、1つ大きいのがこの資本金500万円から3,000万円ということだと思うのですが、その3,000万円という数字のですね、根拠みたいなところを説明していただきたいのと、あと今回課題となったのはやはりペーパーカンパニーですね、経営実態がないものがあるということで、そういう意味ではこの要件の厳格化だけじゃなくて、その申請して、それが通った後の経営実態の追跡というのも大事かなと思いますけれども、その点ではですね、どのように調査体制を強化していくか、お考えをお聞かせください。
 
【大臣】
 まず、この新たな許可基準における資本金等の額、この3,000万円ですが、これは事業経営の安定性や日本経済に資する事業の規模という観点から、法人企業の経営実態に関する統計、これは国税庁のものですが、その統計において、法人の資本金階級別で欠損法人よりも、利益計上法人が多くなるというのが、大体2,000万円超から5,000万円以下の階級ということが、私どもとしてはあるのかなと考えています。
 また、他の諸外国の同様の制度における要件等も参考として検討したところであり、その結果として、要件とする資本金の額は「3,000万円以上」というのが適当ではないかと判断したところです。
 その上で「経営・管理」の在留資格の適正な運用ということで、経営実態の把握や調査体制強化が極めて重要だと考えていますが、まさにその上では、事業の実態に疑義がある事案についての実態調査を行っていくことも極めて重要だと考えています。
 当然その体制強化もやっていかなくてはいけないと思いますが、現状、例えば事業計画を提出をしてもらうことで、しかもそこに様々な中小企業診断士等の者に関わってもらうという事前のチェック、あるいはその更新のときにも、それを提出してもらうことでのチェック、さらには、公租公課の支払い義務の履行状況の確認も新設しているところであり、おそらくそういったところから、実態がより把握できるようになると考えています。また、これまでは必ずしも求めていなかった事業に係る必要な許認可の取得状況等を証する資料についても、提出を求める形での制度的な改正も行っています。
 まさにそうした事前のチェックと、そして更新時を中心とした、事後の動いている中での実態のチェックをしっかりと把握できるよう制度的にも実態面においてもしっかりとした充実を図ってまいりたいと考えています。

「帰化」と「永住許可」の要件に関する質疑について

【記者】
 外国人政策について、関連でお伺いします。日本国籍を取得する「帰化」をめぐり、先の国会では日本国籍を取得せずに日本で暮らす「永住許可」の要件と比較した上で、「帰化」が「永住許可」よりも必要な継続在留期間が短いことに対する疑問の声や制度の齟齬を指摘する声が出ておりました。見直しの必要性なども含め、大臣のお考えを伺います。
 
【大臣】
 国会でも御答弁申し上げたところですが、そういったところの齟齬は当然あってはならないものだと考えています。
 永住許可よりも帰化の方が容易に認められる可能性があるのではないかといった指摘があったこともまた事実です。
 帰化を許可するかどうかについては、国籍法の定める帰化条件の充足の有無を中心としながら、個別の事案を踏まえて、これまでも厳格に審査を行っていますが、そうした指摘や私どもの問題意識も踏まえて、帰化が永住許可よりも容易であるといった誤解を招くことがないように、厳格にこれまでも審査をしておりますけれども、そうした審査のみならず、要件等においても、永住許可との整合性をしっかり確保できるように、速やかに検討を行うよう、私からも指示しています。

再審法の見直しに関する質疑について

【記者】
 再審法の見直しについてお尋ねいたします。法制審の専門部会では14項目の論点の議論が間もなく一巡する見通しかと思いますが、いつ頃までにその改正案をまとめたいのかというスケジュール感を教えていただければと思います。
 併せまして、先日議員立法での再審法改正を目指す超党派の議連の総会が開かれましたけれども、再審法の専門部会の議論に関しまして、議事録の公開では不十分だということで、国会審議に必要ということで、モニターでもいいので、傍聴させて欲しいという要望がありました。これについての受け止めを教えてください。
 併せまして、議員立法によるこの法改正の動きについて受け止めを教えてください。
 
【大臣】
 今御指摘のあった法制審議会刑事法(再審関係)部会においては、今年の4月から現在まで合計7回の会議が開催されています。順調に審議が進めば今月14日、来週の火曜日に開催予定の第8回の会議において、一巡目の議論を終える見込みと承知しています。
 その上で、今後のスケジュールですが、これは審議の状況にもよることから、現時点で確たることを申し上げることは、困難であることは御承知いただきたいと思いますが、いずれにしてもなるべく早期に結論を得ることができるよう、私どもとしても期待しています。
 そして、モニター傍聴の要望に関するお尋ねですが、自由な議論を確保する観点から、法制審議会の議事規則上、会議は公開されないこととされています。そういったことを踏まえ、法制審議会において判断されるべき事柄と我々としては考えています。
 議員立法についてのお尋ねもありましたが、ここは行政府の長の法務大臣として、この会見に臨んでいますので、議員立法に関わる事柄の所感をこの場で申し述べることは、差し控えさせていただきたいと考えています。
 いずれにしても再審制度の在り方については、国民の皆様方の関心も極めて高いので、法制審議会においても十分な調査審議が行われ、できる限り早期に答申をいただけるよう、我々としても尽力をしてまいりたいと考えています。
(以上)