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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和7年11月11日(火)

 今朝の閣議において、法務省請議案件として法律案が1件、その他について1件、閣議決定されました。
 続いて、私から、「更生保護制度の充実を図るための保護司法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことについて申し上げます。
 本法律案は、保護司の安全確保を含めた持続可能な保護司制度の確立を始めとして、更生保護制度の充実を図るための法整備を行うものです。
 我が国の更生保護において、中核的な役割を担っている保護司は、社会環境の変化等に伴い、担い手の確保が次第に困難となっており、高齢化も進んでいます。
 また、保護司がその活動中に、犯罪被害に遭う事案も発生しています。
 こうした状況に対応するため、法務省では、保護司の適任者確保や活動環境の改善、保護司の安全確保のための様々な運用上の取組を進めてまいりました。
 その上で、本法律案は、法改正によらなければ対応できない事項や施策を更に推進するために必要な事項を盛り込んでいます。
 今後、国会において十分に御審議いただいた上で、速やかに成立をいただけるよう法務省として力を尽くしてまいりたいと考えています。

保護司法等の一部を改正する法律案に関する質疑について

【記者】
 冒頭御発言のあった保護司法改正案についてお尋ねします。
 改正案では、任期を現行の2年から3年に延長することや、担い手確保が主眼に置かれている内容かと思います。今冒頭御発言もありましたが、今回の改正の意義や期待することをもう少し詳細に教えてください。
 また、今回の改正案には保護司の報酬制の導入は見送られています。大臣は前月の就任記者会見で保護司個人の財政的な負担に言及され、問題意識をお持ちだったかと思います。保護司を持続可能性のある制度としていく上で、報酬や交通費などの負担についてどのようにお考えか改めてお聞かせください。
 
【大臣】
 本法律案は、保護司の適任者確保や活動環境の改善、安全確保等に関する法整備を行うものです。
 その中でも、昨年5月に滋賀県大津市で熱心に活動されていた保護司の方が、自宅で殺害され、当該保護司の担当していた保護観察対象者が逮捕されるという事案が発生しており、保護司の方々の安全確保は極めて重要であると考えています。
 私自身、この事案には大変な衝撃を受けており、亡くなられた保護司の方及び御遺族に哀悼の意を表するものです。
 保護司の皆様の活動は、安全で安心な地域社会を維持していくためにはなくてはならないものであり、私自身、常日頃から、保護司の方々の活動環境の整備などを進めるべきと考えていたものです。
 そして、世界に誇れる保護司制度を守っていくことは、法務大臣としての責務でもあると考えています。
 今後とも、幅広い世代かつ多様な方々に保護司となっていただけるよう、また、保護司の皆様が安全に安心して活動していただけるよう、引き続き、尽力してまいりたいと考えています。
 また、御指摘の報酬制については、「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」の報告書において、「保護司の無償性は、利他の精神や人間愛に基づく地域社会における自発的な善意を象徴するものであり、なお堅持していくべき価値があることから、報酬制はなじまない」とされています。
 この報告書は、議論の積み重ねの結果であり、これを尊重したところです。
 他方で、保護司の経済的負担の軽減は、重要な課題と認識しています。保護司活動をしっかりと支えていくため、保護司実費弁償金の充実などに引き続き努めてまいりたいと考えています。
 最後に、保護司の皆様の声を更によく聞き、その思いに寄り添いながら、実効性のある施策を進めてまいりたいと考えています。
 
【記者】
 先ほど保護司法等の一部を改正する法案が閣議決定されたということで、今回はその保護司の安全確保にも重点を置かれていると思います。地元滋賀県では非常に今もまだ保護司さんの間では非常にショックが大きくて、悲しみとか後悔とか何かできなかったんだろうかという話で非常に保護司の方々、心を痛めておられます。今回法律も改正案が出ますので、実際に現場で活動されている保護司さんに向けての何かメッセージはないでしょうか。
 
【大臣】
 本法律案では、面接場所の確保など、保護司の安全確保のための施策を国の責務として実施すること、保護観察対象者のアセスメントを強化することなどを規定しています。
 また、法務省ではこれまでも運用として、自宅以外の面接場所の確保、保護司複数指名制の積極的な運用、保護観察官の直接関与の強化などに取り組んでいますが、今回の法改正により、保護司の安全確保のための取組が、より一層効果的に推進することができると考えています。
 法務省としては、引き続き、多くの保護司の方々から活動に関する不安や御意見を丁寧に聞きながら、保護司の安全確保に万全を尽くしてまいりたいと考えています。

政治資金収支報告書に係る報道に関する質疑について

【記者】
 大臣の政治資金収支報告書によると、政党支部である自民党広島県第二選挙区支部と政治団体平口洋後援会は、2021年から23年の3年間で計約818万円のガソリン代を支出していると一部週刊誌が報じています。適切な支出であると考えるか。また、高額となる理由を伺います。
 
【大臣】
 この記者会見は法務大臣という立場で行っているものであり、一議員としての具体的な政治活動に関する詳細については、お答えを差し控えることを御理解いただきたいと思います。
 いずれにせよ、政治活動で利用した車のガソリン代について、政治資金規正法に則り、適正に処理しているところです。

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 死刑制度についてお聞きします。先週末より、立正大学で日弁連などによって東アジアで死刑制度に関するシンポジウムが3日間にわたって開催されました。結論でいえば、死刑は抑止力がありませんし、正義ではなく、復讐です。被害者や遺族の心のケアにはなりません。死刑囚にとって精神的な拷問と言わざるを得ません、などなどという結論になっているんですけれども、それに対して日本の政府は、いつも死刑はやむを得ない刑罰と強調していますが、説得力のある理由を説明いただけますか。やむを得ないという意味の説明をいただけますでしょうか。
 また、死刑制度についての、存続か廃止かについての国会での議論が必要ではないでしょうか。
 
【大臣】
 死刑制度の存続は、我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題であり、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等様々な観点から慎重に検討すべき問題であると認識しています。
 国民世論の多数が、極めて悪質で凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えているところであり、多数の者に対する殺人や強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況に鑑みると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないものと考えています。
 したがって、死刑を廃止することは適当でないと思います。
 
【記者】
 先ほどの質問との関連性があるんですけれども、先ほど大臣が読んでくれたメモは、私10回ぐらいは聞いたことがあるものですけれども、やむを得ないっていう意味は何でしょうか。どの理由でやむを得ないっていうことで、あと、また大臣は個人的に死刑制度ということは考えたことがあるのでしょうか。
 
【大臣】
 やむを得ないというのは、その言葉どおり、やむを得ないわけでして、死刑に相当する犯罪が行われたということは、事実ですので、そのような点から、死刑を量刑として認めることは、納得のいくことだと思います。
 
【記者】
 誰かを殺した人を殺していいっていう意味ですよね。
 
【大臣】
 いや、そうではないでしょう。
 
【記者】
 正義と復讐の違いはどこにあるんでしょうか。
 
【大臣】
 法務大臣としては、先ほど述べたとおりです。死を以て死をなすという因果応報の関係ではない。殺された状況、そういうものを見て、被害者が死んだ場合は必ず死刑にするわけではないわけでして、その時の状態などをいろいろ総合的に勘案して、死刑の判断をするものですので、おっしゃるような因果応報的な考え方ではないと思います。
(以上)