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第221回国会(特別会)衆議院法務委員会における平口洋法務大臣所信表明


はじめに

 法務大臣の平口洋でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、委員長、理事及び委員の皆様には、法務行政の運営について格別の御理解と御尽力を賜り、心より感謝、御礼申し上げます。
 改めてではありますが、法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、出入国及び外国人の在留の公正な管理といった重大な役割を担っており、法の支配のもとで国民の安全・安心を守るという重大な使命を与えられています。
 私は、これらの役割、使命を果たすため、皆様の御理解と御尽力を賜りながら法務行政に誠心誠意取り組んでまいりましたが、これからも一層気を引き締めて、以下の具体的課題に全力で取り組んでまいります。

法務行政の具体的課題への取組

1 安全・安心な社会の実現に向けた取組
 まず、安全・安心な社会の実現に向けた取組についてです。

(再犯防止に向けた取組)
 新たな被害者を生まない、安全で安心な社会を実現するため、「第二次再犯防止推進計画」に基づき、国、地方公共団体、民間協力者がそれぞれの役割を果たしつつ、相互に連携することで、再犯防止に向けた取組を推進します。
 先の国会で成立した保護司法等改正法の趣旨も踏まえ、保護司、更生保護事業者、協力雇用主等の民間協力者への支援の充実を図るとともに、保護観察所による更生保護に関する地域援助等の取組を通じて、地域における「息の長い」支援の充実強化に努めます。

(拘禁刑の理念を踏まえた取組の推進)
 再犯防止の更なる推進を図るという拘禁刑の理念を踏まえ、刑事施設で働く職員が使命感を持って職務に励み、併せて地域社会との連携を深めることで、個々の受刑者の特性に応じた処遇や社会復帰支援を推進します。

(公共の安全の確保)
 公安調査庁において、公共の安全を脅かし得る偽情報の拡散を含む対日有害活動、経済安全保障、サイバー空間上の脅威、国内外におけるテロ関連動向に関する情報の収集・分析等に努め、政府の施策に積極的に貢献します。
 北朝鮮に関して、核・ミサイル関連の動向、日本人拉致問題を含む対外動向や北朝鮮内部の状況等について、関連情報の収集・分析等を進めます。
 我が国の領土・領海・領空の警戒警備に関しても関係機関と連携し、適時の情報提供を行うなど、適切に対処します。
 いわゆるオウム真理教について、観察処分の適正かつ厳格な実施や「Aleph」に対する再発防止処分の実効性の確保等を通じた公共の安全の確保に努めます。

2 出入国及び外国人の在留の公正な管理を実現するための取組
 次に、出入国及び外国人の在留の公正な管理を実現するための取組についてです。

(出入国在留管理の一層の適正化)
 厳格な出入国管理を実施し、上陸審査手続の一層の円滑化を図るためのJESTAの創設等を行う、出入国管理及び難民認定法等改正法案につき、今国会での成立を目指します。
 また、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を強力に推進します。
 難民等の適切かつ迅速な保護・支援に取り組むなど、国際状況の変化に応じて適切に対応します。
 さらに、デジタル技術等の活用による出入国在留管理行政のⅮⅩの推進に努めます。

(外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現のための取組等)
 外国人材の適正な受入れのため、特定技能制度の適正化と令和9年4月の育成就労制度の運用開始に向けた準備を着実に進めるとともに、周知・広報に取り組みます。
 外国人との秩序ある共生社会の実現のため、本年一月に決定された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に基づき、関係省庁と連携し、外国人が日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラムの創設の検討や外国人の受入れの基本的な在り方に関する基礎的な調査・検討などの各種の取組を進めます。
 また、外国人の入国及び在留の管理に関する施策の基本となる計画として、第二次出入国在留管理基本計画を策定します。

3 時代に即した法務行政に向けた取組等
 次に、時代に即した法務行政に向けた取組等についてです。

(刑事再審手続に係る法整備)
 刑事再審手続が非常救済手続として適切に機能することを確保するため、証拠の提出命令制度の創設等を内容とする刑事訴訟法改正法案につき、今国会での成立を目指します。

(危険運転による死傷事犯に係る罰則の整備)
 危険・悪質な運転行為による死傷事犯に厳正に対処するため、危険運転致死傷罪の飲酒類型や高速度類型への数値基準の導入等を内容とする自動車運転死傷処罰法等改正法案につき、今国会での成立を目指します。

(売買春に係る規制の在り方の検討)
 売買春に係る規制の在り方について、近時の社会情勢などを踏まえ、必要な検討を行います。

(成年後見及び遺言の制度に関する法整備)
 成年後見及び遺言の制度について、高齢化の進展等に対応し、国民がより利用しやすいものとするため、後見及び保佐の制度を廃止して、補助の制度の対象を判断能力が不十分な者全てに拡大するとともに、電子データをもって作成する遺言の方式を創設することなどを内容とする民法等改正法案及びその整備法案につき、今国会での成立を目指します。

(所有者不明土地問題への対策等)
 相続登記・住所等変更登記の義務化は、所有者不明土地対策の中核であり、関係機関と連携し、周知・広報などに取り組みます。
 また、登記所備付地図の整備について、新たな地図整備計画に基づき、地図作成事業を推進します。

(司法の体制整備)
 裁判所の事務を合理化・効率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減ずることを内容とする裁判所職員定員法改正法案につき、今国会での成立を目指します。

4 困難を抱える方々への取組や国民の権利擁護に向けた取組
 次に困難を抱える方々への取組や国民の権利擁護に向けた取組についてです。

(犯罪被害者等への支援等)
 犯罪被害者等に対して、「第五次犯罪被害者等基本計画」等に沿って、法テラスによる「犯罪被害者等支援弁護士制度」の運用の充実を含め、きめ細やかな支援を実施します。
 また、関係府省庁等と連携し、引き続き、性犯罪・性暴力対策を進めます。

(困難を抱えるこどもたちへの取組等)
 「児童虐待防止対策の更なる推進について」も踏まえ、関係機関と連携し、児童虐待の根絶に取り組みます。
父母の離婚等に直面するこどもたちの利益確保のため、引き続き民法等改正法の周知に取り組みます。
 
(様々な人権問題等への対応)
 様々な人権問題への対応について、関係省庁等と連携し、人権相談や調査救済活動を充実強化すると ともに、人権啓発活動等の取組を推進します。
 
(国民の司法アクセスの充実・強化)
 有識者検討会における多角的な議論も踏まえ、法テラスにおいて、地方公共団体等の関係機関とも緊密に連携し、国民の司法アクセスを一層充実させるため、デジタル技術も利活用した支援の推進を図るとともに、支援の担い手となる弁護士等の確保を含め、持続可能な総合法律支援体制の整備・強化に努めます。
 
(性同一性障害特例法の違憲決定への対応等)
 最高裁判所で性同一性障害特例法に関する違憲決定がされたことについて、厳粛に受け止める必要があると認識しており、立法府の動向等を注視しつつ、関係省庁と連携して、引き続き所要の検討を進めます。また、内閣府をはじめ関係省庁と協力し、旧氏の使用の拡大・周知を一層推し進めるとともに、旧氏の単記も可能とする基盤整備の検討を進めます。

5 法務行政における国際貢献に向けた取組等
 次に法務行政における国際貢献に向けた取組等についてです。

(法の支配の定着に向けた司法外交の推進)
 「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を国際社会に浸透させるべく、その担い手となる国際法務人材の育成と国際機関との連携強化を図りつつ、司法外交を推進します。
 「司法外交閣僚フォーラム」で実施されたASEAN諸国との法務大臣会合の定期開催に取り組むほか、「中央アジア+日本」法務大臣会合の実施に向けて準備を進めます。
 中央アジア及び太平洋島しょ国地域やウクライナ等に対する法制度整備支援を戦略的に推進するとともに、UNAFEIによる国際研修等を通じた各国の刑事司法実務家の能力構築支援を推進するなどして、法の支配の定着に向けてリーダーシップを発揮します。
 各国における再犯防止施策の充実に貢献するため、昨年十二月に国連総会で採択された再犯防止国連準則や保護司制度を始めとする更生保護ボランティアの国際社会における認知度向上及び活用促進を図るとともに、拘禁刑の取組を含む矯正施設での再犯防止施策の知見を各国と共有します。
 
(経済活動の国際化を支える環境整備)
 我が国での国際仲裁の環境整備を進めるとともに、東南アジア地域等における普及を図り、また、UNCITRAL等の国際機関でのルール形成を主導します。
 国際商取引を円滑化し、対日投資を促進する基盤として、関係省庁等と連携し、我が国法令の外国語訳の整備を推進します。

6 その他法務行政の推進に向けた取組
 その他、関係機関と連携しながら、改正民事訴訟法等及び改正刑事訴訟法等の施行に向けての、民事手続、刑事手続等のデジタル化に向けた取組、法や司法制度の基礎となる諸原理や法の役割を理解し、法的なものの考え方を身に付けるための法教育、司法制度を支える人材の確保・育成のための、新たな法曹養成制度や法曹の魅力についての情報発信等、中長期的な視点に立った法務省施設の耐震化・老朽化対策や災害発生時の避難所としての機能確保などについても積極的に推進してまいります。

結び

 副大臣、政務官及び法務省職員と一丸となって、法務行政の諸課題に取り組んでまいりますので、委員長、理事及び委員の皆様におかれては、一層の御理解と御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。