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少年法等の一部を改正する法律の概要

第1 少年事件の処分等の在り方の見直し


  1 少年法における年齢区分の見直し
    (1)  刑事処分可能年齢を16歳から14歳に引き下げる(第20条第1項)。
    (2)  懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年は,16歳に達するまで,少年院に収容することができるものとする(第56条第3項)。
  2 凶悪重大犯罪を犯した少年に対する処分の在り方の見直し
    (1)  犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については,保護処分を適当と認める場合を除き,検察官送致決定をするものとする(第20条第2項)。
    (2)  少年法第51条により死刑を軽減して無期刑を科した場合においては,第58条第1号の少年に対する仮出獄可能期間の特則(7年)は適用しないものとする(第58条第2項)。
    (3)  18歳未満の少年に対し無期刑で処断すべきときは,現行法上必ず有期刑に軽減することとしているが,無期刑を科すか有期刑を科すか,裁判所が選択できるものとする(第51条第2項)。
  3 保護者の責任の明確化
       家庭裁判所は,必要があると認めるときは,保護者に対し,訓戒,指導その他の適当な措置をとることができるものとする(第25条の2)。
  4 審判の方式
       審判は,懇切を旨として,和やかに行うとともに,非行のある少年に内省を促すものとしなければならないものとする(第22条第1項)。


第2 少年審判の事実認定手続の適正化


  1 裁定合議制度
       家庭裁判所における少年審判等に,裁定合議制度を導入する(裁判所法第31条の4第2項)。
  2 検察官及び弁護士である付添人が関与した審理の導入
    (1)  家庭裁判所は,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪及び短期2年以上の懲役又は禁錮に当たる罪の事件の事実認定の手続に,検察官が関与する必要があるときは,検察官関与決定をすることができるものとする(第22条の2第1項)。
    (2)  家庭裁判所は,検察官関与決定があった場合において,少年に弁護士である付添人がないときは,弁護士である国選付添人を付するものとする(第22条の3第1項)。
  3 抗告受理申立制度
       検察官が関与した事件の審判の決定に重大な事実誤認等がある場合には,検察官の申立てにより,高等裁判所が抗告を受理することができる制度を設けるものとする(第32条の4)。
  4 観護措置期間の延長
       観護措置は,8週間まで延長することを可能とする(第17条第4項)。
  5 保護処分終了後における救済手続の整備
       保護処分終了後,非行事実のなかったことを認め得る明らかな資料を新たに発見した場合の保護処分取消しの手続を整備する(第27条の2第2項)


第3 被害者への配慮の充実


  1 被害者等の申出による意見の聴取
       家庭裁判所は,被害者等から事件に関する意見の陳述の申出があるときは,これを聴取するものとする。ただし,相当でないと認めるときは,この限りでないものとする(第9条の2)。
  2 被害者通知制度
       家庭裁判所から,被害者等に対し,少年審判の結果等を通知する制度を導入する(第31条の2第1項)。
  3 被害者等による記録の閲覧・謄写
       被害者等に対し,審判中及び審判確定後,一定の範囲で非行事実に係る記録の閲覧又は謄写を可能とする(第5条の2第1項)。