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平成12年版犯罪白書のあらまし 〈第5編〉犯罪被害者とその国家的救済

〈第5編〉犯罪被害者とその国家的救済
1 犯罪被害についての実態調査結果

 法務総合研究所では,罪種別の犯罪被害の有無,警察への申告の有無等を把握するとともに,犯罪被害実態に関する国際比較を行うため,国連犯罪司法研究所を中心として実施されている2000年国際犯罪被害実態調査に参加する形で,平成12年2月4日から同月29日にかけて,無作為に抽出された3,000人につき,質問紙に基づく面談での聞き取り方式による犯罪被害実態調査を実施した。

(1 ) 「世帯犯罪被害」の実情
 過去5年間に自家用車を保有していた世帯のうち,その期間に被害に遭ったことがあるのは,自動車盗は0.7%,車上盗は5.7%,自動車損壊は16.8%であり,被害申告率(警察に事件を届け出た者の比率)は,自動車盗については61.5%,車上盗については41.7%,自動車損壊については20.9%であった。

(2 ) 「個人犯罪被害」の実情
 過去5年間に,自らが強盗,窃盗,性的暴行(いわゆる痴漢やセクハラを含む。),暴行・脅迫の被害に遭ったことがある比率(性的暴行については,女性回答者に対する比率)は,それぞれ0.6%,2.7%,2.7%,2.1%であり,被害申告率は,それぞれ30.8%,43.3%,9.7%,21.3%であった。

(3 ) 先行同種調査及び諸外国との比較
 本調査の結果を,平成元年に財団法人都市防犯研究センターが実施した同種調査と比較すると,過半の罪種において,本調査における被害率は,同センターの調査における被害率の2倍以上になっている。
 また,本調査における被害率を,1996年に行われた前回の国際犯罪被害実態調査の参加国における被害率と比較すると,我が国の被害率は,アメリカ等の参加国よりおおむね低くなっている。

2 刑事司法における被害者への配慮

 我が国では,被害者には告訴を行う権利が認められているが,刑事訴訟法等の一部改正(平成12年6月施行)により,強姦罪等の性犯罪については,告訴期間の制限が撤廃された。
 公判手続に関しても,同改正では,裁判所は,適当と認める者を,証人に付き添わせることができるとされたほか,証人と被告人との間で遮へい措置を採ることや,映像等の送受信により通話するというビデオリンク方式により,別の場所に在席する証人を尋問することが可能になった。一方,同改正では,被害者等から,被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは,裁判所は,公判期日において,これを陳述させるものとされた。
 同改正と同時に成立した「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」では,被害者らから公判手続の傍聴の申出があるときは,その者が傍聴できるよう配慮しなければならず,また,被害者等から申出があった場合には,係属中の刑事被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写を許可できるなどとされた。

● 目次
 
○ 〈はじめに〉
○ 〈第1編〉犯罪の動向
○ 〈第2編〉犯罪者の処遇
○ 〈第3編〉少年非行の動向と非行少年の処遇
○ 〈第4編〉各種の犯罪と犯罪者
○ 〈第5編〉犯罪被害者とその国家的救済
○ 〈第6編〉経済犯罪の現状と対策
○ 〈第7編〉暴力団犯罪の動向と暴力団関係者の処遇