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法曹養成検討会 新司法試験の在り方について(意見の整理)

(平成14年7月19日)

・  以下は、新司法試験の在り方について、本検討会における意見を整理したものであり、今後、法制的、技術的な観点からの検討を更に加えることとする。

1  司法試験管理委員会の改組

・  司法試験管理委員会を改組し、新たな委員会(以下「新委員会」という。) を設置することとする。
・  新委員会の委員には、法曹三者のほか、法科大学院関係者や学識経験者を加える。

2  新司法試験の試験科目

・  短答式試験の試験科目は、公法系科目、民事系科目、刑事系科目とする。
・  論文式試験の試験科目は、公法系科目、民事系科目、刑事系科目、選択科目(1科目)とする。
(注)
・  法曹倫理ないし専門職責任を試験科目とするかどうかについては、今後、法科大学院における教育内容等を踏まえ、適切な時期に新委員会で検討することとする。
・  選択科目の具体的内容については、今後、法科大学院におけるカリキュラム編成等を踏まえつつ、幅広い分野を検討の対象とし、最終的には新委員会に諮った上で決定することとする

3  新司法試験の試験方法

・  短答式試験及び論文式試験を同時期(5月ころ)に実施する(受験者全員に短答式試験及び論文式試験を受験させる。)。
・  口述試験については、法科大学院において双方向的・多方向的な教育が行われること等にかんがみ、実施しないこととする。
(注)
・  論文式試験の出題方法については、その在り方を見直すこととし、例えば、「長時間をかけて、これまでの科目割りに必ずしもとらわれずに、多種多様で複合的な事実関係による設例をもとに、問題解決・紛争予防の在り方、企画立案の在り方等を論述させることなどにより、事例解析能力、論理的思考力、法解釈・適用能力等を十分に見る試験を中心とする」ものとなるよう検討することとする。
・  短答式試験は、基本的知識の有無を幅広くかつ客観的に問うには最も適した試験であるとの意見があったものの、従来の短答式試験の弊害(知識の丸暗記等)を指摘する意見もあったことから、新司法試験における短答式試験については、従来と同様のものとはせず、その在り方を工夫するものとする。
・  受験者全員に短答式試験と論文式試験とを受験させることとし、それぞれ異なる能力を判定するものであることから、そのいずれかについて一定の成績に達しなかった者は、最終的に不合格とする。この場合、短答式試験の不合格者については、論文式試験の答案を採点しないことができるものとする。

4  新司法試験の受験資格

・  法科大学院の修了者及び予備試験の合格者とする。
・  法科大学院修了又は予備試験の合格から5年以内に3回に限り、受験を認める。
(注)
・  法科大学院在学者が予備試験に合格して司法試験(本試験)を受験した場合には、その最初の(在学中の)司法試験(本試験)の受験から「5年以内に3回」をカウントすることについて検討を加えることとする。
・  「5年以内に3回」の制限に掛かっても、一定期間経過後に受験資格を再取得した場合には再受験を認めることについて検討を加えることとする。

5  新司法試験の実施時期

・  法科大学院修了後とする。
(注)
・  短答式試験と論文式試験を毎年5月ころに実施し、合格発表の時期は、毎年8月末ないし9月初めころを目指すこととし、更に関係機関の協力を得て一層の早期化に努める。

6  予備試験

・  予備試験については、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべきである」との観点から、具体的な制度設計を行うこととする。
・  予備試験については、例えば、「納税証明書」や「経歴書」を提出させて受験資格を認定すべきであるなどの意見が出されたものの、具体的な受験資格の範囲の確定や実際の認定業務が困難であることなどから、予備試験の受験資格を制限する方法ではなく、予備試験の内容、方法等を工夫し、「法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねることのないよう配慮しつつ」制度設計を行うものとする。その際、「実社会での経験等により、法科大学院における教育と対置しうる資質・能力が備わっているかを適切に審査するような機会を設けること」などの方策についても検討する。
(注)
・  予備試験については、例えば、
○  予備試験は、法科大学院修了者と同等の学識、能力及び法律実務に必要な基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とするものとする。
○  予備試験の試験科目は、基本六法、行政法、一般教養科目、法律実務基礎関連科目とする。
○  予備試験の試験方法は、短答式試験のみならず、論文式試験又は口述試験も実施する。
○  予備試験に合格して司法試験(本試験)を受験する者についても、法科大学院修了者と同じ受験回数制限(例えば、予備試験合格から5年以内に3回) を課す。
などの方策を講じる方向で検討する(予備試験の趣旨を更に明確にするような方策についても検討する。)。

7  移行期間中の問題

・  新司法試験と現行司法試験とを併行して実施する移行期間中においては、同じ年に新司法試験と現行司法試験のどちらか一方のみを受験することができることとする。
・  法科大学院在学者又は修了者が現行司法試験を受験した場合には、受験回数制限(5年以内に3回)との関係でカウントすることについて検討を加えることとする。