平成20年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題
【憲法】
第1問
A自治会は,「地縁による団体」(地方自治法第260条の2)の認可を受けて地域住民への利便を提供している団体であるが,長年,地域環境の向上と緑化の促進を目的とする団体から寄付の要請を受けて,班長らが集金に当たっていたものの,集金に応じる会員は必ずしも多くなかった。
そこで,A自治会は,班長らの負担を解消するため,定期総会において,自治会費を年5000円から6000円に増額し,その増額分を前記寄付に充てる決議を行った。
この決議に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
第2問
民間の個人又は団体による教育事業,慈善事業,博愛事業その他の公益事業(以下「教育等公益事業」という。)の自律的で適正な運営を確保し,その発展を支援するため,特定の教育等公益事業につき,国が助成金を交付する制度を次の要領でつくることになったと仮定する。
1 助成金の交付の対象となる教育等公益事業は,特定の宗教又は思想信条の信奉,普及又は実践を目的とせず,客観的にもこれと遮断された態様で営まれること。
2 助成金の交付を行うか否かの決定は,教育等公益事業の事業主体(以下「事業者」という。)の申請を受けて,内閣の所轄の下に置かれる委員会が行う。委員会の委員は,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命する。委員は,独立してその職権を行う。
3 助成金の交付を受けた事業者は,教育等公益事業の実施内容及び収支(助成金の使途を含む。)について委員会に報告し,審査を受けなければならない。審査の結果,上記1の要件を満たしていないと認められたときは,委員会は,事業者に対して,助成金の返還等を命ずることができる。
4 委員会は,事業者に対し,いつでもその遂行に係る教育等公益事業に関して報告を求め,助言又は勧告をすることができる。
この制度の憲法上の問題点を論ぜよ。
A自治会は,「地縁による団体」(地方自治法第260条の2)の認可を受けて地域住民への利便を提供している団体であるが,長年,地域環境の向上と緑化の促進を目的とする団体から寄付の要請を受けて,班長らが集金に当たっていたものの,集金に応じる会員は必ずしも多くなかった。
そこで,A自治会は,班長らの負担を解消するため,定期総会において,自治会費を年5000円から6000円に増額し,その増額分を前記寄付に充てる決議を行った。
この決議に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
第2問
民間の個人又は団体による教育事業,慈善事業,博愛事業その他の公益事業(以下「教育等公益事業」という。)の自律的で適正な運営を確保し,その発展を支援するため,特定の教育等公益事業につき,国が助成金を交付する制度を次の要領でつくることになったと仮定する。
1 助成金の交付の対象となる教育等公益事業は,特定の宗教又は思想信条の信奉,普及又は実践を目的とせず,客観的にもこれと遮断された態様で営まれること。
2 助成金の交付を行うか否かの決定は,教育等公益事業の事業主体(以下「事業者」という。)の申請を受けて,内閣の所轄の下に置かれる委員会が行う。委員会の委員は,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命する。委員は,独立してその職権を行う。
3 助成金の交付を受けた事業者は,教育等公益事業の実施内容及び収支(助成金の使途を含む。)について委員会に報告し,審査を受けなければならない。審査の結果,上記1の要件を満たしていないと認められたときは,委員会は,事業者に対して,助成金の返還等を命ずることができる。
4 委員会は,事業者に対し,いつでもその遂行に係る教育等公益事業に関して報告を求め,助言又は勧告をすることができる。
この制度の憲法上の問題点を論ぜよ。
【民法】
第1問
Aは,工作機械(以下「本件機械」という。)をBに代金3000万円で売却して,引き渡した。この契約において,代金は後日支払われることとされていた。本件機械の引渡しを受けたBは,Cに対して,本件機械を期間1年,賃料月額100万円で賃貸し,引き渡した。この事案について,以下の問いに答えよ。
1 その後,Bが代金を支払わないので,Aは,債務不履行を理由にBとの契約を解除した。この場合における,AC間の法律関係について論ぜよ。
2 AがBとの契約を解除する前に,Bは,Cに対する契約当初から1年分の賃料債権をDに譲渡し,BはCに対し,確定日付ある証書によってその旨を通知していた。この場合において,AがBとの契約を解除したときの,AC間,CD間の各法律関係について論ぜよ。
第2問
Aは,Bに対して,100万円の売買代金債権(以下「甲債権」という。)を有している。Bは,Cに対して,自己所有の絵画を80万円で売却する契約を締結した。その際,Bは,Cに対して,売買代金を甲債権の弁済のためAに支払うよう求め,Cもこれに同意した。これに基づき,CはAに対して80万円を支払い,Aはこれを受領した。この事案について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1 甲債権を発生させたAB間の売買契約がBの錯誤により無効であったとき,Cは,Aに対して80万円の支払を求めることができるか。Bに対してはどうか。
2 甲債権を発生させたAB間の売買契約は有効であったが,BC間の絵画の売買契約がBの詐欺を理由としてCによって取り消されたとき,Cは,Aに対して80万円の支払を求めることができるか。Bに対してはどうか。
Aは,工作機械(以下「本件機械」という。)をBに代金3000万円で売却して,引き渡した。この契約において,代金は後日支払われることとされていた。本件機械の引渡しを受けたBは,Cに対して,本件機械を期間1年,賃料月額100万円で賃貸し,引き渡した。この事案について,以下の問いに答えよ。
1 その後,Bが代金を支払わないので,Aは,債務不履行を理由にBとの契約を解除した。この場合における,AC間の法律関係について論ぜよ。
2 AがBとの契約を解除する前に,Bは,Cに対する契約当初から1年分の賃料債権をDに譲渡し,BはCに対し,確定日付ある証書によってその旨を通知していた。この場合において,AがBとの契約を解除したときの,AC間,CD間の各法律関係について論ぜよ。
第2問
Aは,Bに対して,100万円の売買代金債権(以下「甲債権」という。)を有している。Bは,Cに対して,自己所有の絵画を80万円で売却する契約を締結した。その際,Bは,Cに対して,売買代金を甲債権の弁済のためAに支払うよう求め,Cもこれに同意した。これに基づき,CはAに対して80万円を支払い,Aはこれを受領した。この事案について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1 甲債権を発生させたAB間の売買契約がBの錯誤により無効であったとき,Cは,Aに対して80万円の支払を求めることができるか。Bに対してはどうか。
2 甲債権を発生させたAB間の売買契約は有効であったが,BC間の絵画の売買契約がBの詐欺を理由としてCによって取り消されたとき,Cは,Aに対して80万円の支払を求めることができるか。Bに対してはどうか。
【商法】
第1問
X株式会社は,公開会社でない取締役会設置会社であり,その保有する建物及び用地(以下「本件不動産」という。)において「リストランテL」の名称でレストランを営んでいる。X社の貸借対照表の資産の部に計上されている金額は,そのほとんどすべてが本件不動産の帳簿価格で占められている。なお,X社の代表取締役はAであり,また,X社においては特別取締役制度は採用されていない。
これらを前提として,次のそれぞれの場合について,問いに答えよ。
1 Aは,Y株式会社に対し,本件不動産を5000万円で譲渡し,その所有権移転登記手続を了した。Y社は,取得した本件不動産の建物を改装して,電化製品の販売店を営むことを予定している。Aは,この取引に先立ち,X社の取締役会の承認も株主総会の承認も得ていない。その後,Aに替わってX社の代表取締役に就任したBは,Y社に対して本件不動産の所有権移転登記の抹消を求めることができるか。
2 Aは,Y社に対し,本件不動産を厨房設備とともに7000万円で譲渡した。Aは,この取引に先立ち,X社の株主総会の承認を得ている。Y社は,「リストランテL」の名称を引き続き利用し,X社が行っていた従来のレストラン事業を営んでいる。この取引の結果,X社は事実上すべての活動を停止したが,Aが売却代金7000 万円を持ち逃げして行方不明となってしまったため,X社にはみるべき資産がなくなった。X社に対してレストランの運転資金を融資していたCは,Y社に対してその返済を求めることができるか。
第2問
甲株式会社は,その発行する株式を金融商品取引所に上場している監査役会設置会社である。甲社の発行済株式総数の約20パーセントを保有する株主名簿上の株主である乙株式会社は,平成20年4月25日,同年6月27日開催予定の甲社の定時株主総会における取締役選任に関する議案及び増配に関する議案についての株主提案権を行使した。この場合において,次の2つの問いに答えよ。なお,甲社の定款には,種類株式に係る定めはないものとする。
1 乙社は,株主提案権の行使とともに,甲社に対し,その提案の内容を他の株主によく伝えたいとして,甲社の株主名簿の閲覧請求を行った。これに対し,甲社は,乙社が甲社と事業上の競争関係にある丙株式会社の総株主の議決権の70パーセントを有していることから,乙社からの閲覧請求を拒否することとした。この閲覧請求の拒否は許されるか。
2 甲社の取締役らは,乙社からの株主提案を受けて,直ちに臨時取締役会を開催し,丁株式会社との業務提携関係を強化することが目的であるとして,既に業務提携契約を締結していた丁社のみを引受人とする募集株式の第三者割当発行を決議した。なお,払込金額については甲社株式の直近3か月の市場価格の平均の90パーセントに相当する額とし,払込期日については定時株主総会の開催日の1週間前の日とすることとされた。また,当該決議に合わせて,定時株主総会に係る議決権行使の基準日について,この発行に係る株式に限りその効力発生日の翌日とする旨の決議がされ,これに係る所要の公告も行われた。この募集株式の発行が実施されると,乙社が保有する甲社株式の甲社発行済株式総数に対する割合は約15パーセントに低下する一方で,丁社のそれは約45パーセントに上昇することとなる。乙社は,この募集株式の発行を差し止めることができるか。
X株式会社は,公開会社でない取締役会設置会社であり,その保有する建物及び用地(以下「本件不動産」という。)において「リストランテL」の名称でレストランを営んでいる。X社の貸借対照表の資産の部に計上されている金額は,そのほとんどすべてが本件不動産の帳簿価格で占められている。なお,X社の代表取締役はAであり,また,X社においては特別取締役制度は採用されていない。
これらを前提として,次のそれぞれの場合について,問いに答えよ。
1 Aは,Y株式会社に対し,本件不動産を5000万円で譲渡し,その所有権移転登記手続を了した。Y社は,取得した本件不動産の建物を改装して,電化製品の販売店を営むことを予定している。Aは,この取引に先立ち,X社の取締役会の承認も株主総会の承認も得ていない。その後,Aに替わってX社の代表取締役に就任したBは,Y社に対して本件不動産の所有権移転登記の抹消を求めることができるか。
2 Aは,Y社に対し,本件不動産を厨房設備とともに7000万円で譲渡した。Aは,この取引に先立ち,X社の株主総会の承認を得ている。Y社は,「リストランテL」の名称を引き続き利用し,X社が行っていた従来のレストラン事業を営んでいる。この取引の結果,X社は事実上すべての活動を停止したが,Aが売却代金7000 万円を持ち逃げして行方不明となってしまったため,X社にはみるべき資産がなくなった。X社に対してレストランの運転資金を融資していたCは,Y社に対してその返済を求めることができるか。
第2問
甲株式会社は,その発行する株式を金融商品取引所に上場している監査役会設置会社である。甲社の発行済株式総数の約20パーセントを保有する株主名簿上の株主である乙株式会社は,平成20年4月25日,同年6月27日開催予定の甲社の定時株主総会における取締役選任に関する議案及び増配に関する議案についての株主提案権を行使した。この場合において,次の2つの問いに答えよ。なお,甲社の定款には,種類株式に係る定めはないものとする。
1 乙社は,株主提案権の行使とともに,甲社に対し,その提案の内容を他の株主によく伝えたいとして,甲社の株主名簿の閲覧請求を行った。これに対し,甲社は,乙社が甲社と事業上の競争関係にある丙株式会社の総株主の議決権の70パーセントを有していることから,乙社からの閲覧請求を拒否することとした。この閲覧請求の拒否は許されるか。
2 甲社の取締役らは,乙社からの株主提案を受けて,直ちに臨時取締役会を開催し,丁株式会社との業務提携関係を強化することが目的であるとして,既に業務提携契約を締結していた丁社のみを引受人とする募集株式の第三者割当発行を決議した。なお,払込金額については甲社株式の直近3か月の市場価格の平均の90パーセントに相当する額とし,払込期日については定時株主総会の開催日の1週間前の日とすることとされた。また,当該決議に合わせて,定時株主総会に係る議決権行使の基準日について,この発行に係る株式に限りその効力発生日の翌日とする旨の決議がされ,これに係る所要の公告も行われた。この募集株式の発行が実施されると,乙社が保有する甲社株式の甲社発行済株式総数に対する割合は約15パーセントに低下する一方で,丁社のそれは約45パーセントに上昇することとなる。乙社は,この募集株式の発行を差し止めることができるか。
【刑法】
第1問
甲は,甲の母X,妻乙及び甲の友人の子である大学生丙と共に暮らしていた。日ごろから高齢であるXの介護のため精神的・肉体的に疲れきっていた乙は,今の状況から逃れるにはXを殺害するほかないと考え,ある日の夜,殺意をもって,就寝中のXの頭部をゴルフクラブで数回殴打した。Xの悲鳴を聞いて駆けつけた甲は,ゴルフクラブを振り上げてXを更に殴打しようとしている乙に対し,「何をやってんだ。やめないか。」と言いながら,そこに駆けつけた丙と共に乙の行為をやめさせた。
Xは頭部から血を流して意識を失っていたものの息があったので,甲は,Xを直ちに病院に連れて行き,医師の治療を受けさせれば死ぬことはないだろうと考えた。そこで,甲は,丙に対し,「Xを病院に連れて行くので手伝ってほしい。」と頼み,これを承諾した丙と共にXを甲の車に乗せて病院に向かった。ところが,日ごろから乙に同情していた丙は,Xがこの際死ねばいいと考え,車中で甲に対し,「病院に連れて行って医者から事情を聞かれれば,乙だけではなく,僕たちもやったと疑われますよ。それより,Xを病院の前に降ろして寝かせておきませんか。そうすればだれかがXを見付けて助けてくれますよ。」と提案したところ,甲は,病院の前であればだれかが見付けてくれるだろうからXは死ぬことはないだろうと思い,丙の提案を受け入れた。そこで,甲と丙は,ぐったりしているXを車から降ろして病院の前の路上に寝かせて立ち去り,自宅に一緒に戻った。
しかし,丙は,Xが救命されないようにするため,甲に黙って再度病院の前に戻り,Xを人目に付かない植え込みの陰に運び,その場に放置して立ち去った。その後,Xは死亡した。後日判明したところによれば,Xの死因は,治療がなされなかったことによる失血死であった。
甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。
第2問
甲はXとその配偶者Yとの間の子であり,乙はXとその内縁の妻との間の子であってXから認知されている。甲と乙は,Xと同居している。
甲は,Xが別居中のYから盗んだY所有の指輪を保管していることを知った。そこで,甲は,乙に相談し,二人でその指輪を盗み出したが,その際,乙は,その指輪はXが所有する物であると思っていた。乙は,盗んだ指輪を換金し,その全額を自分のものにしようと考え,盗品であることを秘して指輪を売却し代金全額を自己に引き渡すように甲に命じた。これを了承した甲は,古物商丙に盗品であることを秘して,指輪を売却したいと告げた。丙は,その指輪が盗品であり,時価100万円の価値があることに気付いたが,甲に対して,その指輪には傷があるので買取価格は10万円にしかならないと告げた。甲は,丙のその言葉を信じて,その指輪を10万円で丙に売却した。甲は,丙から交付を受けた売却代金10万円を乙に渡すのが惜しくなり,その全額を遊興費として使ってしまった。
甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。
甲は,甲の母X,妻乙及び甲の友人の子である大学生丙と共に暮らしていた。日ごろから高齢であるXの介護のため精神的・肉体的に疲れきっていた乙は,今の状況から逃れるにはXを殺害するほかないと考え,ある日の夜,殺意をもって,就寝中のXの頭部をゴルフクラブで数回殴打した。Xの悲鳴を聞いて駆けつけた甲は,ゴルフクラブを振り上げてXを更に殴打しようとしている乙に対し,「何をやってんだ。やめないか。」と言いながら,そこに駆けつけた丙と共に乙の行為をやめさせた。
Xは頭部から血を流して意識を失っていたものの息があったので,甲は,Xを直ちに病院に連れて行き,医師の治療を受けさせれば死ぬことはないだろうと考えた。そこで,甲は,丙に対し,「Xを病院に連れて行くので手伝ってほしい。」と頼み,これを承諾した丙と共にXを甲の車に乗せて病院に向かった。ところが,日ごろから乙に同情していた丙は,Xがこの際死ねばいいと考え,車中で甲に対し,「病院に連れて行って医者から事情を聞かれれば,乙だけではなく,僕たちもやったと疑われますよ。それより,Xを病院の前に降ろして寝かせておきませんか。そうすればだれかがXを見付けて助けてくれますよ。」と提案したところ,甲は,病院の前であればだれかが見付けてくれるだろうからXは死ぬことはないだろうと思い,丙の提案を受け入れた。そこで,甲と丙は,ぐったりしているXを車から降ろして病院の前の路上に寝かせて立ち去り,自宅に一緒に戻った。
しかし,丙は,Xが救命されないようにするため,甲に黙って再度病院の前に戻り,Xを人目に付かない植え込みの陰に運び,その場に放置して立ち去った。その後,Xは死亡した。後日判明したところによれば,Xの死因は,治療がなされなかったことによる失血死であった。
甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。
第2問
甲はXとその配偶者Yとの間の子であり,乙はXとその内縁の妻との間の子であってXから認知されている。甲と乙は,Xと同居している。
甲は,Xが別居中のYから盗んだY所有の指輪を保管していることを知った。そこで,甲は,乙に相談し,二人でその指輪を盗み出したが,その際,乙は,その指輪はXが所有する物であると思っていた。乙は,盗んだ指輪を換金し,その全額を自分のものにしようと考え,盗品であることを秘して指輪を売却し代金全額を自己に引き渡すように甲に命じた。これを了承した甲は,古物商丙に盗品であることを秘して,指輪を売却したいと告げた。丙は,その指輪が盗品であり,時価100万円の価値があることに気付いたが,甲に対して,その指輪には傷があるので買取価格は10万円にしかならないと告げた。甲は,丙のその言葉を信じて,その指輪を10万円で丙に売却した。甲は,丙から交付を受けた売却代金10万円を乙に渡すのが惜しくなり,その全額を遊興費として使ってしまった。
甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。
【民事訴訟法】
第1問
弁論準備手続について,口頭弁論に適用される諸原則を踏まえつつ,手続の特徴及びその終結の効果を論ぜよ。
第2問
債権者Xの保証人Yに対する保証債務履行請求訴訟に,主債務者Zは,Yを補助するため参加した。
1 第一審でY敗訴の判決が言い渡され,その判決書の正本が平成20年7月3日にYに,同月5日にZに,それぞれ送達された。Yはこの判決に対して何もしなかったが,Zは同月18日に控訴状を第一審裁判所に提出した。この控訴は適法か。
2 Y敗訴の判決が確定した後,Yは,Zに対し,求償金請求の訴えを提起した。
仮に,Yが,主債務の存在を疑わしめる重要な証拠であってZの知らないものを所持していたにもかかわらず,XY間の訴訟において,その証拠の提出を怠っていた事実が判明した場合,Zは,YZ間の訴訟において,主債務の存在を争うことができるか。
弁論準備手続について,口頭弁論に適用される諸原則を踏まえつつ,手続の特徴及びその終結の効果を論ぜよ。
第2問
債権者Xの保証人Yに対する保証債務履行請求訴訟に,主債務者Zは,Yを補助するため参加した。
1 第一審でY敗訴の判決が言い渡され,その判決書の正本が平成20年7月3日にYに,同月5日にZに,それぞれ送達された。Yはこの判決に対して何もしなかったが,Zは同月18日に控訴状を第一審裁判所に提出した。この控訴は適法か。
2 Y敗訴の判決が確定した後,Yは,Zに対し,求償金請求の訴えを提起した。
仮に,Yが,主債務の存在を疑わしめる重要な証拠であってZの知らないものを所持していたにもかかわらず,XY間の訴訟において,その証拠の提出を怠っていた事実が判明した場合,Zは,YZ間の訴訟において,主債務の存在を争うことができるか。
【刑事訴訟法】
第1問
警察官は,甲に対する覚せい剤所持被疑事件に関し,「甲が宿泊中のホテルの客室」を捜索場所,「覚せい剤」等を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状の発付を受け,同客室に赴いた。証拠が隠滅されることをおそれた警察官は,ホテルの支配人に協力を求めてマスターキーを借り受け,来意を告げることなく,マスターキーでドアを開錠し,同客室内に立ち入った。すると,在室していた甲が,ビニール袋に入った覚せい剤を持ってトイレに駆け込もうとしたので,警察官は,甲を制止して持っていた覚せい剤を取り上げ,その後,甲に捜索差押許可状を示した上,同覚せい剤を差し押さえ,引き続き同客室内の捜索を実施した。
同客室内には甲の知人らしき乙が居合わせており,同人がボストンバッグを携帯していたことから,警察官は乙に同バッグの任意提出を求めた。しかし,乙がこれを拒否し同バッグを抱え込むような態度をとったため,警察官は,乙の抵抗を排除して同バッグを取り上げ,その中を捜索したところ,ビニール袋に入った覚せい剤を発見したので,これを差し押さえた。
以上の警察官の行為は適法か。
第2問
被告人甲は,Aと路上で口論の末,その場を立ち去ろうとしたAを背後から手で突き飛ばし,その場に転倒させ負傷させたとして,傷害罪で起訴された。これに対して,甲は,「Aと口論をしたが,Aに対して暴行は加えておらず,その場から立ち去ろうとしたAがつまずいて転んだにすぎない。」旨弁解している。
公判廷で,証人Bが,「甲とAが口論しており,その場を立ち去ろうとしたAが,自分で勝手につまずいて転倒したのを私は見た。」旨,目撃状況を証言した。これに対して,検察官が,その証明力を争うために,捜査段階で得られた次のような証拠の取調べを請求した場合,裁判所は,証拠として採用することができるか。
1 Bと同様に現場を目撃したCが行った,「甲がAを背後から手で突き飛ばし,Aが転倒したのを私は見た。」旨の供述を録取した警察官作成の書面で,Cの署名押印のあるもの
2 Bが行った,「甲がAを背後から手で突き飛ばし,Aが転倒したのを私は見た。」との供述を聞き取った旨の記載のある警察官作成の捜査報告書で,警察官の署名押印はあるが,Bの署名押印はないもの
3 2と同内容のBの供述を警察官が録音した録音テープ
警察官は,甲に対する覚せい剤所持被疑事件に関し,「甲が宿泊中のホテルの客室」を捜索場所,「覚せい剤」等を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状の発付を受け,同客室に赴いた。証拠が隠滅されることをおそれた警察官は,ホテルの支配人に協力を求めてマスターキーを借り受け,来意を告げることなく,マスターキーでドアを開錠し,同客室内に立ち入った。すると,在室していた甲が,ビニール袋に入った覚せい剤を持ってトイレに駆け込もうとしたので,警察官は,甲を制止して持っていた覚せい剤を取り上げ,その後,甲に捜索差押許可状を示した上,同覚せい剤を差し押さえ,引き続き同客室内の捜索を実施した。
同客室内には甲の知人らしき乙が居合わせており,同人がボストンバッグを携帯していたことから,警察官は乙に同バッグの任意提出を求めた。しかし,乙がこれを拒否し同バッグを抱え込むような態度をとったため,警察官は,乙の抵抗を排除して同バッグを取り上げ,その中を捜索したところ,ビニール袋に入った覚せい剤を発見したので,これを差し押さえた。
以上の警察官の行為は適法か。
第2問
被告人甲は,Aと路上で口論の末,その場を立ち去ろうとしたAを背後から手で突き飛ばし,その場に転倒させ負傷させたとして,傷害罪で起訴された。これに対して,甲は,「Aと口論をしたが,Aに対して暴行は加えておらず,その場から立ち去ろうとしたAがつまずいて転んだにすぎない。」旨弁解している。
公判廷で,証人Bが,「甲とAが口論しており,その場を立ち去ろうとしたAが,自分で勝手につまずいて転倒したのを私は見た。」旨,目撃状況を証言した。これに対して,検察官が,その証明力を争うために,捜査段階で得られた次のような証拠の取調べを請求した場合,裁判所は,証拠として採用することができるか。
1 Bと同様に現場を目撃したCが行った,「甲がAを背後から手で突き飛ばし,Aが転倒したのを私は見た。」旨の供述を録取した警察官作成の書面で,Cの署名押印のあるもの
2 Bが行った,「甲がAを背後から手で突き飛ばし,Aが転倒したのを私は見た。」との供述を聞き取った旨の記載のある警察官作成の捜査報告書で,警察官の署名押印はあるが,Bの署名押印はないもの
3 2と同内容のBの供述を警察官が録音した録音テープ

