先輩職員からのメッセージ (本省職員)
課長補佐級
民事局

杉山 典子
杉山 典子(平成8年入省・法律)
(1)今の仕事はどのような内容ですか。
現在,商事課で,商業登記に基づく電子認証制度及び供託制度の担当をしています。電子認証は,国・地方公共団体等に対するオンライン申請や電子商取引で利用されるものであり,供託は,国民の権利保全等のために重要な役割を果たすものです。いずれも,利用者に分かりやすい制度,より使いやすい制度を目指して,取扱いに疑義がある場合の各方面からの照会に答えたり,制度の見直しに取り組んでいます。
(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。
9:20 出勤,メールのチェック,スケジュール確認
10:00 法務局からの照会事案などの決裁処理
12:00 昼休み
13:00 利用者の利便性向上のための方策について,係内で打合せ
14:30 供託制度に関連する法改正について,関係者と打合せ
16:30 研修の講義内容を検討・講義資料作成
20:00 残務整理の後,帰宅
(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。
不動産登記法全面改正の施行準備と筆界特定制度を創設するための不動産登記法の一部改正の法案提出準備が同時に進んでいたとき,私は筆界特定制度を担当していたのですが,急に全面改正の整備省令やQ&Aの作成を一部分担することとなり,それまで担当していなかったので,一から勉強しなければならず,それぞれ1週間で作成しないと施行に間に合わないということで,大変ではありましたが,ここで作成したQ&Aがこれからの先例になるのだというやりがいを感じました。
(4)法務省のどんなところが魅力だと思いますか。
係員の頃は,上司から「君が国民目線に一番近いから」と言われて,意見を聴いて貰える環境にありました。純粋な法律の解釈の問題はもちろんのこと,「制度としてどうあるべきか」についても,自分の正義感に従って発言することができ,上司・部下に関係なく熱い議論ができるところが好きです。
(5)最後に,総合職志望者に一言お願いします。
学生時代の法律の勉強は,既にある法律について,過去にされてきた解釈を勉強するものだったかもしれませんが,法務省職員として法律を見るようになると,机の上の理屈ではなく,実際に窓口に来る利用者にとって使いやすい制度はどうあるべきかを考え,今ある制度を運用し,新しい制度を作り出していけると思います。
矯正局

吉弘 基成
吉弘 基成 (平成8年入省・法律)
(1)今の仕事はどのような内容ですか。
刑務所,拘置所などの刑事施設にいる被収容者の処遇を担当しています。普段は,全国の刑事施設で起きている様々な事案への対応や,被収容者処遇を充実させるための施策などを検討しているほか,被収容者から提起された訴訟等への対応,国会議員からの質問や資料要請への対応,各種研修の企画実施などを行っています。
(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。
9:10 出勤
9:30 課内ミーティング(各係における本日の業務予定の確認等)
10:00 個別事案の処理,決裁等
12:00 昼休み
13:00 国会議員からの説明要請への対応
14:30 処遇に関する刑事施設幹部による全国協議会の準備
17:00 個別事案の処理,決裁等
20:30 残務整理の後,帰宅
(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。
個人的には,素敵な上司,同僚と巡り合えたことです。やがて部下を持つようになると,若くて優秀な方が毎年入ってこられ,職員として成長していく姿に目を見張らされます。こうしたしっかりとした人達と共に仕事をしていくことで,自分自身も社会人として少しずつ成長していけることが,一番の財産になっています。
(4)実際に働いてみて,法務省のどんなところが魅力だと思いますか。
社会の秩序や安全に関わる仕事であり,社会的な意義を十分に感じながら仕事に取り組むことができます。矯正局では,本省以外の勤務先が全国転勤になりますが,私にとってはそのことも大いにプラスです。世帯を持つと引越しは大変ですが,知らない風土での仕事や生活を通して,それに勝る感動や経験が得られます。
(5)最後に,総合職志望者に一言お願いします。
刑事施設の運営に携わって,治安の維持に関わる仕事ですから,ときには苦しく,ときには思い悩みながら行動しなければいけないときもあります。しかし,間違いなく社会の役に立つ仕事であり,人の役に立つ仕事ですから,誠実に取り組んでいけば,自分自身の目標とやりがいをきっと見つけられると思います。皆さんと一緒に,安心できる社会に向けて色々な可能性を探しながら共に取り組んでいけることを楽しみにしています。
保護局

滝田 裕士
滝田 裕士(平成4年入省・社会)
(1)今の仕事はどのような内容ですか。
保護局では,犯罪をした人や非行のある少年が再び犯罪や非行をすることのないよう,社会の中で必要な指導や支援を行う「更生保護」に関する仕事をしています。
私は現在,保護局で取り組む各種施策に関する予算の要求,執行等に関する業務を担当しています。更生保護の分野では,刑務所出所者等の再犯防止が目下の重要課題ですが,そのための新たな施策を実施するためには,財務省等に対し予算要求を行い,施策に対する理解を得て,必要経費を確保しなければなりません。一方で,予算の使い方に対し社会から厳しい目が向けられる中,認められた予算が無駄なく有効に使われているか,常に留意し確認することも求められています。
(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。
9:30までに出勤。午前中は,係から起案のあった文書の決裁や,当日中に処理を要する急ぎの案件などあれば,これらを中心に対応しています。
12:00 昼休み。回覧文書などに目を通しながら過ごすことが多いです。
13:00 午後は,保護局内の各課室,省内の関係部署との打合せを行ったり,財務省や会計検査院あるいは国会議員からの求めに応じ,説明に赴いたりすることもあります。
18:15が終業時間です。予算関係の資料作成や国会対応などの業務で勤務が深夜に及ぶ日も多くありますが,週1日くらいは早めに帰るようにしています。
(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。
いろいろありますが,医療観察制度(心神喪失等の状態で殺人,放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰の促進を図るための処遇制度です。)の立案段階から法施行まで継続して携わったことは貴重な経験です。一つの制度が作り上げられるまでの間,国会での審議を経て法律が成立し,制度の施行に向けて,関係省庁や地域の関係機関,この制度に従事する専門職員として採用された人たちと,この制度の運用がどうあるべきか,様々なことを考え形にしていく機会を得ました。
立場は移りましたが,医療観察制度のあり様についてはその後もずっと関心を持って見ています。
(4)法務省のどんなところが魅力だと思いますか。
いずれの部局も「現場」を持ち,直接人と接する仕事をしていることでしょうか。
保護観察所であれば,刑務所を出てきたばかりの仮釈放者や,家庭裁判所で保護観察処分を受けた少年とその保護者などと直接相対し,それぞれが抱える問題に直面することになります。本省では,それらの経験の蓄積を,施策の立案や制度の見直しにいかすことが求められます。取り組み方次第で,それぞれの分野の知識・経験を積み重ね,専門性を深めていくことができると思います。
(5)最後に,総合職志望者に一言お願いします。
私が法務省を訪問したのは,人とかかわる仕事,人のためになる仕事をしたいという漠然とした思いからでしたが,更生保護という仕事に出会い,そして保護司の方を始め,更生保護を全国各地域で支える多くの民間の方々と出会う中で,この仕事の大きな可能性を感じるようになりました。
法務省の仕事は,いずれも国民の生活を支える基盤づくりにつながる重要な意義があると思っています。人のつながりの大切さや人の可能性を信じられる方なら,きっと大きなやりがいを持って取り組める仕事に出会えると思います。志ある皆さんと一緒に考え,働けることを期待しています。
入国管理局

岡本 真由美
岡本 真由美(平成4年入省・法律)
(1)今の仕事はどのような内容ですか。
現在は,審判課という部署で審判関係の業務を行っています。審判関係の業務と一口に言ってもイメージしにくいかも知れませんが,具体的には上陸審判手続や違反審判手続に係る個別の異議申出事案のうち,本省に進達・請訓されてくるものについて判断を行ったり,それらの業務に係る制度設計やあるべき姿について考えたり,入国管理局関係の訴訟のうち応訴困難なものについての対応を検討したりといったような仕事に携わっています。また,各種研修において所掌業務に係る講義を行う機会も多くあります。
(2)登庁から退庁までの平均的な一日の流れを教えてください。
9:25 出勤。業務の進捗状況やその日のスケジュールについて確認
9:45 地方局等からの照会の有無について確認,回答作成
10:00 上陸審判関係業務,違反審判関係業務,訴訟関係業務に係る各種決裁の処理
12:00 昼休み
13:00 講義のレジュメ,資料作成
15:00 出入国管理政策懇談会会合の傍聴
17:30 上記会合で出された検討課題について課内検討
19:45 残務整理の後,帰宅
(3)入省後,一番思い出に残っている出来事を教えてください。
難民調査官としての業務に携わっている際に,第三国定住難民の受入れを開始するための現地調査,難民キャンプでのインタビュー等のため,タイとミャンマー国境にあるメーラ・キャンプやメソットに行く機会がありました。2年間で計3回も行くことになり,その度ごとに空港でトランクが行方不明になったり,蛇が電線に落ちてバーストしインタビューを行っているすぐ側の建物で火事が起きたり,対岸で砲撃があったりと色々ありましたが,このような仕事をしていなければ一生行けないような難民キャンプを実際に自分の目で見,世界のどこかではこのような生活をしている人々がいるのだということを実感し,また,現地の人々やそこで働く国際機関の人々と触れ合える大変貴重な経験をさせていただいたと思います。
(4) 法務省のどんなところが魅力だと思いますか。
法務省は,自分のやっていることが国のために役立っているというインセンティブを保ちつつ仕事を行うことができる役所だと思います。また,特に現場で仕事をしている時に実感するのが,相手にするのが「物」や「お金」や「書物」などではなく「人」であるが故の難しさですが,そういうところも含めてやりがいの感じられる仕事ができるところだ思います。
(5)最後に,総合職志望者に一言お願いします。
就職する際,民間企業や色々な省庁を訪問させていただきましたが,今の仕事に就いた決め手は,ここでなら自分の仕事が何か国のために役に立っていると実感しながら仕事ができると思ったからです。もちろんどんな仕事でも,需要があるからこそ存在するはずで,そういう意味では世の中の役に立たない仕事はないと思いますが,何がこの国のためになるかと考え,微力でもそのために自分に何ができるか問いながら仕事をする機会があるという点で,国家公務員の仕事はやっぱり魅力的だと思います。皆さんも選択肢の一つとして是非考えてみませんか。
※ 執筆者の役職は,平成26年1月30日現在です。