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組織犯罪の捜査


東京地方検察庁検事
経歴
 平成16年に任官後,東京,大阪,鹿児島,さいたま,大分,福岡の各地方検察庁で勤務。
 その他,法務省訟務局で勤務。

組織犯罪の捜査で目指すもの

組織犯罪の特徴

 「組織犯罪」というと,暴力団が組織を挙げて人を殺傷するような事件を思い浮かべるかもしれませんが,実際には,外国人マフィアや,いわゆる「半グレ集団」,暴走族や窃盗団,特殊詐欺グループなど多種多様な組織によって,粗暴犯以外にも,薬物犯罪,詐欺などの知能犯や経済犯罪といった様々な事件が引き起こされています。
 組織や事件の種類は様々ですが,組織犯罪といわれる事件では,組織として特定の犯罪を実現し,かつ,検挙を免れるため,多くのメンバーが役割を分担し,連携して犯罪を繰り返すことが多く,しかも,その末端のメンバーには代替性があるため,組織の首謀者,上位者らを検挙しない限り,組織自体は維持されてしまうという特徴があります。
 そのため,個々の事件に直接関与した関係者を明らかにして検挙することも重要ですが,組織犯罪に対しては,背後関係を含めた組織の全貌を明らかにして,組織自体を壊滅させることが重要となります。

特殊詐欺事件

 特殊詐欺とは,不特定多数の人を狙い,電話やはがき,電子メール等の様々な媒体を用いて被害者に接触し,様々なうそを駆使して金をだまし取る詐欺事件をいいます。
 その手口は,相手の親族等になりすまして金が必要だというオレオレ詐欺,振り込め詐欺と呼ばれるものから,架空の請求を装うもの,還付金等を受け取る手続だとうそをつくもの,最近では,キャッシュカードが不正利用されていると言って封筒に封入させ,金融機関等を装った人物が訪問して隙をついて封筒をすり替えてキャッシュカードを盗む手口も多く発生しており,日々,新たな手口が生まれている状況にあります。
 私は,現在,東京地方検察庁で,このような特殊詐欺事件を担当しています。
 特殊詐欺事件では,うその電話を架ける「架け子」,現金を受け取ったりキャッシュカードをすり替える「受け子」,キャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」と呼ばれる実行犯らに加えて,その現金を回収して組織に運搬する役,SNS等で「高額バイト」などと標榜して受け子らを勧誘して採用する役,偽造の身分証や犯行に必要な道具を準備する役など,役割が細分化されていることが多く,最近では,捜査が及びにくい海外に架け子らのアジトを構え100名を超えるメンバーが関わるような極めて大規模な特殊詐欺組織もあります。
 個々の事件から組織的な背後関係を解明していくことは決して容易なことではありませんが,警察とも連携を密にし,組織の壊滅に向けた粘り強い捜査を行い,ときには,海外の機関に国際的な捜査協力を求めたり,犯罪の成否の判断が難しい新たな手口の事件が発生した場合には,固定観念にとらわれない柔軟な発想で法解釈を検討し,あらゆる法令を駆使して事件に臨むなどして,特殊詐欺事件の撲滅を目指しています。

さいごに

 規模の大きな組織犯罪の捜査では,警察も検察庁も多くの人員で臨み,正にワンチームとして取り組むことも多く,一筋縄ではいかない場面もありますが,その分,社会に与える影響が大きい組織犯罪を検挙し,組織を壊滅できた際には,大きな充実感も得られます。
 新たな仲間の一人として,皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。