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独自事件の捜査


大阪地方検察庁検事
経歴
 平成18年に任官後,東京,名古屋,那覇,千葉,福岡,札幌,大阪,高知の各地方検察庁で勤務。

独自捜査

「独自捜査」とは

 独自捜査とは,検察官自ら検挙摘発して行う捜査のことで,警察等の第一次捜査機関が捜査し,検察庁に送致する事件とは異なり,検察庁で,事件を認知し,一から証拠を収集し,事件として立件した場合は,その終局処分を行います。
 独自捜査は,東京・大阪・名古屋の各地検特別捜査部や,中規模地検の特別刑事部をはじめ,全国の地検で行われており,政治家や公務員による汚職事件,法律や経済についての高度な知識を要する企業犯罪等がその典型例です。

端緒を「つかむ」

 独自捜査をスタートするには,端緒を「つかむ」必要があります。端緒は様々で,告訴・告発,投書など,第三者からの情報提供が端緒になることもあれば,テレビ,新聞,雑誌,ネット情報など種々の情報から端緒を「つかむ」場合もあります。 

事件を「掘る」

  端緒をつかんだだけでは,まだ強制捜査に入れるだけの証拠は集まっていないことがほとんどですから,内偵捜査を進め,証拠を収集していきます。これを,事件を「掘る」と言います。「ブツ」を収集し,「ブツ読み」をし,関係者から話を「訊く」ことになりますが,その際,検察庁で捜査していることが被疑者等に知られれば,口裏合わせ・証拠の隠滅,逃亡等がなされる可能性もあるため,「保秘」に留意し,時々刻々と変化する捜査状況を踏まえ,適切な捜査処理手順を検討し,捜査を遂行する必要があります。
 また,近年では,パソコンやスマートフォンの普及により,DF(デジタルフォレンジック)捜査の重要性が増しており,独自捜査でDF捜査がない場面はありませんが,これまでどうしてもわからなかった部分が,膨大なDF証拠の中から,たった一つのメールや削除ファイルを見つけ出したことによって解明できたり,関係者から重要な供述を得て,新たな証拠物が見つかったりするなど,捜査が進展していったときは,真実発見の喜びを感じることができます。

事件を「まとめる」

 こうして,事件を掘り進め,強制捜査に入れるだけの証拠が収集できたら,次に,捜索差押え・逮捕など,強制捜査への移行の要否を検討します。そして,捜査を遂げたら,多数のブツ,関係者の供述等を踏まえ,事実(真実)を認定し,法律家として,認定した事実に法律を解釈・適用し,事件を「まとめ」,起訴・不起訴等の処分を行います。

「応援」

 独自捜査は,対象となる事件も複雑・難解で,DF証拠など読むべきブツ,訊くべき人も多いですから,一人ではできず,主任と「応援」の検察官・検察事務官とがチームを組み,英知を結集して,一つの事件に立ち向かいます。
 身体的・精神的な大変さはもちろんありますが,真実を発見するまでの悩み・産みの苦しみや,真実を発見できたときの喜びも,チームみんなで共有し,同じ方向を向いて仕事ができるのも独自捜査の魅力の一つです。

おわりに

 以上,独自捜査について,その一端を紹介させていただきましたが,数ある検事の職務の中で,魅力的な職務の一つとして,興味を持っていただければ幸いです。
 皆さんと,一緒に仕事ができることを楽しみにしています。