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厚生労働省


厚生労働省大臣官房総務課 法務指導官
経歴
 平成20年に任官後,東京,さいたま,宇都宮,大阪,横浜の各地方検察庁で勤務。
 その他,厚生労働省で勤務。

厚生労働省に出向して~行政機関における法律家として~

厚生労働省について

 「厚生労働省」という言葉は,皆さんも日々色々なところで目や耳にしていると思います。それは,厚生労働省の所管業務が,健康・医療,子ども・子育て,福祉・介護,雇用・労働,年金等であり,いずれも国民生活に身近に関係しているためだと思います。そのため,厚生労働省は,中央省庁の中でも国民生活と最も関係が深い行政機関であるといえます。
 この厚生労働省に,捜査・公判が主たる業務の検事が出向していることを知っている方は少ないのではないでしょうか。 

厚生労働省における検事の役割

 私は,平成31年4月から厚生労働省に出向して大臣官房総務課法務室に所属し,同室において私を含め合計4名(検事2名及び弁護士2名)で仕事をしています。
 業務内容は,省内の各部局から法的な問題等について相談を受けて対応するというものです。厚生労働省は行政訴訟や審査請求などが多く,それら訴訟案件等の対応は法律家の業務として想像し易いと思います。しかし,それに限られず,行政処分や公表等についての助言,契約関係等の対応,行政調査・刑事事件等の対応,法令・通達・制度の制定時や改正時の検討など,案件の内容は様々です。中でも,争訟に至っていないものの今後,発展するおそれのある法的な問題について,助言等をする「予防司法」の分野に該当する相談が,多数を占めるようになっています。広範囲かつ大規模な業務を所管している厚生労働省において,私たちが省内の法律家として,各案件に迅速かつ適切に対応することで厚生労働行政の円滑な推進に役立っており,また,予防司法分野に対応することにより無用な紛争等を防止するのにも役立っています。
 行政調査・刑事関係の案件などは,検事としての知識・経験を直接活かせる分野ですが,案件の多くは民事・行政関係であり,検事がどれほど役に立てるのかと疑問を感じるかもしれません。しかし,検事は,捜査・公判の仕事により事案分析能力,事実認定能力及び法律解釈能力など法的な問題に対応するために必要な能力が培われており,民事・行政関係の案件の際にもこれらの能力をいかし,一法律家として他の室員らと意見交換しながら日々の業務に取り組むことができていると思います。また,検事は,弁護士とは違って行政官であり,行政的な視点や判断という点も考慮して意見を述べることも求められています。
 このように,検事である私は,厚生労働省という行政機関の法律家として働いています。

他省庁に出向することの意義

 私は,これまで捜査・公判の仕事の経験しかありませんでしたが,厚生労働省で国民生活に関係する法的な問題等に多数対応する中で,多くの社会制度や事象等について経験を積むことができ,また,各案件の検討過程で1つの問題について様々な角度から意見を交わす経験をし,知見や視野を広げることができていると感じています。この経験は,今後,検事として捜査・公判の仕事を行う際にも必ず役に立つと考えています。
 検事を目指す皆さんも,いずれは行政機関における法律家という立場を経験し,知見や視野を広げていただければと思います。