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シニア検事


静岡地方検察庁沼津支部検事
経歴
 平成21年に任官後,東京,大阪,新潟,さいたま,横浜,静岡の各地方検察庁で勤務。
 その他,弁護士職務経験に従事。
 また,一般財団法人日本サイバー犯罪対策センターに派遣。

シニア検事の仕事

「一人前」の検事とは

 私は,検事に任官して11年目で,検事のキャリアの中では「シニア検事」と呼ばれる時期に該当します。
  「シニア」という言葉に皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか。英語のseniorは「老齢の」という意味のsenexの比較級だそうです。2つのものを比較して相対的により年齢を経たものを指してseniorということですね。
  検察庁では,「A庁検事」までの教育期間を終えた検事のことを「シニア検事」と呼びます。先輩検察官や経験豊富な検察事務官から受けた数々の教えを活かし,いよいよ自分自身の力で検察を支えていく,検事としての力を発揮していくというのが,シニア検事なのです。
  私は,これまで,様々な地検で検事として仕事をしてきましたが,そのキャリアの中で,弁護士職務経験制度で弁護士として仕事をしたり,外部の機関に派遣されてサイバー犯罪への対策を学んだりしたこともありました。
  こういったこれまでのキャリアを活かしながら,自分なりの検察官像を実現させていくのが,「一人前の検事」つまり「シニア検事」の立ち位置なのだと思います。

関連する捜査機関との連携

 「A庁検事」までの検事の仕事は,警察から送致される事件を捜査して,起訴・不起訴の処理をすることが基本でしたが,シニアになると,受け身になって送致された事件を処理するだけでは十分ではありません。事実関係が複雑で法律上の問題点も多い重大事件について,送致前に警察等捜査機関の担当者から事件相談を受けて助言をする仕事も,シニア検事の重要な役割の一つです。
 こういった事件では,捜査に携わる捜査官も多く,時には捜査本部が設置されている警察署に赴いて,捜査の進捗状況を確認させてもらうこともあります。私自身が警察による捜索の現場にも立ち会って,証拠物の押収に漏れがないように確認したり,事件現場に行って写真や映像では分からないその場の詳細な状況を把握したりといった,体を動かす捜査をすることもあります。また,犯罪の痕跡を見つけ出すために,警察官と足並みをそろえて証拠物から抽出したデータを解析したこともありました。
  関係者から話を「聴く」ことはもちろん大切ですが,直接現場を「見て」,証拠に「触れる」といった行動も,真実を明らかにして適切な処分をする上ではとても重要なことです。検事が体を動かして,現場に赴き,一緒に汗をかくと,同じ事件に向き合ってくれている警察の士気も上がります。

シニアの仕事の醍醐味

 裁判員裁判が当たり前の時代になり,刑事司法の世界は大きな変革期にあると感じます。その中で,捜査でも公判でも,最前線に立つのがシニアのキャリアにある検事です。
 担当する事件が社会的に耳目を集める重大事件であることもあります。実際の事件をきっかけに法律が変わることや,新たな公判のトレンドを生み出すこともあるかもしれません。
 自分の仕事が新たな時代の検察や刑事司法を形作っていく。
 そんな仕事,素敵だとは思いませんか。