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在外研究(長期)


在外研究員
経歴
 平成27年に任官後,東京,広島の各地方検察庁で勤務。
 その他,法務省刑事局で勤務。
 現在,英国で2年間の在外研究中。
 

英国大学院への留学

長期在外研究とは

 私は,現在,人事院の行政官長期在外研究員制度を利用して英国の大学院へ留学しています。同制度は,各府省の行政官を諸外国の大学院へ2年間派遣し,公務に関連する研究に従事させるものです。研究員は,数ある大学院及び課程の中から,自己の職務との関連性が認められる限り,自由に研究先を決定することができます。英国の大学院は,1年間で修了する様々な法分野の修士課程を提供しているため,同制度により英国へ留学した場合,研究員は,2つの大学院(修士課程)で,複数の法分野の研究に従事する機会を得られます。私の場合,留学1年目は,ランカスター大学に在籍し,主に犯罪学や国際人権法を学びました。留学2年目の現在は,ロンドン大学クイーンメアリー校の刑事司法に特化した課程において,主に国際的な刑事法制について学んでいます。

大学院での研究

 大学院の授業は,基本的に,少人数のセミナー形式で行われ,毎回,大量のリーディング課題が課されます。授業中は,講師から投げかけられる問いに対して自身の見解を積極的に述べることが求められます。また,グループワークやプレゼンテーションを求められる機会も少なくありません。そのため,日々の授業は緊張の連続です。私には,英国留学前に犯罪学や国際人権法,国際的な刑事法制を本格的に学んだ経験がないため,相当程度の知識を有することを前提に次々と積み重ねられていく議論をその場で理解し,即座に発言することが難しく感じることも少なくありませんが,少しでも議論に貢献できるように悪戦苦闘しながら,法律家としての素養の向上に努めています。
 英国の法学修士課程には,世界各国から法律家や政府職員等が自己の専門分野を磨くために集っています。そのため,学生の構成は非常に国際色豊かで,中には特定の分野について専門的・実務的知見を有している者もいます。それゆえ,議論の際には,出身国の司法制度に関する説明や出身国の立場からの見解を求める質問が飛び交うことがあります。そのような際に,日本の法律家として,適切な発言ができるよう我が国の司法制度等に対する理解を深める必要性も日々痛感しています。

留学により得られるもの

 英国の大学院への留学という貴重な機会に恵まれたことで,職務に関連するものの今まで十分に学ぶ機会がなかった犯罪学等の分野に関する知見や英国等の他国の刑事司法制度に関する知見を得られることは,今後検事としてのキャリアを積んでいく上で非常に有意義なことであると感じています。また,これらに関する研究は,我が国の刑事法制や刑事司法実務の在り方を多角的な視点から見つめ直したり,捜査・公判の現場での自身の過去の執務を振り返る契機にもなっています。加えて,留学によって研究に専心する時間をいただけたことにより,現場で事件と向き合っていた際には意識することのなかった検事の職務の多様性や,その職責を果たすために学ぶべき事柄は尽きないということを再認識できました。
 検事を志す皆さんには,検事になることの魅力の一つとして,留学により法律家としての素養を向上させる機会が得られる可能性があることを知っていただければ嬉しく思います。