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オウム真理教の概要

より詳しい情報はオウム真理教問題デジタルアーカイブをご参照ください。

オウム真理教(団体)は、麻原彰晃こと松本智津夫が教祖・創始者として設立した団体です。団体は、麻原の指示の下、一般市民に対し、猛毒の化学兵器であるサリンを使用して無差別大量殺人に及んだ松本・地下鉄両サリン事件等、数々の凶悪事件を敢行しました。

営団地下鉄・築地駅から地上に運び出され、救急車等に収容される乗客(平成7年3月20日、写真:朝日新聞社/時事通信フォト)(地下鉄サリン事件)

営団地下鉄・築地駅から地上に運び出され、救急車等に収容される乗客
(平成7年3月20日、写真:朝日新聞社/時事通信フォト)(地下鉄サリン事件)

サリンがまかれた地下鉄車両を洗浄する自衛隊員(平成7年3月20日、写真:陸上自衛隊)(地下鉄サリン事件)

サリンがまかれた地下鉄車両を洗浄する自衛隊員
(平成7年3月20日、写真:陸上自衛隊)(地下鉄サリン事件)

オウム真理教の現状や組織概要

オウム真理教の変遷の概要

団体は、現在、麻原への絶対的帰依を明示する「Aleph(アレフ)」、「山田らの集団」(以上、主流派)及び麻原の影響力を払拭したかのように装う「ひかりの輪」(上祐 派)を中心に活動を続けており、日本国内に約1,600人の構成員を擁し、15都道府県 下に拠点施設として30施設を有しているほか、ロシア連邦内にも構成員を擁していま す。以下、近年におけるそれぞれの状況を概観したものです。

主流派 「Aleph(アレフ)」

“麻原絶対”を堅持しつつ、組織拡大に向けた動きが活発

麻原らの死刑執行(平成30年7月)後も変わらず“麻原絶対”を掲げ、麻原への帰依を深めるための活動等を行っています。また、組織拡大に向け、団体名を秘匿して、若い世代を主な対象とする勧誘活動を行い、特に、SNSやウェブ会議システムなど非対面型の勧誘手法を用いるなどして、新規構成員獲得に向けた活動を行っています。

麻原の肖像写真を施設内に掲示

「Aleph(アレフ)」は、麻原の死刑執行後も、施設内の祭壇等に麻原の肖像写真を掲示しています。

  • 横浜施設(神奈川)に対する立入検査(令和5年6月)で確認した祭壇※祭壇中央に麻原の写真

    京都施設(京都)に対する立入検査(令和6年5月)で確認した祭壇
    ※祭壇左に麻原の写真

現在も麻原への帰依を深めるための活動を実施

◆ 団体が凶悪事件を引き起こした1980年代から90年代にかけて、団体施設内に設置していた祭壇と同様の祭壇を、現在も全国各地の団体施設内に設置しています。なお、麻原が、祭壇に設置している宗教画について自身と同一視するよう指導していたことを受け、構成員らは、現在も祭壇に向かって麻原への帰依を誓う文言を唱えるなどの活動を継続しています。

  • オウム真理教総本部(静岡、当時)の道場で修行する構成員たち(平成元年12月、写真:読売新聞/アフロ)

    オウム真理教総本部の道場(静岡、当時)で修行する構成員たち
    (平成元年12月、写真:読売新聞/アフロ)

  • 八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和6年10月)で確認した祭壇

    八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和6年10月)で確認した祭壇

◆ 「パーフェクト・サーヴェーション・イニシエーション」(PSI)と呼ばれる、“麻原の脳波データを注入する”とされる器具(ヘッドギア)を使用しています。

  • 「PSI」(ヘッドギア)を着けたオウム真理教の構成員(平成7年3月、写真:共同)

    「PSI」(ヘッドギア)を着けたオウム真理教の構成員(平成7年3月、写真:共同)

  • 生野施設(大阪)に対する立入検査(令和5年4月)で確認した「PSI」(ヘッドギア)

    生野施設(大阪)に対する立入検査(令和5年4月)で確認した「PSI」(ヘッドギア)

◆ 団体施設内に「パーフェクト・サーベーション・イニシエーションを受けよう!」と記載された印刷物を掲示するなどして、構成員に「PSI」(ヘッドギア)の使用を推奨しています。

  • 足立入谷施設(東京)に対する立入検査(令和6年4月)で確認した印刷物

    足立入谷施設(東京)に対する立入検査(令和6年4月)で確認した印刷物

◆ 麻原の著書等に収載された麻原の発言を暗記する「教学」と呼ばれる修行を実施しています。

  • 八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和6年4月)で確認した教本

    八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和6年4月)で確認した教本

  • 札幌白石施設(北海道)に対する立入検査(令和6年5月)

    札幌白石施設(北海道)に対する立入検査(令和6年5月)

◆ 構成員は、現在も、過去の麻原の説法映像を視聴しています。

  • 八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和5年6月)で確認した麻原の説法映像

    八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和5年6月)で確認した麻原の説法映像

◆ 麻原の唱える「マントラ」を電気信号化したデータを流して作るとされる「甘露水(かんろすい)」と呼ばれる水を飲用しています。

  • 八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和6年4月)で確認した「甘露水」のタンク

    八潮大瀬施設(埼玉)に対する立入検査(令和6年4月)で確認した「甘露水」のタンク

未成年者に対する指導を実施

「Aleph(アレフ)」の施設では、日常的に、在家の構成員である親に連れられて(又は一人で)、各種イベントに参加するなどしている未就学児や小・中学生が存在します。「Aleph(アレフ)」は、これらの未成年者に対して、麻原の教えや修行の重要性を題材とするイラストを多用した"未成年者向けの教材“を用いるなどして、幼少の頃から、麻原の説く教えの刷り込みを図っています。

札幌施設(北海道)に対する立入検査(令和6年5月)で確認した子供用教材

札幌施設(北海道)に対する立入検査(令和6年5月)で確認した子供用教材

賠償逃れを企図

「Aleph」は、団体規制法に基づき、全ての資産等を報告する義務を負っていますが、令和2年2月以降、報告事項の一部を報告していません(一部不報告)。この一部不報告には、「Aleph」が実質的に経営する複数の収益事業(出家した構成員が在家の構成員に対する物品販売等を行うなどの事業)の資産の不報告が含まれています。「Aleph」がこのような資産の不報告を続けている理由には、“資産隠し”の意図があるものといわざるを得ない状況にあります。すなわち、「Aleph」は、地下鉄サリン事件等の被害者・遺族への支援活動等を行うことを目的として設立された「オウム真理教犯罪被害者支援機構」に対し、多額の損害賠償債務を負っているところ、現在も多額の資産を保有しているとみられる(※)にもかかわらず、平成30年以降は、賠償金の支払を一切行わなくなっており、このような資産の不報告等による“資産隠し”を強行し、約10億円に上る残債務を支払うよう命じた最高裁判決(令和2年11月判決確定)も無視して、現在に至るまで賠償逃れを続けています。

※「Aleph」は、報告資産額について、令和元年11月に約13億円を報告していたところ、令和5年2月には約1,700万円まで急減させていますが、公安調査庁の立入検査等の結果によると、実際には近年でも少なくとも8億円程度の資産を保有しているとみられます。

主流派「山田らの集団」

平成27年1月以降、「Aleph(アレフ)」から一定の距離を置いて活動

「山田らの集団」は、平成27年1月以降、「Aleph(アレフ)」と一定の距離を置いて活動しています。麻原の死刑執行後も、「Aleph(アレフ)」と同様に、施設内に麻原の写真や麻原が自身と同一視するよう述べた宗教画を掲示したり、麻原の発言を収載した教材等を用いた活動を行ったりするなど、引き続き、麻原に対する絶対的帰依を示しています。

  • 金沢施設(石川)に対する立入検査(令和5年7月)で確認した麻原の写真(左上枠内)及び「Aleph(アレフ)」と同様の祭壇(中央右)

    金沢施設(石川)に対する立入検査(令和5年7月)で確認した麻原の写真(左上枠内)及び「Aleph(アレフ)」と同様の祭壇(中央右)

  • 金沢施設(石川)に対する立入検査(令和6年12月)で確認した「Aleph(アレフ)」と同様の「甘露水」のタンク

    金沢施設(石川)に対する立入検査(令和6年12月)で確認した「Aleph(アレフ)」と同様の「甘露水」のタンク

  • 金沢施設(石川)に対する立入検査(令和6年12月)で確認した団体刊行物

    金沢施設(石川)に対する立入検査(令和6年12月)で確認した麻原の著書等が収納された書棚

  • 武蔵野施設( 東京) に対する立入検査( 令和6年9月) で確認した麻原の著書等が収納された書棚

    武蔵野施設( 東京) に対する立入検査( 令和6年9月) で確認した麻原の著書等が収納された書棚

上祐派「ひかりの輪」

“麻原隠し”を徹底し、観察処分を免れるための取組を強化

「ひかりの輪」は、オウム真理教から名前を変えた「宗教団体・アレフ」の代表等を務めた上祐史浩が、平成19年5月、組織の存続を求めた麻原の意思(※)に従って設立した団体です。

「ひかりの輪」においては、麻原を投影した仏画を施設内に掲示し続けているほか、年3回の「集中セミナー」(1月、5月、8月)などにおいて、麻原が行った活動の基礎的ないし本質的部分を維持したカリキュラムを実践しています。
さらに、「聖地巡り」と称し、かつて上祐派が、“麻原ゆかりの地”と独自に位置付けた神社仏閣等を繰り返し訪問しています。

※麻原は、地下鉄サリン事件後の平成7年5月、法務大臣が団体に対して破壊活動防止法の適用を検討する旨を表明したことを受けて、団体が存続できなくなる事態を危惧し、幹部構成員に対して、①団体の危険性を除去したように仮装すること、②組織を分割して、一方の組織の存続が困難となった場合にもう一方の組織がその受皿となれるよう準備することを指示しました。

  • 南烏山施設(東京)に対する立入検査(令和6年8月)で確認した仏画

    南烏山施設(東京)に対する立入検査(令和6年8月)で確認した仏画

  • 「聖地巡り」(令和5年11月)

    「聖地巡り」(令和5年11月)

団体による勧誘活動の手法

団体のうち、特に「Aleph(アレフ)」は、組織拡大に向け、近年、オウム真理教に関する知識の少ない若い世代(主に30歳以下)を主な対象とする勧誘活動を行っており、団体名を秘匿して運営するヨーガ教室等の偽装サークルに誘って人間関係を深めた後に、団体へ入会させています。以下では、「Aleph(アレフ)」の勧誘活動の流れについて解説します。

「Aleph(アレフ)」の勧誘活動の流れ

1.偽装サークルから勉強会に誘導(第一段階)

・団体名を秘匿したまま、サークル仲間やイベント参加者を募集するウェブサイト上において、「ヨーガ、心理学、メンタルヘルス等が学べる」などと宣伝する。

・募集の対象を主に30歳以下に設定し、オウム真理教に関する知識の少ない若い世代を勧誘対象にしている。

実在する偽装サークルの募集案内に基づいて当庁作成

実在する偽装サークルの募集案内に基づいて当庁作成

・応募又は問合せをしてきた者に対して、ウェブ会議システムなどを通じて説明会を行い、勉強会に参加するよう促す。

実際のやり取りに基づいて当庁作成

実際のやり取りに基づいて当庁作成

2.勉強会を重ねて人間関係を構築(第二段階)

・勉強会では、構成員が団体名を秘匿した状態で、講師役やその補佐役、サークルの会員役などとして登場し、ヨーガや心理学などの講義や質疑応答、雑談を通じて、勧誘対象者との距離感を縮めていく。また、勧誘対象者の悩みを聞き出し、相談に応じるなどして人間関係を構築する。

・勉強会の内容については、次第に宗教や精神世界に関するものに移行していき、麻原の名前を出さずにその教えの内容を一般的なものとして解説する。そして、人間関係が一定程度熟してきたところで、地下鉄サリン事件などはオウム真理教以外の者による陰謀であると説明するなどしながら、勧誘対象者が団体に対する抵抗感を持たないように誘導する。

「Aleph(アレフ)」の施設に対する立入検査で確認した勧誘用とみられる資料

「Aleph(アレフ)」の施設に対する立入検査で確認した勧誘用とみられる資料

・国内外の様々な分野の有名人の名前を挙げながら「○○(名前)を信用できますか?」と質問を繰り返し、その中で「麻原彰晃を信用できますか?」と麻原の名前を出すことで、勧誘対象者の麻原に対する抵抗感の有無をうかがうケースも見られる。

3.団体名を明かして入会へ(第三段階)

・人間関係が構築され、団体に対する抵抗感が見られず、入会に応じるだろうと判断した段階で、勧誘対象者に団体名を明かして入会を促す。

・この際、勧誘対象者が動揺するなどし、入会の意思を示さない場合、「今まで学んできたことが無駄になる」と強い口調で詰め寄るなどして、勧誘対象者にとって断りづらい精神状態や環境に追い込んで入会させる。

※参考:警察庁のホームページ(オウム真理教に関する記載)へ

オウム真理教対策のいま

【概要】
公安調査庁は、平成12年2月以降、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)の規定に基づき、いわゆるオウム真理教(団体)に対する観察処分を適正かつ厳格に実施しており、令和5年10月には、公安審査委員会に対して、同処分の8回目となる期間の更新を請求しました。この請求を受け、公安審査委員会は、令和6年1月、団体について、現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があり、引き続き、観察処分によってその活動状況を継続して明らかにする必要性があると認め、観察処分の期間を3年間更新する決定をしました。

また、上記観察処分に付されている団体のうち「Aleph(アレフ)」について、令和3年5月以降、組織や活動の現状に関する報告を一切行わなかったことから、公安調査庁⾧官は、同年10月、団体規制法施行以来初の再発防止処分の請求を公安審査委員会に対して行いました(その後、「Aleph(アレフ)」が報告を行ったことを受け、同請求を撤回)。
「Aleph(アレフ)」は、その後も、報告すべき事項の一部を報告しなかったことから、公安調査庁⾧官は、令和5年1月、同年7月、令和6年2月、同年7月及び令和7年1月、再発防止処分(①「Aleph(アレフ)」管理下の施設の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、②金品等の贈与を受けることの禁止)の請求を公安審査委員会に対して行い、公安審査委員会は、いずれの請求についてもこれを認めて、再発防止処分を行うことを決定し、令和5年3月以降、「Aleph(アレフ)」に同処分が課されています(令和7年9月20日まで)。

団体施設周辺に居住する住民等は、依然として、団体に対して恐怖感・不安感を抱いており、同住民等で結成された複数の住民協議会は、団体施設の退去や団体の解散等を求めて抗議活動等を実施しています。さらに、団体施設が所在する地方公共団体を始めとする全国25の地方公共団体で組織された「オウム真理教対策関係市区町連絡会」やその他の地方公共団体は、令和6年中も、法務大臣や公安調査庁⾧官等に対して、団体に対する観察処分の期間更新等を求める要請行動を実施しました。

1.公安調査庁における取組等

観察処分の適用

・平成11年12月、公安調査庁⾧官が公安審査委員会に対して、団体に対する観察処分を請求。

・平成12年1月、公安審査委員会が、観察処分を決定。

・平成15年1月に観察処分の期間を更新して以降、公安審査委員会が、3年ごとに同処分を更新。

・令和5年10月、公安調査庁⾧官が公安審査委員会に対して、団体に対する8回目となる観察処分の期間更新を請求。

・令和6年1月、公安審査委員会が、観察処分の期間を3年間更新することを決定(令和9年1月31日満了)。

参照:「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告」

<観察処分の実施状況等>

① 団体施設に対する立入検査を実施

公安調査庁は、令和6年中、15都道府県下延べ45施設に対して立入検査を実施しました。なお、団体は、主流派・上祐派のいずれの構成員も、検査官の質問を無視したり、「質問に答える義務はない」と答えたりするなど、従前同様に検査に対する非協力姿勢を示しました。特に「Aleph(アレフ)」は、検査中も、複数のビデオカメラを使用して、検査官の容貌を含め、検査の状況を終始撮影し続けて検査官をけん制したり、検査行為に抵抗したりするなど、非協力姿勢が顕著でした。こうした抵抗があったものの、公安調査庁は、立入検査を適正かつ厳格に実施しました。

② 団体からの報告書を徴取

各年、団体から3か月ごと・4回にわたり、構成員の氏名・住所や団体の土地・建物、資産等、団体の組織現勢等に関する報告書を徴取しています。

③ 地方公共団体に対して調査結果を提供

関係地方公共団体の施策に資するとともに、団体施設の周辺に居住する住民の恐怖感・不安感を解消・緩和するため、関係地方公共団体の⾧の求めに応じて、観察処分に基づく調査の結果を提供しています。令和6年中は、40の地方公共団体に対して、延べ20件提供しました。

④ 地域住民との意見交換会を実施

団体施設の周辺に居住する住民の恐怖感・不安感を解消・緩和するため、地域住民との意見交換会を開催しており、令和6年中は、合計28回開催されました。

再発防止処分の請求等

◆1度目の再発防止処分決定までの経緯

①再発防止処分の請求(令和3年10月25日)

観察処分に付されている「Aleph(アレフ)」について、公安調査庁長官は、令和3年10月25日、団体規制法の規定に基づき、公安審査委員会に対して再発防止処分の請求を行いました。
「Aleph(アレフ)」は、従前より、同法で定められている報告すべき事項の一部について報告していなかったところ、公安調査庁としては、報告を促すための指導を行ってきました。
これに対し、「Aleph(アレフ)」は、指導に応じないばかりか、報告期限である令和3年5月及び8月に報告すべき事項を全く報告せず、その後も、公安調査庁からの指導に応じませんでした。
こうした状況により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難となっていることから、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握すべく、再発防止処分の請求を行ったものです。
本請求に係る処分の内容は、(1)土地・建物の新規取得・借受けの禁止、(2)当該団体管理下の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、(3)勧誘行為等の禁止、(4)金品等の贈与を受けることの禁止であり、処分の期間は6か月間が相当であるとして請求しました。

②再発防止処分請求の撤回(令和3年11月19日)

同請求の審査が進行する中において、令和3年11月、「Aleph(アレフ)」から、不報告となっていた令和3年5月及び8月を報告期限とする報告書と、同年11月を報告期限とする報告書がそれぞれ提出されました。
これらの報告書が提出されたことを受け、公安調査庁は、令和3年11月19日、当該請求を撤回しました。
もっとも、提出された報告書には、団体規制法で定められている報告すべき事項の一部についての記載がないこと等から、重要施設に対する立入検査を実施するとともに、適正な報告を行うように是正指導を行うなど厳正に対応してきました。

③ 再発防止処分の請求(令和5年1月30日)

「Aleph(アレフ)」は、令和3年の再発防止処分請求の撤回後も、団体規制法で定められている報告すべき事項の一部を報告しておらず、公安調査庁としては、報告の是正を求める指導を繰り返し行ってきました。これに対し、「Aleph(アレフ)」は、公安調査庁からの度重なる指導に応じることなく、報告すべき事項の一部を報告していない状況が続いていました。
こうした状況により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難となっていることから、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握するため、公安調査庁⾧官は、令和5年1月30日、同法の規定に基づき、公安審査委員会に対して、再発防止処分を請求しました。
本請求に係る処分の内容は、(1)当該団体管理下の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、(2)金品等の贈与を受けることの禁止であり、処分の期間は6か月間が相当であるとして請求しました。この請求を受け、公安審査委員会は、同年3月13日、「Aleph(アレフ)」に対して、請求どおり再発防止処分を行うことを決定し、同月20日、同決定について官報公示を行いました。「Aleph(アレフ)」は、官報公示の日の翌日である同月21日から9月20日までの6か月間、(1)「Aleph(アレフ)」が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部を使用することが禁止され、また、(2)金品等の贈与を受けることが禁止されました。

◆1度目の再発防止処分決定以降

          
公安庁の請求日 公安審の決定日 従前との差異
令和5年7月14日 令和5年9月4日
(2度目)
1度目の再発防止処分の期間中、一部を使用することが禁止された建物において処分を潜脱する動きが少なからず見られたことを受け、当該建物に係る使用禁止場所を拡張。
令和6年2月1日 令和6年3月11日
(3度目)
2度目の再発防止処分の期間中における「Aleph」の活動状況等に鑑み、一部使用禁止を求める建物につき、新たに3施設を追加。
令和6年7月22日 令和6年9月4日
(4度目)
3度目の再発防止処分の期間中における「Aleph」の活動状況等に鑑み、既に一部使用禁止とされている建物のうち1施設において使用禁止場所を拡張。
令和7年1月27日 令和7年3月10日
(5度目)

公安調査庁としては、引き続き、報告義務を十分に果たさない「Aleph(アレフ)」に対して毅然とした態度で臨み、同法に基づく規制措置の実施等により、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・緩和に鋭意努めてまいります。

組織的違法行為の取締り状況

平成21年9月
構成員勧誘の場に使う美容室を無免許で営んでいた事件(美容師法違反)
平成22年12月
構成員勧誘の場に使うスナックを無許可で営んでいた事件(食品衛生法違反)
平成23年7月
公安調査庁の立入検査を妨害した事件(団体規制法違反)
平成25年2月
公安調査庁の調査を妨害した事件(公務執行妨害)
平成27年7月
聖地巡りと称する旅行の募集等を旅行業登録を受けないで行っていた事件(旅行業法違反)
平成28年9月
公安調査庁の立入検査時に名簿等を隠匿した事件(団体規制法違反)
平成29年1月
公安調査庁の立入検査時に公安調査官による携行品の確認を受けることなく施設外に出て検査を困難にした事件(団体規制法違反)
平成30年1月
団体名を隠して仏教の勉強会を装って勧誘した際、入会契約時に契約書等を交付しなかったり、契約解除を妨げるため不実の告知をした事件(特定商取引法違反)
平成30年2月
団体施設として使用することを隠してマンションを借りた事件(詐欺)
令和元年12月
構成員が銀行口座をヨーガ教室の運営に使用する目的であるのに、共犯者が利用するかのように装って開設した銀行口座を譲り受けた事件(詐欺)
令和2年2月
公安調査庁の立入検査時にパソコンを隠匿した事件(団体規制法違反)
令和2年2月
構成員が失業給付金を不正に受給した事件(詐欺)
令和3年2月
構成員が失業給付金を不正に受給した事件(詐欺)
令和3年4月
公安調査庁の立入検査を妨害した事件(公務執行妨害)
令和3年5月
団体名を秘匿したヨーガ教室を装って勧誘した際、入会契約時に契約書等を交付しなかったり、団体への勧誘である事実を告知しなかった事件(特定商取引法違反)
令和3年5月
団体の活動拠点として使用する事実を隠して、住居用として使用する旨を不動産会社に虚偽申告し、マンションの一室を借りた事件(詐欺)
令和4年12月
団体名を秘匿したヨーガ教室を装って勧誘した際、入会契約時に契約書等を交付しなかったり、団体への勧誘である事実を告知しなかった事件(特定商取引法違反)
令和5年12月
公安調査庁の立入検査時に資料を抱え込み検査を拒否した事件(団体規制法違反)
令和5年12月
公安調査庁の立入検査時に再発防止処分により使用を禁じられた道場で、検査官の記録用ビデオカメラの前に立ちはだかるなどして検査を妨げた事件(団体規制法違反)
令和6年1月
契約者とともに契約者以外の者を居住させる目的を隠して、マンションの一室を借りた事件(詐欺)

2.関係地方公共団体や地域住民等の取組

地方公共団体による要請活動

団体施設が所在する地方公共団体を始めとする全国25の地方公共団体で組織された「オウム真理教対策関係市区町連絡会」やその他の地方公共団体は、令和6年中、法務大臣や公安調査庁⾧官等に対し、団体に対する観察処分の期間更新や法規制の強化等を求める要請活動を実施しました。
このうち、令和6年12月13日には、同連絡会関係者らが、法務大臣及び公安調査庁⾧官に対し、団体に対する観察処分の期間更新や法規制の強化を求める要請書等を提出しました。

  • 「オウム真理教対策関係市区町連絡会」関係者らによる法務大臣に対する要請行動(令和6年●月●日)

    「オウム真理教対策関係市区町連絡会」関係者らによる法務大臣に対する要請行動(令和6年12月13日)

地域住民による抗議活動等

団体施設周辺の地域住民等で結成された全国の住民協議会は、例年、施設からの退去や団体の解散等を求める集会やデモ等を各地で実施しているところ、令和6年中は、以下の協議会が、抗議集会を実施したり、抗議文等を団体施設に投函したりしました(下表参照)。

対象施設 主催 実施日 内容
足立入谷施設(東京) 足立入谷地域オウム真理教(アレフ)対策住民協議会 3月16日 抗議集会及び抗議デモを実施
南烏山施設(東京) 烏山地域オウム真理教対策住民協議会 5月11日 抗議集会及び抗議デモを実施
南烏山施設(東京) 烏山地域オウム真理教対策住民協議会 11月9日 抗議集会及び抗議デモを実施
足立入谷施設(東京) 足立入谷地域オウム真理教(アレフ)対策住民協議会 11月9日 抗議デモを実施
水口施設(滋賀) かしわぎ自治振興会、柏木地区区⾧会、甲賀市オウム対策住民協議会 11月24日 抗議集会を実施、抗議文を投函
八潮大瀬施設(埼玉) 八潮市オウム真理教対策協議会 12月14日 抗議デモを実施

団体施設を管轄する都道府県警察では、地域住民の平穏な生活を守るため、団体施設周辺の地域住民や関係する地方公共団体からの要請を踏まえるなどして、団体施設周辺におけるパトロール等の警戒警備活動を実施しています。

「地下鉄サリン事件被害者の会」による要望書の提出

高橋シズヱさんが代表世話人を務める「地下鉄サリン事件被害者の会」は、令和6年3月18日、法務大臣及び公安調査庁⾧官に対し、団体に対する観察処分の継続や団体が引き起こした事件の記録・資料のアーカイブ化等を求める要望書を提出しました。

  • 「地下鉄サリン事件被害者の会」関係者らによる法務大臣に対する要望書の提出(令和6年3月18日)

    「地下鉄サリン事件被害者の会」関係者らによる法務大臣に対する要望書の提出(令和6年3月18日)

被害者とその御遺族の声

地下鉄サリン事件の被害者は、死者13人、負傷者5,800人以上(※)です。
なお、令和2年3月、25年にわたる闘病生活の末、サリン後遺症により更に1人が亡くなられました。被害者やその御遺族は、事件から四半世紀以上が経過した現在も苦しみを抱えています。

※ オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律に基づく給付金支給に当たり、平成22年3月までに認定された数

  • 路上に横たわる被害者の手当てをする救急隊員(平成7年3月20日、写真:読売新聞/アフロ)

    路上に横たわる被害者の手当てをする救急隊員(平成7年3月20日、写真:読売新聞/アフロ)

  • サリンによる中毒症の地下鉄乗客が多数収容された病院の廊下で治療を受ける中毒症の乗客ら(毎日新聞社/アフロ)

    サリンによる中毒症の地下鉄乗客が多数収容された病院の廊下で治療を受ける中毒症の乗客ら(平成7年3月20日、写真:毎日新聞社/アフロ)

地下鉄サリン事件の被害者、その御遺族の方から、「特に、サリン事件のことをよく知らない若い世代の皆さんに、現在も事件による苦しみが続いていることを知ってほしい」との強い思いから、手記を寄せていただきました。

団体に関する啓発動画(公安調査庁製作)

団体が引き起こした凶悪事件や団体の現状等について、動画で分かりやすく解説しています。

公安調査庁公式YouTubeチャンネル
「PSIAchannel」(本編、約3分)

関連資料

刊行物

公安調査庁の刊行物等です。

オウム真理教問題デジタルアーカイブ

一連の凶悪事件の発生から年月を経て、記憶が風化してしまうことにより、団体の危険性が正しく理解されないことが懸念されることから、デジタルアーカイブを作成しました。ぜひご覧ください。

オウム真理教問題デジタルアーカイブ

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