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内外情勢の回顧と展望(平成18年1月)

第1  平成17年の公安情勢の概況


1  国際情勢
 2005年(平成17年)の国際情勢を概観すると,ロンドンで英国初のイスラム過激派とみられる者による同時多発テロが発生したほか,インドネシアのバリ島やヨルダンでも大規模なテロが発生するなど,国際テロの脅威の世界的拡散が浮き彫りとなった。特に,ロンドンのテロでは,爆死した実行犯がいずれも英国籍のイスラム系若者であったことから,イスラム過激派の思想が先進国のイスラム・コミュニティに浸透している実態も明らかとなった。
 テロとの闘いに関連して注目される大量破壊兵器の拡散問題に関しては,北朝鮮やイランの核問題の解決に向け,関係諸国による国際的な努力が続けられたものの,解決への道筋を付けるには至っていない。
 我が国周辺の情勢をみると,北朝鮮の核問題をめぐる6者協議が再開され,「北朝鮮の核放棄」と「北朝鮮に対する安全の保証」等をうたった初の共同声明が採択された。しかし,北朝鮮は,その直後,「核放棄の履行は軽水炉提供後」などと主張して核放棄の先延ばしの意向を明確にし,第5回協議でも同主張を繰り返したことから,事態はむしろ複雑化の様相を呈している。また,北朝鮮は,我が国との関係では,「拉致問題は解決済み」との姿勢に固執する一方,「過去清算」が最も重要と強調するなどし,1年振りの政府間協議でも具体的進展はみられなかった。国内的には,食糧配給制の修復などの動きもみられたものの,基本的な経済困難や社会統制の弛緩は依然続いており,指導部は統制強化に全力を挙げている。
 中国は,対外的には,自国の影響力拡大,米国の一極支配牽制,資源確保などを目指して活発な全方位外交を展開したが,対日関係では,日本重視を表明しつつも,国内安定や対日牽制への思惑もあってか,日本の国連安保理常任理事国入り問題,歴史認識問題等に厳しい姿勢で対応した。国内的には,急速な経済成長の一方,貧富の格差や都市と地方の格差及び幹部の腐敗等に対する不満から民衆の暴動が多発し,胡錦濤政権はその対応に苦慮している。
 ロシアは,好調な経済を背景に,我が国を含めた先進諸国との協調関係を基調としながらも,中印両国との関係強化にも努めたが,我が国との領土問題では強硬な姿勢を示した。
 中央アジアでは,中央アジア4か国と中ロに加え,インド,パキスタン及びイランがオブザーバーとして加盟した上海協力機構が,この地域への米軍の駐留期限明確化を求める共同宣言を採択し,米国の影響を抑制しようとの姿勢を示した。
 中東では,イラクにおいて,暫定国民議会選挙を経て移行政府が発足し,新憲法が採択されるなど,新政権発足に向けたプロセスが進展する一方,反米武装勢力の激しいテロ攻撃が続いており,同国のみならず中東地域の安定に大きな障害となっている。イスラエルでは,ガザからの撤退が行われたものの,依然和平の実現には種々の問題が残されている。

 2  国内情勢
 オウム真理教は,平成15年10月以降続いている正悟師による集団指導体制の下,信徒に対し,説法会や修行を通じて「麻原への絶対的帰依心」を扶植する指導を強化するなど,麻原を前面に打ち出す指導方針をより鮮明化させた。また,教団は,組織の拡大・強化を図るため,「信徒倍増計画」を打ち出して信徒獲得に努めるとともに,活動資金の調達や拠点施設の確保に力を入れて取り組んだが,この過程で,信徒が職業安定法違反で逮捕・起訴される事案も発生した。
 こうした教団の現状にかんがみ,公安調査庁は,教団には依然として無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められ,引き続き教団の活動状況を明らかにする必要があると判断し,11月25日,公安審査委員会に対し,教団に対する観察処分の期間の更新請求(第2回目)を行った。
 共産党,過激派及び右翼などの諸団体は,自衛隊のイラク派遣や北朝鮮問題にかかわる諸施策を始め,中国,韓国などとの関係や在日米軍基地の再編,憲法改正など様々な問題を取り上げた活動を展開した。このうち,共産党及び過激派は,憲法改正問題や自衛隊のイラク派遣問題を取り上げ,反対行動を全国各地で展開したほか,在日米軍基地の移転・再編をめぐり,沖縄などで反戦市民団体と連携して抗議行動の盛り上げを図った。他方,右翼団体は,拉致問題に関連して北朝鮮に対する経済制裁の発動を求めるなどの活動を継続するとともに,中国及び韓国における反日の動きや領土問題をとらえて,在日公館への抗議活動を展開し,この過程で,中国系銀行の店舗に向けて火炎瓶を投てきする事件や朝鮮総聯中央本部付近で自らの身体に火を放つ事案などを起こしたほか,女性天皇問題などにも強い関心を示している。

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