フロントページ > 公表資料 > 内外情勢の回顧と展望 > 内外情勢の回顧と展望(平成19年1月)

内外情勢の回顧と展望(平成19年1月)

第4  平成18年における公安調査庁の取組と今後の課題



1  国際関連
  北朝鮮,イランの核開発や国際テロの脅威など国際情勢は従前にも増して緊迫と混迷の度合いを深めている。公安調査庁では,我が国の“公共の安全を確保”するため,さらには,我が国が国際社会の平和と安定に貢献するために,それら国際情勢に関する情報の収集・分析を進めるとともに,政府・関係機関への情報の提供に全庁を挙げて取り組んだ。
  北朝鮮・朝鮮総聯関係については,調査現場における情報収集体制の強化を図り,ミサイル発射・核実験や日本人拉致問題をめぐる動向を最重点に,北朝鮮の国内情勢,対外・対日動向及び朝鮮総聯の活動や組織実態などに関し幅広い調査を実施した。
  国際テロ関係では,情報収集体制の強化を図るため,関東公安調査局に国際テロ調査を専管とする首席調査官1人を増設するとともに,調査要員を増員し,国際テロ組織の動向に関する情報収集や国内における不穏動向,資金調達活動の実態解明などに集中的に取り組んだほか,改正入管法によるテロリスト入国規制の実効性確保のため,諸外国関係機関との連携の強化を進めるなど,テロの未然防止のための調査に努めた。
  中国関係では,国内情勢,対北朝鮮政策や対米政策を始めとする対外政策,対日政策などについて関連情報の収集に努めた。
  また,ロシア関係では,北方領土問題を中心とした対日姿勢に重点を置いて情報の収集に努めた。
  さらに,拡散に対する安全保障構想(PSI)については,PSI発足以降,公安調査庁独自の調査活動を推進すると同時に関係機関との情報共有を進めるなどしている。
 
2  国内関連
  オウム真理教については,1月23日,公安審査委員会による観察処分の期間更新(第2回目)の決定を得たことから,教団施設への立入検査など所要の調査活動を推進した。特に,麻原の死刑判決の確定(9月15日)の翌16日,平成12年2月の観察処分の効力発生後,最大規模となる教団施設25か所に対する全国一斉立入検査を実施するなど,教団の組織と活動,危険性の解明に取り組んだ。なお,観察処分に基づく立入検査については,1月以降11月末までに17都道府県延べ64か所の教団施設に対して実施するとともに,関係地方公共団体に対する調査結果の提供の迅速化を図るなどして,地域住民の不安解消に努めた。
  また,在日米軍再編問題などをめぐる共産党や過激派の動向,日本人拉致・ミサイル発射・核実験,領土問題,海洋権益問題,靖国神社参拝などをめぐる右翼団体の活動などに関して調査活動を展開した。
 
3  今後の課題
  北朝鮮,イランの核開発や国際テロの脅威,大量破壊兵器の拡散など,国際情勢は,激動しており,その対応に関する情報ニーズの高まりとともに,公安調査庁の情報機関として果たすべき役割の重要性は高まっている。
  公安調査庁が,我が国の“公共の安全の確保”を図り,我が国が国際社会に対する責務を果たす上で必要となる情報を迅速・的確に入手・分析して,適時・適切に政府や関係機関に提供するためには,関係機関との連携強化はもとより,ヒューミントによる独自情報を収集・分析する体制の拡充・強化を図ることが重要である。
  特に,北朝鮮関係では,同国の核・ミサイル開発や日本人拉致被害者に関する情報入手に最大限の力を注ぐとともに,それら問題の背景となる同国の内外動向や同国と極めて密接な関係にある朝鮮総聯について,強力かつ機動的な調査を推進する必要があるほか,それらの関係者による対日有害活動についても従前以上の警戒を要する。
  国際テロ調査に関しては,テロの未然防止が最優先課題であることから,国内における情報網の拡充を図るとともに,内外関係機関との連携・協力を深め,テロリスト・テロ組織関係者の特定や活動実態を明らかにして,入国規制関連情報の提供などを行い,テロの未然防止を期する所存である。
  中国については,同国の対北朝鮮政策を注視しつつ,第17回党大会に向けた国内情勢,経済力・軍事力の増強を背景とした対外政策や対日政策に関する情報収集に努める必要がある。
  オウム真理教については,麻原を神格化し,同人が説く殺人をも勧める教義を絶対視しているなど,依然として無差別大量殺人に及ぶ危険性が認められ,地域住民から規制強化を求める声も多数寄せられている。公安調査庁では,こうした国民の声を真摯に受け止め,再発防止処分の適用も視野に,より徹底した調査及び厳正な観察処分を実施して,教団の組織と活動の実態を明らかにするとともに,地域住民の不安解消に向け速やかな情報提供に努めていく所存である。
  過激派や右翼団体については,在日米軍再編や領土問題など,国内外の諸情勢に敏感に反応して抗議・批判活動を展開することが予測され,場合によっては直接行動を起こす事態も想定されることから,引き続き,これら団体の動向も注視していく必要がある。
  公安調査庁の任務は,「我が国の自由で民主的な社会を守り,我が国及び国民の平和と安全の確保を図る」ことにあり,この任務遂行のため,組織が一丸となり高度情報の獲得・ち密な分析と政府・関係機関への迅速な情報提供を行い,もって国民の期待に応えていきたいと考えている。

このページの先頭へ

  • 経済安全保障に関する特集ページ
  • 回顧と展望 内外の公安活動についてとりまとめた資料です
  • オウム真理教に関するページ
  • 公安調査庁公式ツイッター
  • パンフレット
  • 情報提供をお願いします
  • 世界のテロ等発生状況
  • 国際テロリズム要覧
  • 選考採用実施中!!
ADOBE READER

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。