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公安調査局長・公安調査事務所長会議における公安調査庁長官訓示

2009年5月28日 更新
公安調査局長・
公安調査事務所長会議

北田公安調査庁長官訓示

公安調査局長・公安調査事務所長会議を開催するに当たり,所懐の一端を申し述べます。
我が国の治安等に影響を及ぼす国際情勢を見ますと,北朝鮮は,本年4月,国際社会が自制を求める中,安保理決議に違反するミサイル発射を強行したのに続き,先日,二度目の地下核実験を実施した旨公表するなど,朝鮮半島情勢は緊迫した状況にあります。また,我が国にとって極めて重要な課題である拉致問題についても,依然として強硬な姿勢を崩そうとしていません。
テロ組織「アルカイダ」などは,我が国を欧米諸国の同盟者と名指して非難し,また,アフガニスタンやパキスタンでテロが頻発して欧米諸国でもテロ計画の発覚が相次ぐなど,その脅威は拡散し,我が国がテロの標的となる可能性は否定できない状況にあります。
また,国内に目を転じますと,オウム真理教主流派及び上祐派は,いずれもが閉鎖的かつ欺まん的な体質を維持したまま組織勢力拡大に向けた活動に取り組んでいるほか,改善の兆しを見せない経済状況などを背景に過激派等の諸団体が活動を活発化させております。
こうした現下の情勢にかんがみ,当面,留意願いたい事項を申し述べます。
第一は,北朝鮮関連情報の収集強化についてであります。
北朝鮮の動向は,北東アジア地域の平和と安定に対する脅威として,内外から強い関心が寄せられております。とりわけ,北朝鮮による拉致問題,ミサイル発射,核開発等は我が国の治安や安全保障に重大な影響を及ぼすものであり,政府が最重要課題として取り組むべきものであります。また,北朝鮮に従属し,その動向を活動方針等に敏感に反映させる朝鮮総聯の動向についても十二分に留意しなければなりません。各局・事務所においては,政府の政策判断に資するとの視点から,時宜に即した深奥に迫る情報の収集に向け,特段の努力を傾注していただきたいのであります。
第二は,国際テロ関連動向調査の更なる推進についてであります。
テロを未然に防ぐためには,国際テロ組織関係者の発見や不穏動向の早期把握が極めて重要であり,このことが,ひいては我が国の治安を確保し,安心・安全な社会の実現につながるのであります。来年には我が国においてアジア太平洋経済協力会議が開催されることから,不審者や不穏動向を迅速,的確に把握できるよう,情報網の拡充・強化を着実に推進していただきたいのであります。
第三は,オウム真理教に対する観察処分の厳正な実施についてであります。
本年1月,公安審査委員会は,当庁の請求を認め,オウム真理教に対する観察処分の期間を3年間更新する決定を行いました。現在も,主流派,上祐派ともに麻原の影響下にあり,特に「麻原脱却」を標榜する上祐派については「麻原隠し」を更に徹底し,観察処分取り消しの職権発動を促す申立てを行うことも予想されます。当庁としては,引き続き観察処分を厳正に実施し,根強く残る地域住民の不安解消に努めるとともに,3年後の観察処分の更新請求,再発防止処分の適用も念頭に置きながら,教団の組織と活動の実態解明,とりわけ,上祐派の実態解明に全力を挙げていただきたいのであります。
第四は,国内治安動向への警戒についてであります。
深刻化する経済の悪化や雇用に対する不安が高まる中,過激派等の諸団体は,これを勢力伸長の機会ととらえて動きを活発化させております。また,近隣諸国との外交問題を軸に活動する右翼団体は,北朝鮮によるミサイル発射等に反発を強めるなど,国内の治安情勢は楽観できない状況にありますので,突発的な不法事案の発生等にも対応できるよう,こうした団体の動きには十分に意を払っていただきたいのであります。
終わりに,皆様方の平素の御努力と御労苦に心から敬意と謝意を表するとともに,公安調査庁がその責務を果たし,国民の期待と信頼にこたえられるよう,綱紀の保持と明るく活力ある組織の維持運営に一層の御配意をお願いいたしまして,私の訓示といたします。

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