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「公安調査局長・公安調査事務所長会議」における公安調査庁長官訓示

2022年7月7日 更新


和田公安調査庁長官訓示

 本日、ここに公安調査局長・公安調査事務所長会議を開催するに当たり、公安調査庁長官として、皆様に留意していただきたい事項を申し述べます。

 まず、我が国では、来年に「G7サミット」、令和7年には、「大阪・関西万博」の開催を控えております。各局・事務所におかれては、その安全開催に資する情報収集に万全を期していただきたいと思います。

 これと併せ、4点申し述べます。
 第一に、経済安全保障に関する取組の強化・推進についてです。
 技術覇権をめぐる米中対立の激化に加え、ロシアによるウクライナ侵略など、我が国の経済安全保障を取り巻く環境が大きく影響を受ける中、我が国が保有する機微な技術・データ・製品等の獲得に向けた懸念国の動きも活発化の様相を見せてきています。本年5月には、経済安全保障推進法が成立したほか、9月には重要土地等調査法が全面施行されるなど、政府の関連施策が推進されており、当庁には、こうした懸念国の活動を解明することが強く求められています。
 こうした情勢を受け、当庁は、本年4月に経済安全保障特別調査室を設置したところ、次の取組を強化していく必要があります。
 一つ目は、官民連携の推進です。本庁では企業や大学等との意見交換や日本経済団体連合会と協力した企業・大学向けシンポジウムを開催し、各局・事務所においても企業や大学等に向け講演会を実施しています。また、本年5月には、経済安全保障に係るパンフレットを作成しており、引き続き情報発信と官民連携を強化していくことが重要です。
 二つ目は、国内外の関係機関との更なる連携の強化です。経済安全保障に係る懸念動向は、全国各地で起こり得るものであり、国内関係機関との連携を各局・事務所も含め一層深めていかなければなりません。また、経済安全保障の取組を推進するためには、国際的な知見を共有することが重要であり、国外関係機関との連携を一層強化する必要があります。
 三つ目は、機能・体制の強化です。経済安全保障特別調査室を中心に企画、調査支援に関する機能を強化するとともに、各局に経済安全保障に携わる公安調査官を増強しているところですが、今後も引き続き情報ニーズの高まりも踏まえて更に体制を強化していくことが重要です。
 こうした取組を更に進め、その実効性を高めていくため 、各局・事務所においては、経済安全保障に係る情報収集活動を継続的に強化していくとともに、関連部署間で連携しながら、公安調査官の育成なども含めた基盤整備を総合的に推進していただきたいと思います。

 第二に、サイバー空間における脅威に対する取組の強化・推進についてです。
 サイバー攻撃が国内外で常態化し、その手口も巧妙化する中で、特に我が国の周辺国等は、その政治的、軍事的、経済的目的を達成するため、サイバー空間を利用した諜報活動や重要インフラの破壊、偽情報の流布などによる情報操作といったサイバー戦能力を強化しており、我が国の安全保障に与える影響等を注視していかなければなりません。
 このような情勢を受け、サイバー攻撃事案等に係る情報収集・分析能力を強化するため、本年4月、サイバー特別調査室を設置しました。サイバー関連情報については、高まる情報ニーズの中、当庁に寄せられる期待にこれまで以上に応える必要があります。各局・事務所においても、サイバー特別調査室と緊密に連携し、同関連調査をより一層推進していただきたいと思います。

 第三は、我が国の外交・安全保障に関する各種動向の迅速かつ的確な把握についてです。
 北朝鮮は、本年に入り、大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルを始めとする各種ミサイルの発射を繰り返し、その発射数・発射回数は、共に過去最多となっております。さらに、核実験場の整備に取り組むなど、核実験を行う可能性も否定できません。韓国での保守政権発足で南北間の緊張が高まる可能性も含め、北朝鮮に関する情報収集を鋭意進めていただきたいと思います。
 一方、北朝鮮が5月に初めて新型コロナウイルスの感染を確認したと発表したことなどから、北朝鮮内部の混乱の可能性が注目されておりますが、北朝鮮の発表を冷静に見極めつつ、関連情報を幅広く収集して、客観的に分析することを心掛けていただきたいと思います。
 このほか、拉致問題の解決に資する情報の収集や、朝鮮総聯の組織及び活動の解明についても、引き続き重点的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、中国は、本年下半期に開催予定の中国共産党第20回党大会を控え、内政面では、新型コロナウイルスの感染拡大の沈静化に注力しています。また、外交面では、ウクライナ情勢を見極めつつ、自国に有利な各国との関係を模索するなど、内外環境の安定確保に向けた動きを見せています。他方、そうした中でも、尖閣諸島周辺への海警局に所属する船舶の派遣のほか、人民解放軍艦艇等による我が国及び台湾周辺海域における示威行動など、力による現状変更の試み及び軍事的活動を展開しています。
 続いて、ロシアは、ウクライナへの侵略を開始し、国際社会に対してその正当性を主張する一方、国内の締め付けを一層強化してプーチン政権の更なる基盤固めを推進しています。我が国に対しては、対露制裁に対する報復として、平和条約締結交渉の中断や「非友好国」への指定のほか、北方領土周辺での軍事演習を活発化させるなど、強硬姿勢を示しています。
 加えて、偽情報の流布なども含めた活動、いわゆるインフルエンス・オペレーションについては、近年、その影響に対する懸念が高まっており、今後注視していただきたいと思います。
 国際テロ情勢については、ISILや「アルカイダ」などの国際テロ組織に関連したテロが世界各地で発生しており、欧米諸国等では、依然として、これらの国際テロ組織の過激な主義主張に感化された者によるテロの脅威が続いています。こうした状況の中、アフガニスタンにおいて「タリバン」が実権を掌握したことに伴い、同国が再び国際テロの温床になることが懸念されています。
 また、ウクライナ情勢をめぐり、国際テロ組織が、各組織にとって都合の良い主張を展開するなど、引き続き注意を要する状況にあります。冒頭でも申し上げたとおり、我が国では、「G7サミット」、「大阪・関西万博」の開催を控えており、国際テロの脅威に対しては、引き続き厳重に警戒し、関連情報の収集・分析を行う必要があります。

 第四は、いわゆるオウム真理教に対する観察処分の適正かつ厳格な実施についてです。
 当該団体は、現在、「Aleph」、「山田らの集団」及び「ひかりの輪」を中心に活動していますが、依然として、麻原の影響下にあり、その本質的な危険性にいささかの変化も認められません。特に、「Aleph」については、再発防止処分請求及びその撤回後も、団体規制法で定められている報告すべき事項の一部を報告しておらず、当庁の度重なる是正指導にも応じていないほか、立入検査に従事する公安調査官への非協力的姿勢を強めるなど、従前からの敵対的な組織体質に変化はありません。
 各局・事務所におかれましては、本庁との連携を図りつつ、引き続き、団体への観察処分を適正かつ厳格に実施し、公共の安全の確保と国民の不安解消・緩和に尽力していただきたいと思います。

 以上、留意事項について、申し述べましたが、我が国を取り巻く内外の諸情勢は、今後も厳しい状況が続くものと予想されます。皆様におかれましては、こうした情勢を注視しつつ、情報の力で公共の安全を守るという崇高な使命を胸に、各人の職責を果たしていただきたいと思います。
 また、これまでも繰り返し申し上げているとおり、機密性の高い情報を扱う当庁の職員には、特に厳正な規律と高い倫理観の保持が求められます。職員の法令違反や信用失墜行為は当庁に対する国民の信頼を大きく損ない、職務遂行に深刻な影響を及ぼすことになります。組織運営を担う皆様におかれましては、自らを厳しく律することはもちろん、部下職員に対しても、遵法精神と高い倫理観を持って職務に励むよう指導を徹底していただきたいと思います。
 最後に、皆様の平素の御労苦に、心からの敬意と謝意を表し、私の訓示といたします。

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