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法教育推進協議会(第11回)議事概要

1 日時

平成18年10月30日(月)午後3時から午後5時20分

2 場所

法曹会館 高砂の間

3 出席者

(委員,敬称略・50音順)
江口勇治,鈴木啓文,高橋文郎,土井真一,羽間京子,西嶋美那子,山下輝年,吉崎佳弥
(説明者)
川本隆史(東京大学大学院教授)
(事務局)
 (司法法制部)
 吉村典晃参事官,大谷太部付
 (刑事局)
 石神千織局付

4 議題

(1) 公民科教育・市民性の教育・法教育
 -「法と倫理をつなぐもの」をめぐるパーソナルな覚え書-
(2) 法教育推進協議会で出された主な意見について

5 配布資料

(1) 公民科教育・市民性の教育・法教育
 -「法と倫理をつなぐもの」をめぐるパーソナルな覚え書-【PDF】
(2) 法教育推進協議会で出された主な意見(その2・案)【PDF】
 参考資料
(1) 教育学研究(第69巻第4号,日本教育学会)(抜粋)(冊子につき掲載省略)
(2) 現代社会-地球社会に生きる-(文部科学省検定済教科書,教育出版(平成17年))(抜粋)(冊子につき掲載省略)
(3) 法と倫理(「現代世界と倫理」晃洋書房(平成8年)(抜粋)(冊子につき掲載省略)

6 議事

(1) 東京大学大学院川本隆史教授から「公民教育・市民性の教育・法教育-「法と倫理をつなぐもの」をめぐるパーソナルな覚え書-」と題して講義がなされた。
 委員からは,
○ 精神的自由(司法や正義)と経済的自由(食べていかなければいけないこと)を秤にかけるといった場合,目の前のものに重きをおいてしまうので,やはり裁判員裁判は嫌だという結論に陥る。倫理の世界でも自由なのか死なのか,あるいはその前に生きていかなければいけないのかという考えがあり,このような優先順位を法教育の中で徐々に教えていきたいと思っているところ,今の大人はそのような考えは教わっていないので,子どもが現実の大人を見てついてこれない部分があり,教え方が難しい。倫理でいう優先順位などについて,どのような教え方があるか。
○ アメリカの法教育を見て感じたのは,子どもに考えさせて,理解してくれということは呼びかけるが,何かの価値を押しつけようというのはない。個人がどう考えるかは,それはそれでいいとして,考え方のプロセスは示される。法教育に取り込んでいる者として,小学校,中学校くらいの教科書で,アメリカの法教育のようにもう少し何かできないか,もっとベーシックなものがあるのではないかと考えると,価値を伝えることにつながってくる。そう考えると,市民性教育に近いものになるし,価値教育,倫理とも密接になってくる。川本教授が書かれた高等学校の教科書の記述は,そのようなものであり,法教育ともかなり近いものがあると思っているが,川本教授自身が小学校,中学校の教科書を記述するような場合,どのようなものがあり得ると考えているか。
○ 同じ事柄を伝えるにも教科によって違ってくるという話があったが,法教育や市民性の教育というのは,本当にベーシックなものなので,どこかの教科に取り込む必要はないと思っている。法教育などはそのような意味で,非常に可能性が広いベーシックな教育だと思うが,学校現場にこれを広めることは非常に大きな課題になっている。その辺りで何か考えがあれば伺いたい。
○ 正義を議論する上で,法という領域,法律的なものというのと,倫理あるいは道徳といったものがどのような関係に立つのか,あるいは教育する場でどのように切り分けていくかという点は,一つの大きな課題と思われるが,その点についてどのように考えるか。
○ 教育という視点を含め,人権を考える場合,常に国家を意識して,その対立を理解させていくスタンスがいいのか,我々相互の問題として理解していけばいいのかなど,そのあたりの意見を伺いたい。
 などの意見が出された。
(2) 法教育推進協議会で出された主な意見として整理したものを事務局から報告し,法教育の基本的な骨格をどのように整えていくかについて協議がなされた。
 委員からは,
○ 現在の教科書は,政治,経済,法が別々の話になっていて,実際社会の中で問題となっている同じ側面を経済的に分析し,法的に記述しようという議論をしていても,教科書の順序で教えていくと,全く違う話になって結びつかなってしまうというようなことがあるので,これからは相互に矛盾がなく,何が難しくて何が分かり,何が分からないかというような姿勢で書かれた良いテキストが必要であるとの意見があったが,確かにこのような形で展開することは教材としてはおもしろいと思うが,法が,政治や経済にどう関わるかというのは,難しいと思われるがいかがか。
○ 国民主権というのは,自分のことは自分で決める,言いたいことを言う,話し合えば何もかもが決まり,そこには何の負担もないということを言っているわけではなく,最後は自分たちで責任を負うという決断をしろということだと思う。我々自身が努力をしなければ何も変わらず,自分としてどれだけの負担を負えるかという決断を含んでいるので,それを抜きにして語っても何の意味もない。片方が公正さだとかの理想を言う以上,そのために引き受けなければならない責任というものがあるだろう。それが常にうまくいくわけではないから,うまくいかなかったときのリスクというものをみんなで負っていく。そのような社会をつくるということを教えないと,何も教えたことにはならないと思う。
(以上)
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