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更生保護のあり方を考える有識者会議(第2回)議事概要

1 日時

平成17年8月23日(火)午後3時から午後6時まで

2 場所

最高検察庁大会議室

3  出席者

(委員等,敬称略)
 (座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・前法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),田中直毅(21世紀政策研究所理事長),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
 南野知惠子法務大臣,樋渡利秋法務事務次官,小津博司大臣官房長ほか
(事務局)
 麻生光洋事務局長ほか

4  議題

(1 ) 更生保護関係者等からのヒアリング
(2 ) 配布資料説明等
(3 ) 意見交換

5  会議経過

(1 ) 全国保護司連盟常務理事宮川憲一氏から,保護司の業務内容等について,別紙1【PDF】により説明がなされた後,以下のとおり質疑応答がなされた。
・  保護司に報酬制を導入することについてどう考えるか。
(回答 :経験の長い保護司は,保護司はボランティアであるべきという想いが強いが,若い世代の保護司には報酬制の導入に積極的な意見が多い。保護司候補者の確保の観点からも報酬制の検討が必要ではないか。)
(2 ) 千葉保護観察所保護観察官藤井要氏から,保護観察官の業務内容等について,別紙2【PDF】及び以下のとおり説明がなされた。
・  保護観察対象者の中には,福祉や医療等様々な制度の狭間にいる者がおり,制度的な手当てが必要である。
・  保護観察官が地域に密着し,また緊急時の対応等をきちんとできるようにするためには,保護観察官を現在の3倍に増やしても足らないと思う。
・  保護観察を受ける気持ちのない者,更生意欲のない者に対して,現行の制度は不十分である。例えば,保護司のところに行かないというだけでは不良措置をとることはできないし,保護観察付執行猶予者においては,罰金刑を3回受けても執行猶予が取り消されなかったという事例がある。こうした者に対する新たな仕組みを作る必要がある。
以上の説明に対し,以下のとおり質疑応答がなされた。
・  保護観察官の担当件数の多さは尋常ではない。本来,刑事司法は大量処理ができる制度ではない。担当件数の多さについてどう考えるか。
(回答 :保護観察官としては,もっと対象者への関与を高めたいと思っているので,できる限りのことはやろうという気持ちを持っている。)
・  保護観察対象者の性格や再犯のリスク,犯罪傾向をどのように把握しているのか。刑事事件記録の閲読はしているのか。
(回答 :矯正施設から送付されてくる書類を通じて把握しているほか,直接面接をして把握している。刑事事件記録は,重大事件でなければ読んでいないのが現状である。)
・  執行猶予付保護観察中の者が罰金刑を受けた場合でも,執行猶予取消しの手続が採りづらいということだが,その理由は何か。
(回答 :刑法で定める「情状が重いとき」という要件に当たるか否かということだと思う。)
・  藤井観察官は頻繁に仕事の内容が代わっているが,こうした異動は保護観察官として一般的なのか。また,短期間での異動が多いと担当地域の状況を把握できないと思うが,どうか。
(回答 :自分は,できるだけ全部の部署を経験したいと考えてそのような希望をしたので,他の保護観察官に比べ異動は多い方だと思う。また,保護観察官にも地域性が必要であり,3年間同一地区を担当すれば地域の状況も把握できるが,実際には2年程度で地区を代わることが多いので,勤務時間外等自分の時間を割き,地域の状況の把握に努めている。)
(3 ) 警察庁生活安全局長竹花豊氏から,少年の保護観察制度等について,別紙3【PDF】により説明がなされた後,以下のとおり質疑応答がなされた。
・  保護観察事件の大半は少年であり,少年についてどう考えるかは重要であるが,少年の処遇者として,保護司は期待できないのか。
(回答 :保護観察中の少年の5分の1は再犯をするが,残りの5分の4は更生しており,現在の保護観察制度や保護司制度が機能していることを否定するつもりはない。しかし,再犯のおそれのある少年については,少年専門保護司等による対応が必要だと思う。)
・  個別のケースについて,警察,裁判所,保護観察所等が集まって検証する必要があるということだが,具体的にはどういうことか。
(回答 :少年審判は,将来の見通しが不透明な中で行うものであり,当初の期待どおりいかないこともある。家庭裁判所の審判結果について,後から検証することを認めてもよいのではないか。)
(4 ) 前関東地方更生保護委員会委員長清水義悳氏から,更生保護制度の現状と問題点等について,別紙4【PDF】及び以下のとおり説明がなされた。
・  保護観察のプロセスは,保護観察中の者が社会に受け入れられ,居場所ができるように,地域の理解を得ていくことである。
・  保護観察の仕事は,ひとりの人にどれだけ多くの時間をかけられるかということに加え,人の心を動かさなければならない以上,いかにルーティーンから踏み出せるかが重要である。
以上の説明に対し,以下のとおり質疑応答がなされた。
・  地域における関係機関の連携が,更生保護にとって機能するためは,地方自治体としてどう取り組んだらよいと思うか。
(回答 :保護観察所は小さな組織であり,必ずしも地域に密着しておらず,こうした地域における連携まで保護司にお願いしているのが実情である。例えば,福祉事務所に保護観察官が常駐したり,更生保護施設を増やして,地域における更生保護センターとしての機能を持たせることができれば,さらに連携を図ることができると思う。)
・  保護観察には様々な類型があるが,少年と成人による違いも含め,実施する上での矛盾や不都合はあるか。
(回答 :保護観察付執行猶予者については,他の類型と異なり,保護観察の仕組みが緩やかにできており,制度上の違いを強く感じる。しかし,保護観察は,ひとりの人間にどう付き合っていくかということであり,社会内に居場所を作るという意味では,少年も成人も一緒だと思う。)
・  満期出所者への対応についてどう考えるか。
(回答 :満期出所者の中には,更生意欲のない者もいる。しかし,何らかの障害を抱え,かつ身内がいない場合等は,福祉からも更生保護からも受け入れられないのが実情であり,福祉と更生保護の連携を強化すれば解決できる問題もある。満期出所者の問題は大きな課題である。)
・  保護司に報酬制を導入することについてどう考えるか。
(回答 :報酬制を導入したり,専門保護司を制度化した場合には,保護司の性質が変わってしまう。現行の実費弁償の仕組みを厚くして,せめて自己負担せずに済むようにするのが先決で,その後に報酬制の導入を検討すればよいのではないか。)
(5 ) 事務局長から配布資料(別紙5【PDF】及び別紙6【PDF】)について説明を行った。
(6 ) 時間の関係で,意見交換は,次回(第3回)に行うこととされた。

6  今後の日程等

 次回は,9月7日(水)午後3時から開催。引き続き更生保護関係者等からのヒアリングを実施するとともに,本会議設置の契機となった重大再犯事件の概要について事務局から説明した上,意見交換を行う予定。


(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)

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