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更生保護のあり方を考える有識者会議(第8回)議事概要

1 日時

平成18年1月26日(木)午後2時から午後5時30分まで

2 場所

最高検察庁大会議室

3  出席者

(委員等,敬称略)
(座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・元法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),田中直毅(21世紀政策研究所理事長),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
 三ツ林隆志法務大臣政務官ほか
(事務局)
 麻生光洋事務局長ほか

4  議題

(1) 犯罪被害者等基本計画の閣議決定等について(事務局説明)
(2) 法務省矯正局担当官からのヒアリング
(3) 仮釈放のあり方等について(意見交換)

5  会議経過

(1) 事務局から,閣議決定された犯罪被害者等基本計画の概要(別紙1【PDF】及び別紙2【PDF】),平成18年度保護関係予算等の概要,及び法務省内に設置された再犯防止に関するプロジェクトチームの概要について,それぞれ説明したところ,以下のような質問がなされた。
・  有識者会議と省内プロジェクトチームとの関係はどうなっているのか。
(回答 :保護局としては,有識者会議での議論の状況を踏まえた上で,省内プロジェクトチームに必要な情報を提供していきたい。)
(2) 法務省矯正局成人矯正課の澤田課長から,矯正施設の状況等について,別紙3【PDF】により説明がなされた後,以下のとおり質疑応答がなされた。
・  刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行により,受刑者の個別性を重視した処遇へ変化することになるが,仮釈放のあり方や更生保護官署に対する情報提供のあり方にどのような影響を及ぼすのか。
(回答 :更生保護官署に対してできるだけ情報提供をしたい。矯正処遇とその後の保護観察処遇,そして再犯の有無との相関関係等を検証し,効果測定を行うため,現在,矯正局と保護局に刑事局も加えて対象者の情報をデータベース化して共有するシステムを策定することも検討中である。)
・  B級施設の受刑者は,A級施設の受刑者に比べて再入所率が高いということだが,B級施設では再犯の可能性が低い者をどのようにして選別しているのか。
(回答 :矯正施設における生活態度や作業態度,規律違反の有無,被害者感情,引受人や帰住予定地の状況,出所後の生活計画等を総合的に判断して仮釈放の申請をしている。)
・  矯正施設としては,施設に駐在する保護観察官にどのような役割を期待しているのか。また,実際にどのような任務を行わせているのか。施設駐在の保護観察官は,分類審査会には関与しているのか。
(回答 :仮釈放充実化のための役割を期待している。このほか,満期出所予定者に対する関係機関との調整等についても期待している。分類審査会には関与していない。)
・  矯正施設と地方更生保護委員会の役割分担ということになると思うが,矯正施設は本人に対する処遇効果のみを仮釈放申請の判断材料とし,被害者感情は,地方更生保護委員会が調査,判断することにしたらどうか。
(回答 :矯正施設以外の項目について,すべて申請基準から排除することは現実的でないと思う。)
・  矯正施設の分類審査会において,法務省令等に規定されている仮釈放許可基準以外に参考にしている基準はあるのか。
(回答 :矯正施設ごとに内規として定めているが,いずれも,法務省令等の内容と概ね一致している。)
(3) 仮釈放のあり方について意見交換を行ったところ,各委員から,以下のような意見が述べられた。
・  再犯のおそれの高い者は仮釈放にしないことにすると,満期と同時に何の支援もないままに出所することになり矛盾している。円滑な社会復帰を図る観点から,すべての受刑者に社会内処遇という方向で議論すべきだと思う。
・  満期出所者に対しても住居や就労の確保等の支援が必要だと思う。
・  満期出所者に対する社会内処遇のシステムを構築するべきだと思う。
・  満期出所者を含めて,刑務所出所後にどう対応するのかを考える必要があると思う。アメリカでは拘禁刑の宣告時に拘禁期間と釈放後の指導監督期間を言い渡すことになっているし,ドイツでは残刑の執行を延期して保護観察に付することができる。アメリカやドイツの制度を参考に,刑法改正を含めて検討していく必要があると思う。
・  アメリカのように,判決言渡し時に再犯可能性を判断することはできないと思う。ドイツの制度の方が参考になると思う。
・  アメリカの制度のメリットは,判決言渡し時に釈放後の指導監督期間も決まっており,根拠がしっかりしていることである。ドイツの制度は理念的にどうかと思う。
・  満期後の指導監督を独立した刑罰とする考え方もあれば,社会内処遇の期間を刑期の内側にいれる「必要的仮釈放制度」とする考え方もある。
・  今度施行される「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」では,外出や外泊ができるようになる。矯正処遇の一環としての措置も考えられると思う。
・  満期出所者への対応は,裁判のあり方も含めて刑事司法全体を見直すことになる。満期出所者の問題はこの会議に与えられた課題を超えているのではないか。
・  理論構成として,刑事責任を終わった後に何らかの負担を課すことは可能だろうか。
・  理念の問題として,保安処分という考え方は大きな問題であり,あくまで刑事責任として考えていくべきだと思う。
・  満期出所者というのでおかしな議論になる。施設内処遇と社会内処遇をどうミックスするのが効果的かという観点から考えるべきではないか。トータルとして「国民の安全・安心」を確保するためには,すべての出所者に対して社会内処遇を付すことが必要だと思う。それも1~2月ではあまり意味がない。
・  矯正局の説明では,矯正施設内での生活態度,作業態度,規律違反の有無が,仮釈放申請に当たって大きな判断材料になっているが,こうした観点から「再犯のおそれ」が判断できるのだろうか。
・  刑務所内での生活に適応していることと,社会に出た後の再犯について,有意な関係はないと思う。
・  「再犯のおそれ」は予測の問題であり,これを検討することは理念的に不可能だと思う。
・  「再犯のおそれがない」としておきながら,これだけ再犯があるのはおかしい。正確には「再犯のおそれが高いとは認められない」ということなのだろう。
・  「再犯のおそれ」を含め,実態と法令に違いがありすぎる。受刑者も人間なので,仮釈放は公平,公正な運用が求められており,実態に見合った法令にすべきである。
・  刑期や罪種に対応した目安が必要ではないか。受刑者にとって,こうすれば早く刑務所を出られるという目安があれば,受刑者に希望を与えることができる。反対に,こんなことでは刑務所を出られないということもはっきりすることが望ましいのではないか。
・  実務では仮釈放の相場があるのだと思う。相場がどうなっているのか教えていただきたい。
・  刑務所長から仮釈放申請があればほとんどのケースが許可になっていることから考えると,不許可基準を定める方が適当かもしれない。
・  許可基準の問題を正面から検討したら1年くらいかかる。
・  仮釈放許可と再犯の関連性を検証することは困難だと思う。そこをギリギリ議論するよりも,仮釈放審理については透明性を確保することが大切である。
・  仮釈放だけでなく,保護観察も含め,パブリックな目で見る機会を作ってほしい。社会内処遇なのだからパブリックな目で見るシステムは必要である。運用協議会のような機関を,可能であれば保護観察所単位に,せめて地方更生保護委員会単位に設けてほしい。
・  仮釈放審理に民間人を加えること,そして決定を第三者が検証できるようにすることが必要である。
・  仮釈放審理のあり方の中について,中間報告の中に「一般の国民の健全な社会常識を審理に反映」との記載があるが,裁判員制度のように国民が参加するシステムは,仮釈放審理にはなじまないと思う。透明性を図ることは必要だが,それは専門性を高めるという観点から必要だと思う。
・  仮釈放中の再犯率の高さを仮釈放の是非と結び付けて考えるべきではない。仮釈放期間はトライアル期間として,仮釈放中に再犯した場合には,きちんと刑務所に戻してもらえばいいと思う。
・  矯正局の説明にもあったが,帰住地がないがために仮釈放にできない事案もある。仮釈放の積極化に向けて矯正と保護が連携してほしいし,環境調整の充実を図ってほしい。
・  施設駐在の保護観察官は,現在B級施設に限られるが,A級施設にも必要である。

6  今後の日程等

次回は,平成18年2月20日(月)午後2時から開催する予定。


(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)

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