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更生保護のあり方を考える有識者会議(第13回)議事概要

1 日時

平成18年4月27日(木)午後2時から午後5時20分まで

2 場所

最高検察庁大会議室

3  出席者

(委員等,敬称略)
(座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・元法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),田中直毅(21世紀政策研究所理事長),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
 三ツ林隆志法務大臣政務官ほか
(事務局)
 麻生光洋事務局長ほか

4  議題

(1) 執行猶予者保護観察制度のあり方について(取りまとめ)
(2) 保護観察官のあり方について(意見交換)
(3) 保護観察における新たな制度(権限)の導入について(意見交換(前回の続き))

5  会議経過

(1) 前回(第12回)の会議で意見交換を行った執行猶予者保護観察制度のあり方について,野沢座長から取りまとめ(案)が示されたところ,各委員から次のような意見が述べられ,引き続き検討することとされた。
・  保護観察付執行猶予者には,「保護観察による指導監督・補導援護があれば,社会内での更生が期待できるとされた者」と「社会福祉的な側面に期待するなどして保護観察付執行猶予に付された者」の2通りがあるということだが,これをどうしたらよいのか,方向性を明らかにすべきである。そのほかの事項についても,どうすべきという方向性を示すべきではないか。
・  制度を大きく改められないのであれば,裁判所,検察庁,保護観察所の三者が対象者選択,執行猶予取消し等について継続的に検討していくことが不可欠だろう。そういう観点から,前記三者による協議会の設置及び定期的な開催を強く求めてはどうかと思う。
・  執行猶予者保護観察法5条に定める遵守事項のうち,「善行を保持すること」が抽象的なので,明確化すべきではないか。
・  刑法26条の2第2号に定める「その情状が重いとき」という要件が,裁量的取消しを作動しにくくさせている面があるようなので,刑法改正にかかわることだが指摘したらどうか。
(2) 保護観察官のあり方について,(1)保護観察官の役割,(2)保護観察官の専門性,(3)保護観察官の採用と育成について,事務局から説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・  有識者会議における論点が多岐にわたるが,保護観察官の体制強化については意見が一致している。法務省として,保護観察官に何をさせるのか,そのために何人必要なのかを示してほしい。
・  保護観察官の役割を考える際には,対象者の抱えた問題点等を類型化し,そのためにどういう処遇が必要か,例えば,保護観察官が主体となって処遇すべきとか,保護司が主体となって処遇すべきといった観点から検討したらどうか。
・  現在,夜間・休日の保護司からの連絡は,主に管理職が対応しているようだが,事案の内容を把握している保護観察官が対応すべきではないか。
・  夜間・休日の連絡体制は,保護観察所によって様々である。何かあればいつでも保護観察官に連絡でき,対応してもらえるということになれば保護司も安心すると思う。地域性を考慮しながら弾力的に対応することが可能だと思う。
・  仕事等の理由から休日しか保護観察所に出頭できない対象者もいることから,処遇プログラムを実施することを考えると,休日の開庁についても検討してほしい。
・  保護観察官の発言に対象者が少なからず影響を受けることを考えると,保護観察官には,人権意識と柔軟性が重要だと考える。
・  保護観察官には,責任感や指導力,コミュニケーション能力(話を聴く力や関係機関等との調整能力)などの基礎的な力が大事だと思う。
・  保護観察官に求められる能力は,対象者の言い分をしっかり聴いて,その中から立ち直りのきっかけをつかむことだろう。保護観察官には,知識だけでなく人間力が求められる。
・  人の心を把握することは困難である。診断,把握する能力を求めること自体無理があるのではないか。
・  保護観察官は,対象者が再犯のおそれがあるかどうかを診断できなければならないが,そのためにも刑事事件記録をきちんと活用すべきである。
・  保護観察官の専門性を理論付けて,すべての保護観察官がその専門性を身に付けるべく努力を重ねることが重要である。
・  専門試験の導入もよいが,面接を徹底して人間性を考慮した採用をし,育成することの方が重要ではないか。
・  専門知識という観点からではなく,保護観察官に対する動機付けの高い者を採用するという観点から専門試験を導入すべきである。
・  保護観察官は途中で他の行政職に異動することがないので,専門職であり続けたい人を採用する仕組みが必要である。
・  管理職になることが期待されるⅠ種職員に,法律を学んだ者が少ないと思う。もっとリーガルマインドを身に付けた職員を採用する必要があるだろう。
・  ケースを共有したりOJTによって,相互批判を繰り返し,切磋琢磨する機会を持つことによって専門職としての能力も伸びていく。守秘義務を尊重しながらも,関係機関,保護司等との間で,情報を共有していくべきだろう。
・  多様な処遇プログラムを実施すること等から,保護観察官の仕事も増えているし,保護観察官に自覚等を持たせる意味でも,研修期間の延長は重要だと思う。また,研修内容として犯罪被害者等支援を入れる等の見直しが必要である。
(3) 保護観察における新たな制度(権限)の導入について,特に生活実態把握のための実効的な方策の導入(立入調査等)について,事務局から説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・  今回の有識者会議の結論として,国立更生保護施設を設置することが重要だと考えているが,そこで再犯のおそれが高い者等を保護し,特別な保護観察官による処遇を実施するとすれば,立入調査権が必要だと思う。
・  遵守事項に違反しているかどうかを確認するためという,実質的な判断のためなら立入調査権が必要だと思う。
・  立ち入ったら実質的な判断ができるのか疑問である。
・  立入調査権という保護観察官の権利ではなく,往訪受忍義務という対象者の義務として位置付けた場合,その効果に差があるのか。
・  往訪受忍義務を課し,何度も理由なく往訪に応じない場合には仮出獄取消し等の不良措置をとればよいのであって,実効性を担保できない立入調査権をなぜ導入しなければならないのか。
・  往訪受忍義務の場合に,往訪を拒否したという事実をもって必ず不良措置をとることができるなら効果的だと思う。しかし,仮出獄者は取り消すことができても,保護観察付執行猶予者については,これまでの運用を考慮すれば困難なのではないか。この点を念頭に置いて議論すべきだと思う。
・  保護観察官による十分な実態把握がなされていないというのが委員の共通の認識だと思うが,この機会に接触義務を明確化し,生活状況等の報告義務を課し,居住指定制度を設けることになれば,まずこうした新たな制度を実施してみて,それでも不十分なことが判明した場合に立入調査権を導入することにしたらよいと思う。一足飛びに立入調査権までの必要性はないと思う。
・  日常的に対象者と接触している保護司が行使できないのであれば意味がないと思う。
・  立入調査権を導入した場合,保護観察官が対象者の部屋に入って具体的に何をするのか。必要性が理解できない。

6  今後の日程等

次回は,平成18年5月9日(火)午後2時から開催する予定。


(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)

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