更生保護のあり方を考える有識者会議(第15回)議事概要
1 日時
平成18年5月19日(金)午後2時から午後5時35分まで
2 場所
最高検察庁大会議室
3 出席者
(委員等,敬称略)
(座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・元法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
池上政幸官房審議官
(事務局)
麻生光洋事務局長ほか
(座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・元法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
池上政幸官房審議官
(事務局)
麻生光洋事務局長ほか
4 議題
(1) 簡易尿検査を活用した保護観察処遇の実施状況について(事務局説明)
(2) 執行猶予者保護観察制度のあり方について等(取りまとめ)
(3) 少年の保護観察等残された検討課題について(意見交換)
(4) 最終提言について(意見交換)
(2) 執行猶予者保護観察制度のあり方について等(取りまとめ)
(3) 少年の保護観察等残された検討課題について(意見交換)
(4) 最終提言について(意見交換)
5 会議経過
(1) 平成16年度から始めている覚せい剤事犯者に対する簡易尿検査を活用した保護観察処遇の実施状況について,事務局から,別紙1【PDF】により説明した。
(2) 第12回会議で意見交換を行った執行猶予者保護観察制度のあり方について,前回の意見を踏まえ,改めて野沢座長から取りまとめ(案)が示されたところ,各委員から意見等はなく,別紙2【PDF】のとおり取りまとめることで合意した。
また,前回の会議で意見交換を行った往訪受入義務及び仮釈放許可の基準について,それぞれ野沢座長から取りまとめ(案)が示されたが,各委員から意見が述べられたため,引き続き検討することとされた。
(3) 少年の保護観察のあり方について,事務局から,別紙3【PDF】のほか,現在,国会に提出されている「少年法等の一部を改正する法律案」の概要等について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 第2回会議において,警察庁生活安全局の竹花豊局長から,保護観察処分少年が遵守事項違反をした際に何らかの措置がとれるようにする必要があるという説明があったと思う。今般の少年法改正案はまさにそうした見直しをするものであり,保護観察に関する部分だけでも早期に改正する必要があると思う。
・ 少年法改正法案の是非は,この有識者会議で議論すべきことではないと思う。
・ 少年については,修復的な司法が有効だと言われている。加害者と被害者が和解することによって,再犯率が低下するという実績がある。犯罪被害者等基本計画には盛り込まれなかったが,積極的に考えたらどうか。
・ 少年に対する修復的司法が組織的に行われているのは,千葉と大阪だけだろう。この2府県の取組は成果を挙げていると言ってよいと思うが,その実施主体はいずれもNPOであり,NPOに任せておいてよいのかと思う。
・ 修復的司法については,世界的に脚光を浴びているところ,性犯罪や重傷害事案の場合にまで行うのかという課題と,犯罪被害者等には加害者の改善更生に利用されるのは嫌だという気持ちがあるなど,犯罪被害者等の視点が欠落しているという課題があることを指摘したい。
・ スコットランドで修復的司法に取り組んできた人の話を聞いたことがあるが,加害者-被害者のほかに,事件のあった地域の代表者が入るか否かで成否が分かれるということだった。また,その協議の中で加害者に対する制裁の内容を決めるようだが,社会奉仕をさせることが多いということだった。2つの面で,地域がかかわることが少年の改善更生には有効だということだったので紹介したい。
・ 成人に比べて犯罪性が進んでおらず,可塑性に富む少年が,地域に受け入れられ,隔離されないことが重要である。そうした意味で,地域で行っている社会参加活動は重要な取組だと思うので,今後とも更生保護として,社会参加活動に積極的に取り組んでほしい。
・ 高校の教員をしている保護司から寄せられたパブリックコメントに,学校の立場からすれば問題を抱えた少年は早く放り出したいという心理が働くが,保護司としては学校にもっと何かしてもらいたいということが書いてあった。少年の保護観察を考える際には,教育現場との連携を進める必要があると思う。
(4) 保護観察対象者との接触のための情報機器の活用について,事務局から,保護司及び保護観察対象者の携帯電話の所有状況等について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 保護観察官や保護司とのコミュニケーションを円滑にするため,保護観察対象者に携帯電話を配布してもよいのではないか。
・ 信頼関係を確立するためにコミュニケーションを密にする,そのために携帯電話を活用するということには賛成である。しかし,プライバシーの保護やセキュリティ等の課題も合わせて指摘する必要があると思う。
・ 携帯電話会社では,GPS機能付き携帯電話を開発している。所在不明になった保護観察対象者の調査を警察に頼るのではなく,そもそも保護観察所が常に対象者の居場所を把握し,所在不明にさせないことが必要ではないか。
・ GPS機能については,保護観察が相互信頼に基づいたものであることを考えれば,反対である。
・ GPS機能を活用するということであれば,これはもう電子監視と同じであり,反対である。
(5) 第三者機関の設置について,事務局から,他の刑事司法機関等における第三者機関の設置状況等について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 社会内処遇でありながら,更生保護の現場はあまりにも社会に開かれていない感じがする。また,刑事司法機関の中で第三者機関を有していないのは更生保護だけである。第三者機関を設け,仮釈放や保護観察の運用を説明し,その透明化を図るとともに,市民参加を考えていくことが大切だと思う。
・ 更生保護には,既に保護司,更生保護女性会等の多くの市民が参加しており,重ねて第三者機関が必要か疑問である。
・ 費用対効果の面で,今すぐこうした機関が必要か疑問である。まずは,保護観察の実施体制を強化すべきではないか。
・ 第三者機関を設けて何をするのか,どんな機能を持たせるのか,そうした点を明確にしないと是非は議論できないと思う。
・ 保護観察には地域の関与が必要だし,保護司が所属している地域に見えるという意味でも,保護観察所単位で設置することがよいと思う。
・ こうした機関を地方更生保護委員会単位に設ければ,仮釈放の運用状況についても広く情報提供できるので,地方更生保護委員会単位及び保護観察所単位で設置したらよいと思う。
・ 費用対効果の問題は同感である。配属された保護観察官が非常に少ない地域もあるので,まずは地方更生保護委員会単位で実施し,大規模な保護観察所等が順次加わればよいのではないか。
・ 各保護観察所に設置されている保護司選考会の機能を見直すなどすれば,第三者機関と同様の効果を持たせることができるのではないか。
(6) いわゆる中間処遇制度の検討について,事務局から,諸外国の例について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 満期出所者の再入所率は約6割であるが,これは,満期出所者が何の支援もないまま社会に放り出されていることと無関係ではない。刑期の中で全ての者に社会内処遇の機会を与えることはできないか。
・ 現在,長期刑受刑者を対象に我が国で行っている中間処遇は対象等が狭すぎる。施設内処遇と社会内処遇をつなぐもっと有効なシステムが必要だと思う。
・ 当会議において,公的な更生保護センターの設置とともに,更生保護施設への居住を義務付ける制度が検討されていることから,処遇効果等をあげて対象を拡大したりセンターの数を増やせば,事実上,中間処遇の機能を担うことになるのではないか。この問題を独立の検討課題として指摘する必要はないのではないか。
(7) 最終提言の骨子(案)についての意見交換は,時間の関係でできなかった。
(2) 第12回会議で意見交換を行った執行猶予者保護観察制度のあり方について,前回の意見を踏まえ,改めて野沢座長から取りまとめ(案)が示されたところ,各委員から意見等はなく,別紙2【PDF】のとおり取りまとめることで合意した。
また,前回の会議で意見交換を行った往訪受入義務及び仮釈放許可の基準について,それぞれ野沢座長から取りまとめ(案)が示されたが,各委員から意見が述べられたため,引き続き検討することとされた。
(3) 少年の保護観察のあり方について,事務局から,別紙3【PDF】のほか,現在,国会に提出されている「少年法等の一部を改正する法律案」の概要等について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 第2回会議において,警察庁生活安全局の竹花豊局長から,保護観察処分少年が遵守事項違反をした際に何らかの措置がとれるようにする必要があるという説明があったと思う。今般の少年法改正案はまさにそうした見直しをするものであり,保護観察に関する部分だけでも早期に改正する必要があると思う。
・ 少年法改正法案の是非は,この有識者会議で議論すべきことではないと思う。
・ 少年については,修復的な司法が有効だと言われている。加害者と被害者が和解することによって,再犯率が低下するという実績がある。犯罪被害者等基本計画には盛り込まれなかったが,積極的に考えたらどうか。
・ 少年に対する修復的司法が組織的に行われているのは,千葉と大阪だけだろう。この2府県の取組は成果を挙げていると言ってよいと思うが,その実施主体はいずれもNPOであり,NPOに任せておいてよいのかと思う。
・ 修復的司法については,世界的に脚光を浴びているところ,性犯罪や重傷害事案の場合にまで行うのかという課題と,犯罪被害者等には加害者の改善更生に利用されるのは嫌だという気持ちがあるなど,犯罪被害者等の視点が欠落しているという課題があることを指摘したい。
・ スコットランドで修復的司法に取り組んできた人の話を聞いたことがあるが,加害者-被害者のほかに,事件のあった地域の代表者が入るか否かで成否が分かれるということだった。また,その協議の中で加害者に対する制裁の内容を決めるようだが,社会奉仕をさせることが多いということだった。2つの面で,地域がかかわることが少年の改善更生には有効だということだったので紹介したい。
・ 成人に比べて犯罪性が進んでおらず,可塑性に富む少年が,地域に受け入れられ,隔離されないことが重要である。そうした意味で,地域で行っている社会参加活動は重要な取組だと思うので,今後とも更生保護として,社会参加活動に積極的に取り組んでほしい。
・ 高校の教員をしている保護司から寄せられたパブリックコメントに,学校の立場からすれば問題を抱えた少年は早く放り出したいという心理が働くが,保護司としては学校にもっと何かしてもらいたいということが書いてあった。少年の保護観察を考える際には,教育現場との連携を進める必要があると思う。
(4) 保護観察対象者との接触のための情報機器の活用について,事務局から,保護司及び保護観察対象者の携帯電話の所有状況等について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 保護観察官や保護司とのコミュニケーションを円滑にするため,保護観察対象者に携帯電話を配布してもよいのではないか。
・ 信頼関係を確立するためにコミュニケーションを密にする,そのために携帯電話を活用するということには賛成である。しかし,プライバシーの保護やセキュリティ等の課題も合わせて指摘する必要があると思う。
・ 携帯電話会社では,GPS機能付き携帯電話を開発している。所在不明になった保護観察対象者の調査を警察に頼るのではなく,そもそも保護観察所が常に対象者の居場所を把握し,所在不明にさせないことが必要ではないか。
・ GPS機能については,保護観察が相互信頼に基づいたものであることを考えれば,反対である。
・ GPS機能を活用するということであれば,これはもう電子監視と同じであり,反対である。
(5) 第三者機関の設置について,事務局から,他の刑事司法機関等における第三者機関の設置状況等について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 社会内処遇でありながら,更生保護の現場はあまりにも社会に開かれていない感じがする。また,刑事司法機関の中で第三者機関を有していないのは更生保護だけである。第三者機関を設け,仮釈放や保護観察の運用を説明し,その透明化を図るとともに,市民参加を考えていくことが大切だと思う。
・ 更生保護には,既に保護司,更生保護女性会等の多くの市民が参加しており,重ねて第三者機関が必要か疑問である。
・ 費用対効果の面で,今すぐこうした機関が必要か疑問である。まずは,保護観察の実施体制を強化すべきではないか。
・ 第三者機関を設けて何をするのか,どんな機能を持たせるのか,そうした点を明確にしないと是非は議論できないと思う。
・ 保護観察には地域の関与が必要だし,保護司が所属している地域に見えるという意味でも,保護観察所単位で設置することがよいと思う。
・ こうした機関を地方更生保護委員会単位に設ければ,仮釈放の運用状況についても広く情報提供できるので,地方更生保護委員会単位及び保護観察所単位で設置したらよいと思う。
・ 費用対効果の問題は同感である。配属された保護観察官が非常に少ない地域もあるので,まずは地方更生保護委員会単位で実施し,大規模な保護観察所等が順次加わればよいのではないか。
・ 各保護観察所に設置されている保護司選考会の機能を見直すなどすれば,第三者機関と同様の効果を持たせることができるのではないか。
(6) いわゆる中間処遇制度の検討について,事務局から,諸外国の例について説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・ 満期出所者の再入所率は約6割であるが,これは,満期出所者が何の支援もないまま社会に放り出されていることと無関係ではない。刑期の中で全ての者に社会内処遇の機会を与えることはできないか。
・ 現在,長期刑受刑者を対象に我が国で行っている中間処遇は対象等が狭すぎる。施設内処遇と社会内処遇をつなぐもっと有効なシステムが必要だと思う。
・ 当会議において,公的な更生保護センターの設置とともに,更生保護施設への居住を義務付ける制度が検討されていることから,処遇効果等をあげて対象を拡大したりセンターの数を増やせば,事実上,中間処遇の機能を担うことになるのではないか。この問題を独立の検討課題として指摘する必要はないのではないか。
(7) 最終提言の骨子(案)についての意見交換は,時間の関係でできなかった。
6 今後の日程等
次回は,平成18年6月1日(木)午後2時から開催する予定。
(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)
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