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少年矯正を考える有識者会議 第2回議事概要

1 日時:平成22年2月15日(月)午後3時9分から午後5時52分まで

(多摩少年院施設視察後開催)

2 場所:多摩少年院会議室

 

3 出席者

  (座長)岩井宜子(専修大学法科大学院副院長・教授)

(委員)市川宏伸(東京都立梅ヶ丘病院院長)

影山秀人(弁護士)

川﨑道子(元中央更生保護審査会委員)

津富 宏(静岡県立大学国際関係学部准教授)

徳地昭男(元武蔵野学院長)

廣瀬健二(立教大学大学院法務研究科教授)

本田恵子(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

毛利甚八(作家)

                        (敬称略,委員は五十音順)

(法務省)

尾﨑道明矯正局長,西田博矯正局総務課長ほか

 

4 議題

(1)矯正局からの報告

(2)配布資料の説明

(3)現職法務教官からのヒアリング

(4)意見交換

 

5 会議経過

(1)加古川学園法務教官を在院者に対する特別公務員暴行陵虐の事実で告発した件について,西田博矯正局総務課長から報告がなされた。

(2)事務局から配布資料の説明を行った。

(3)多摩少年院,榛名女子学園,愛光女子学園及び神奈川医療少年院で勤務している現職の法務教官5名からヒアリングを行った。主な質疑応答は,以下のとおりであった(順不同)。

(問)勤務していて苦労することは何か。

(答)勤務していて率直に感じる点は,職員の人的な不足である。

(答)業務が煩雑多岐で,かつ,重要なものが多く,心にゆとりが持てず精神的負担が大きい。

(答)事務処理に追われており,面接等の少年と接する時間が確保できず,非番や週休を利用して面接等を実施する実情にある。

(答)精神疾患が疑われる少年が増加していると感じている。また,集団処遇になじみにくい少年が増えており,こうした少年に力を注がなければならないため,その他の少年に十分な指導ができないことがある。

(問)法務教官になった動機は何か。

(答)自分自身が挫折したときなどに教師に支えられ,そういった方々へ恩返しをしたいという思いから法務教官になろうと考えた。

(答)学生時代の教護院(児童自立支援施設)での実習等を通じて,法務教官への道を目指した。

(答)学生時代に教育学部に在籍していたが,小学校や中学校の教員とは違った場所での教育を希望して法務教官を目指した。

(問)これまでの勤務経験の中で,少年の変化についてどう感じているか。

(答)精神的に不安定な少年や周囲の環境に左右されやすい少年が増加しているように感じる。

(答)少年の質的な変化は感じておらず,むしろ,社会環境の変化が大きいと考えている。

(4)次に,今後の会議の検討事項等について意見交換がなされた。

座長から,少年院の処遇体制・矯正教育の在り方,少年鑑別所の資質鑑別の在り方,施設運営の透明性確保の在り方,職員育成の在り方,関係機関との連携の在り方及び少年矯正の法的基盤整備の在り方等を含む今後の会議の検討事項案が提案された。併せて,同案の中で矯正研修所,少年鑑別所の視察が提案された。

各委員からは,主に以下の意見が述べられた(順不同)。

・ 議論を進めるに当たり,非行少年の変化に関する統計データ等が必要。

・ 少年の質的変化という視点だけでなく,別の視点から議論することも必要。

・ 少年院出院者からのヒアリングで,「少年院が本当に役に立ったのか」,「出院してから困ったこと」等を聴きたい。

・ 少年矯正の在り方を検討する上で,海外の少年矯正についての情報がほしい。

・ 職員の勤務形態や研修等の実情について知りたい。

・ 少年鑑別所の職員と意見交換ができる機会があると良い。

上記の座長案及び意見を踏まえ,更に検討していくこととされた。

 

6 今後の日程等

次回は,3月18日(木)開催予定とし,最近における非行少年の変化,矯正教育の現場の問題等について議論することとされた。その際,可能であれば,少年院出院者からのヒアリングを行う予定。

 
                                
―速報のため,事後修正の可能性あり―
                                                   (
文責 事務局)