「国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック」について
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国連人権センター(現国連人権高等弁務官事務所)が1995年(平成7年)に発行した。国内人権機構の設置や既存の機構の強化を考えている諸国への情報提供のために,そのガイドラインを示したもの。国内人権機構の独立性など,国内人権機構が実効的に機能するための要素や,その任務・権限等について,詳述している。
同ハンドブックで取り上げられている事項を概観すると以下のとおり。 |
第1部 国内人権機構:背景と概観
1 |
人権システム
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2 |
国内機構の分野における国連の活動
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3 |
国内人権機構の定義 |
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確定的定義の不存在 |
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一応の定義 |
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「 |
憲法又は法令に基づき,政府によって設立された機関で,人権の促進と擁護に関し,その機能が明確に定められているもの」 |
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4 |
国内機構の現状 |
第2部 国内機構が実効的に機能するための要素
1 |
序論
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2 |
独立性 |
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限定された独立性-国家との一定のつながり |
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(1) |
法律上・運営上の自律権による独立性-設置法,独立した決定権限,独立した日常業務の遂行,手続細則の制定権,勧告・報告・決定が他機関等の審査に服さないこと,他者(特に政府機関)に対し強制的に協力させる権限 |
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(2) |
財政的自律権による独立性 |
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(3) |
任命解任手続における独立性 |
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(4) |
構成による独立性-社会の多様性を反映した代表による構成 |
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(1) |
事物管轄の明記 |
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前提となる優先事項とその実現方法の検討過程の有用性,広範な管轄を持つことによる活動の弱体化・非効率化の回避,対象者への明確な利益付与。 |
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(2) |
管轄上の衝突回避-司法制度の補完,複数の国内機構を設立する際の潜在的重なりの回避 |
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(3) |
適切な権限付与-執行可能な権限,法律による確立 |
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(1) |
機構の周知 |
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(2) |
物理的な利用しやすさ-地域・地方事務所の設立,現地職員の採用,出頭不要の手続整備 |
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(3) |
代表的構成による利用しやすさ-社会のあらゆる構成要素の代表 |
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(1) |
NGOとの協力 |
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(2) |
国内機構間での協力 |
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(3) |
政府間組織との協力 |
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(1) |
十分な(人的・財政的)資源 |
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(2) |
業務の方法-業務方法と手続規則の確立 |
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(3) |
人事-研修等の重要性,定期的な職員の業務評価 |
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(4) |
見直しと評価 |
7 |
説明責任 |
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政府・議会に対する説明責任(報告),被擁護者に対する責任 |
第3部 人権に関する啓発・教育の任務
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・ |
人権に関する情報提供と教育 |
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・ |
人権を支える価値観や態度の育成 |
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・ |
人権擁護活動の促進 |
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(1) |
啓発資料の収集,作成,普及 |
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(2) |
啓発イベントの企画とコミュニティによる計画の促進 |
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(3) |
マスメディアとの協働 |
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(4) |
機構の存在と活動に関する可視性の確保 |
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(1) |
職業訓練 |
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対象者-司法,行政,国会構成員・関係者,その他(軍隊,メディア,NGO,教師,医師等)
訓練を効果的に実施するための手法-対象者の識別,プログラムの作成,適任指導者の選定,訓練の実効性の最大化,評価 |
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(2) |
セミナー |
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(3) |
教育プログラム |
第4部 政府に対する助言と援助の任務
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(1) |
諮問の要否-諮問なしで意見や勧告を提出できる広範な権限付与が望ましい |
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(2) |
適切な権限 |
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(3) |
効果的な手続の確立 |
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(4) |
受け手の責任 |
3 |
現行法及び提出法案の見直しと新法起草における援助 |
第5部 人権侵害の申立てに対する調査の任務
1 |
序論 |
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国内機構に与えられる最も重要な機能の一つ |
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・ |
市民の権利が十分に擁護されるための補充的なメカニズム |
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・ |
「補充性」とは,国内機構の申立事件処理機能が,司法手続や他の制度化された手続では提供できないものを提供できるべきだという意味を含む |
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(a) |
どのような申立てが調査の対象とされるべきか |
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・ |
申立ての許容要件(申立ての相手方と申立事項の範囲)は,できる限り明確に定められるべき。 |
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・ |
例えば,「人権侵害」を調査する権限という場合には,他の機構によって適切に扱うべき問題をも包含すると解されかねず,有用なことではない。 |
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(b) |
申立要件の限定は適切か |
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(c) |
誰が申立てをなし得るか |
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(d) |
申立手続 |
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(e) |
秘密保持の問題 |
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(f) |
申立ての却下 |
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・ |
効果的な調査を行うためには,国内機構は,訓練されたスタッフや十分な財政的補償を含んだ,自由に使える一定の人的・物的資源を有しなくてはならない。 |
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・ |
いかなる状況においても,国内機構は,当該申立てが事実か否か,そうだとすれば誰に責任があるのかについて明らかにする法的能力が与えられなくてはならない。 |
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・ |
勧告は,政府機関や公務員,私人や私的団体に対してなされる。 |
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・ |
国内機構は,人権侵害を防止し,減少させる措置を講ずべきこと,慣行・手続を変更すること,謝罪,損害賠償あるいはその他の救済手続を提案できる。 |
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(b) |
付託権限 |
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(c) |
決定権限 |
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侵害前の状態に回復不可能の場合は,公けの謝罪又は損害賠償や補償の支払を命じることも救済手法とすることができる。 |
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(d) |
強制命令権限 |
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(e) |
決定の公表 |
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(1) |
職権調査のための問題の選択 |
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(2) |
職権調査の実施 |
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(3) |
職権調査の事後処理 |
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