不動産登記法の改正についての要綱(骨子)
平成十六年二月十日
法制審議会総会決定
第一 | 電子情報処理組織を使用する方法による申請の導入に伴う申請手続の改正について |
( | 申請の方法及び受付) |
一 | 登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、登記を申請する旨の情報(以下「申請情報」という。)及び添付情報を登記所に提供してするものとする。 |
1 | 申請情報の内容を記載した書面(以下「申請書」という。)及び添付書面を登記所に提出する方法 |
2 | 電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法 |
(注 | )権利に関する登記における登記権利者及び登記義務者の共同申請主義は、維持するものとする。 |
二 | 権利に関する登記の申請における申請人又はその代理人の出頭主義は、廃止するものとする。 |
三 | 申請書を登記所に提出する方法による申請と電子情報処理組織を使用する方法による申請とは、いずれも受付の順序に従って処理するものとする。 |
(注 | 1)同一の不動産に関する前後が明らかでない数個の申請は、登記所に同時にされたものとみなすものとする。 |
(注 | 2)申請書を提出する方法による申請と電子情報処理組織を使用する方法による申請とは、同一の受付システムにより受付を行うものとする。 |
( | 申請手続における本人確認) |
(前 | 注)電子情報処理組織を使用する方法による申請においては、印鑑及び印鑑証明書に代えて、電子署名及び電子証明書を利用するものとする。 |
四 | 登記済証の提出により登記名義人による申請であることを確認する現在の制度に代替するものとして、次のとおりの本人確認制度を設けるものとする。 |
1 | 登記官は、登記完了時に、登記名義人となった者(申請人として登記を受ける者に限る。)に対し、その者を識別するための情報(以下「登記識別情報」という。)を通知するものとし、その者が次回の登記の申請人として登記を申請するときは、原則として、登記所に当該登記識別情報を提供しなければならないものとする。 |
2 | 登記識別情報の通知を受けた登記名義人又はその代理人の請求により、当該登記識別情報は失効するものとする。 |
3 | 登記識別情報の通知を受けた登記名義人又はその代理人は、手数料を納付して、当該登記識別情報が有効である旨の証明を請求することができるものとする。 |
(注 | 1)1の申請人が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたときは、登記識別情報の通知は、行わないものとする。 |
(注 | 2)登記識別情報の再通知は、行わないものとする。 |
(注 | 3)登記が完了したことを通知する制度も設けるものとする。 |
五 | 登記名義人である申請人が登記識別情報を提供してすべき登記の申請において、その提供をすることができないときは、登記官は、直ちに申請を却下すべき事由がある場合を除き、申請人が当該申請の申請権限を有する登記名義人であることを確認するため、次の事前通知の手続を行うものとする。 |
1 | 登記名義人に対し、事前通知を行い、通知後一定期間内に登記名義人から登記申請に間違いがない旨の申出がないときは、申請を却下するものとする。この場合において、事前通知は、登記名義人本人が確実に受領することができる方法によるものとする。 |
2 | 所有権に関する登記の申請については、申請がされた日前一定期間内に登記名義人の住所について登記名義人の表示の変更の登記があるときは、1の事前通知のほか、当該登記名義人の登記上の前住所にあてて、登記の申請があった旨を通知するものとする。 |
(注 | )保証書の制度は、廃止するものとする。 |
六 | 五の事前通知の手続を行うべき登記の申請を資格者(登記の申請の代理を業とすることができる者をいう。)が代理する場合において、登記官は、資格者である代理人から、申請人が当該申請の申請権限を有する登記名義人であることを確認した旨の具体的な情報の提供を受けたときは、当該情報の内容を審査しなければならないものとする。この場合において、登記官は、その内容が適切であると認めるときは、五1の事前通知を省略することができるものとする。申請人が申請書又は申請情報の内容を記録した電磁的記録(委任による代理人によって申請する場合にあっては、代理権限を証する書面又は代理権限を証する情報の内容を記録した電磁的記録)に公証人その他の認証権限を有する公務員の認証を受けた場合についても、同様とする。 |
(注 | )資格者が登記権利者又は登記義務者のいずれを代理して申請しているかを問わないものとする。 |
七 | 登記官は、申請人となるべき者以外の者が申請人として申請していると疑うに足りる相当な理由があるときは、直ちに申請を却下すべき事由がある場合を除き、申請人又はその代理人に対し、出頭を求め質問をし、又は必要な情報の提供を求める方法により、申請人の申請の権限の有無を調査しなければならないものとする。この場合において、当事者が遠隔地に居住しているときその他相当と認めるときは、登記官は、他の登記所の登記官に調査の嘱託をすることができるものとする。 |
( | 権利に関する登記の申請における登記原因証明情報の提供) |
八 | 権利に関する登記を申請するときは、登記原因を証する情報(以下「登記原因証明情報」という。)を提供しなければならないものとする。 |
(注 | 1)登記原因証明情報は、利害関係人において閲覧することができる登記記録の附属記録とする。 |
(注 | 2)登記原因を証する書面を申請書副本により代替する制度は、廃止するものとする。 |
( | 表示に関する登記の申請における添付情報) |
九 | 表示に関する登記の申請を電子情報処理組織を使用する方法により行う場合において、添付情報の内容となるべき情報が書面で作成されているときは、申請人又はその代理人が原本と相違ない旨を明らかにした原本の写しに相当する情報を添付情報として提供することを認めるものとする。この場合においては、登記官は、原本の提示を求め、写しの正確性及び原本の内容を確認するものとする。 |
( | 電磁的記録で作成された添付情報) |
十 | 申請と併せて提供すべき情報が電磁的記録で作成されているときは、申請書を提出する方法による申請においても、当該電磁的記録を申請書に添付することができるものとする。 |
( | 電子情報処理組織を使用する方法による登記事項証明書等の請求) |
十 | 一 電子情報処理組織を使用する方法により、登記事項証明書等の送付を請求することができるものとする。 |
第二 | 現代語化その他の改正について |
一 | 片仮名書き・文語体の法文を、平仮名書き・口語体の法文に改めるとともに、法律に規定すべき事項を整理するものとする。 |
(注 | )登記申請手続の基本原則に関する事項、申請権を有する者又は申請義務を負う者に関する事項、登記すべき事項その他の登記制度の骨格に関する事項を法律事項とする。 |
二 | 登記簿並びに地図及び建物所在図は、電磁的記録に記録することを前提とした制度とし、これに伴う所要の改正を行うものとする。 |
三 | 不動産を特定するための番号(以下「不動産特定番号」という。)を登記事項とするものとする。 |
(注 | )申請書又は申請情報に不動産特定番号を記載し、又は記録した場合には、申請書又は申請情報の記載事項又は記録事項の一部を省略することができるものとする。 |
四 | 予告登記の制度を廃止するものとする。 |
五 | 登記官の過誤による登記を職権で更正する手続及び登記完了後にされた審査請求に理由があると認められる場合の是正手続を整備する。 |
1 | 登記官の過誤による登記がされた場合において、登記上の利害関係人がいるときは、登記官は、当該利害関係人の承諾を得て、職権で登記を更正することができるものとする。 |
2 | 登記官が審査請求に理由があると認めるときは、相当な手続により自ら是正するための処分をすることができるものとする。 |
六 | その他、登記の申請に関する規定を整理する。 |
第三 | 新制度の実施について |
一 | 電子情報処理組織を使用する方法による申請の制度(第一の一2、第一の三及び第一の九)、登記識別情報の通知及び提供に関する制度(第一の四)、電磁的記録で作成された添付情報の申請書への添付の制度(第一の十)並びに電子情報処理組織を使用する方法による登記事項証明書等の送付の請求の制度(第一の十一)は、法務大臣が指定した登記所から順次実施するものとする。なお、指定を受けていない登記所においては、指定されるまでの間、現在の登記済証の制度を適用するものとする。 |
二 | 一の指定を受けた登記所において、指定後も、現在の登記済証を添付して申請書を提出する方法による申請を行うことができるものとする。この場合において、登記完了時には、登記名義人になった者に登記識別情報を通知するものとする。 |
三 | 地図及び建物所在図の電子化の制度(第二のニ)並びに不動産特定番号に関する制度(第二の三)は、一の指定とは別に、法務大臣が指定した登記所から順次実施するものとする。 |
四 | 権利に関する登記の出頭主義の廃止(第一の二)、事前通知制度及び資格者代理人の本人確認制度(第一の五及び第一の六)、登記官による本人確認調査(第一の七)、登記原因証明情報の提供の制度(第一の八)、予告登記制度の廃止(第二の四)並びに職権による登記の更正及び審査請求に理由がある場合の是正措置(第二の五)については、一及び三の指定の有無にかかわらず、すべての登記所において、実施するものとする。 |
五 | その他、所要の経過措置を設けるものとする。 |