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法制審議会第120回会議(平成8年10月8日(火)開催)

平成8年10月8日
担当:法務省司法法制調査部

議題

 (1) 倒産法制の見直しに関する諮問第41号について
 (2) 組織的な犯罪に対処するための刑事法の整備に関する諮問第42号について

議事概要

 (1) 倒産法制の見直しに関する諮問第41号について
     法務大臣から新たに発せられた諮問第41号について事務当局から諮問に至った経緯及び諮問の趣旨等の説明が行われた。
 これは,倒産法制全体を視野に入れて手続の見直しをすることは緊要の課題であることから,今回の諮問に至ったものである。
 これに対する意見表明及び審議方法として新たに部会を設けて審議すること並びに部会の名称を「倒産法部会」とすることに決定し,諮問第41号については,部会から報告を受けた後改めて総会において審議することとされた。
 (2) 組織的な犯罪に対処するための刑事法の整備に関する諮問第42号について
     法務大臣から新たに発せられた諮問第42号について事務当局から諮問に至った経緯及び諮問の趣旨等の説明が行われた。
 これは,組織的な犯罪に適切に対処するため,当面緊急に対応する必要があると思われる事項に関し,必要な法整備を図るべく,その整備要綱の骨子を示されるよう,今回の諮問に至ったものである。
 これに対する質疑応答及び審議方法として刑事法部会に付託して審議することに決定し,諮問第42号についても,部会から報告を受けた後改めて総会において審議することとされた。

諮問第41号

 破産,和議,会社更生等に関する制度を改善する必要があるとすれば,その要綱を示されたい。

諮問第42号

 最近における組織的な犯罪の実情にかんがみ,早急に,この種の犯罪に対処するため刑事の実体法及び手続法を整備する必要があると思われるので,別紙の事項に関して,その整備要綱の骨子を示されたい。

別紙

第一 組織的な犯罪に関する刑の加重等
  一 一定の組織的な犯罪の刑の加重
     犯罪実行のための組織を作り又は団体の不正な権益に関連して犯した犯罪(以下「組織的な犯罪」という。)に該当する一定の罪(例えば,賭博開張図利,殺人,逮捕監禁,強要,詐欺,恐喝等)につき,その刑を加重すること。
 犯罪実行のための組織を作り又は団体の不正な権益に関連して犯した犯罪(以下「組織的な犯罪」という。)に該当する一定の罪(例えば,賭博開張図利,殺人,逮捕監禁,強要,詐欺,恐喝等)につき,その刑を加重すること。
  二 組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等の刑の加重
     組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等,証拠隠滅等及び証人等威迫の罪につき,その刑を加重すること。
  三 予備罪の刑の加重及び新設
     組織的な犯罪に該当する殺人の罪につき予備罪の刑を加重し,組織的な犯罪に該当する営利目的等略取及び誘拐の罪につき予備罪を設けること。

第二 犯罪収益等による事業経営の支配等の処罰
     一定の罪(例えば,財産上の不正な利益を得る目的で犯した死刑又は無期若しくは長期五年以上の懲役に当たる罪及び懲役以上の刑に当たる罪であって多額の財産上の不正な利益を生ずることが多いもの)の犯罪行為により得た財産等を犯罪収益等とし,これについて,次の行為を処罰すること。
    1  犯罪収益等の出資,貸付け等による影響力を利用して,法人等の事業経営を支配し,又はこれに干渉する行為及び法人等の事業経営を支配し,又はこれに干渉する目的で犯罪収益等の出資,貸付け等をする行為
    2  犯罪収益等を隠匿する行為及びこれを収受する行為

第三 没収及び追徴の拡大
  一 犯罪収益等の没収及び追徴
     犯罪収益等については,その没収の対象を金銭債権に拡大し,その他その没収及び追徴の制度を整備すること。
  二 犯行供用物件等の没収
     法人等の構成員が法人等の物を組織的な犯罪の犯罪行為の用に供した場合等に,その没収を可能にすること。

第四 令状による通信の傍受
     一定の罪(例えば,死刑,無期懲役又は無期禁錮に当たる罪,薬物又は銃器に関する罪,略取及び誘拐の罪等)の捜査に関し,裁判官の発する令状により,犯罪の実行に関連して行われる電話その他の電気通信を傍受する制度を設けること。

第五 証人等の保護
     証拠の閲覧及び証人尋問に際して,証人等の氏名,住居等,その特定に関する事項の取扱いにつき,証人等の安全に配慮する措置を講じること。

第六 没収に関する手続等
     第三の一の没収の範囲の拡大に伴い,必要な手続等を整備すること。