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「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」に対する意見について

平成13年2月6日

1 意見募集期間

平成12年11月29日(水)~ 平成13年1月19日(金)

2 募集方法

書面(郵送,ファックス)及び電子メールにより,18の論点ごとに募集した。

3 意見数等

○通数 41,835通
 
 内訳  
   書面(郵送,ファックス) 39,446通
   電子メール 2,389通
 
○意見総数(意見の内容ごとに数えたもの) 58,763件
 
 内訳
 (1)「はじめに~調査審議の対象とその経過~」に関して [257件]
 (2)「我が国における人権侵害の現状と被害者救済制度の実情」に関して [1,071件]
 (3)「人権救済制度の果たすべき役割」に関して [1,745件]
 (4)「必要な救済措置とこれを実現するための手法」に関して [17,693件]
 (5)「調査手続・権限の整備」に関して [745件]
 (6)「人権救済機関の組織体制の整備」に関して [33,222件]
 (7)その他 [4,030件]

4  意見の内容

5  意見の概要

  (1) 「はじめに~調査審議の対象とその経過~」に関して(意見の一覧)
   
・ 「これまで法務省の人権擁護機関が行ってきた取組が不十分なものにとどまっていることを踏まえ,21世紀にふさわしい人権救済制度を確立すべき」
との意見が多く寄せられた。
 このほか,
・ 「『被害回復』の概念が不明確なので明示すべき。実際の被害回復の際に混乱を起こしかねない」
・ 「同性愛など性的指向等に関する人権侵害の調査,ヒアリングを行い,審議すべき」
・ 「『世界の潮流に目を向けると,・・・国内人権機構の整備の動きが活発化しつつある。』の後に,『なお,その際,人権法や各種差別禁止法を整備することによって,人権侵害や差別行為が明確に禁止されており,国内人権機構は,その禁止事項の実施機関になってきていることにも留意する必要がある。』などといった文言を入れるべき」
などの意見が寄せられた。

(2) 「我が国における人権侵害の現状と被害者救済制度の実情」に関して(意見の一覧)
   
・ 「部落地名総鑑事件,身元調査事件,インターネットによる差別宣伝等,部落差別の実態を十分に認識し,更に踏み込んだ記述をすべき」
・ 「ヒアリングは短時間で行われたため不十分であり,特に救済が求められている人権侵害の実態について視察すべき」
との意見が多く寄せられた。
 このほか,
・ 「同和対策審議会答申(昭和40年)において,既に差別に対する法的規制の必要性と国家から独立した救済機関創設の必要性が指摘されていることについても言及すべき」
・ 「総務庁地域改善対策室の調査によると,同和地区出身者で人権侵害を受けた体験のある人の中で,法務局・人権擁護委員に相談した人は0.6%で,黙って我慢する人が約半数であったことなどを現行制度の問題点として指摘すべき」
・ 「規約人権委員会が,同和問題に関して,差別を終結させるための措置をとることを勧告したことにも言及すべき」
・ 「裁判を受ける権利を充実する立場を鮮明にすべき」
・ 「政府と大企業による人権侵害等の問題解決が最初に位置付けられる必要がある」
・ 「規約人権委員会の勧告を誠実に検討すべき」
などの意見が寄せられた。

(3) 「人権救済制度の果たすべき役割」に関して(意見の一覧)
   
人権救済制度の位置付け(意見の一覧)
 ・ 「新しい救済制度は被害者が安価に,(できれば無料で)活用できるようにすべき」
 ・ 「救済機関が行政に対して積極的に意見具申できる仕組みが必要」
 ・ 「各自治体に総合的・横断的な救済制度の仕組みを作ることが大切」
 との意見が多く寄せられた。
 
具体的役割(意見の一覧)
 ・ 「差別をしている本人に対して専門的なカウンセラーも含めたチームで説得をするなどの取組が必要」
 ・ 「差別をした側に謝罪と反省を促し,迅速に差別行為をやめさせることが重要」
 との意見が多く寄せられた。
  また,
 ・ 「人権問題の間口を広くとっているが,救済を簡易,迅速,短縮してできるのか。具体的な救済が明記されていない」
 ・ 「私的自治の領域において,強制調査権限を伴う積極的救済は新たな人権侵害を生みかねない」
 ・ 「マスメディア以外のものによる名誉信用毀損やプライバシー侵害,街宣車による集会妨害,児童に対する就学妨害等も積極的救済の対象から除外すべきでない。私人による人権侵害の場合,その程度が甚だしく,被害者が他に簡易・迅速かつ実効的な救済手段がとれない場合には,積極的救済の対象とすべき」
 ・ 「積極的救済の要件を厳格に規定し,権限濫用を招かないようにしなければならない」
 などの意見が寄せられた。
 
その他(意見の一覧)
 ・ 「加害者に対する取組状況について被害者に定期的に報告すべき」
 との意見が多く寄せられた。

 
(4) 「必要な救済措置とこれを実現するための手法」に関して(意見の一覧)
   
ア 人権侵害類型と必要な救済措置
◯ 差別(意見の一覧)
 ・ 「結婚・交際差別を積極的救済の対象とすべき」
 ・ 「差別落書や投書等による集団誹謗的表現を積極的救済の対象とすべき」
 ・ 「差別を禁止する法律(差別禁止法)を整備すべき」
 ・ 「身元調査を規制し,積極的救済の対象とすべき」
 との意見が多く寄せられた。
  一方,
 ・ 「結婚・交際については,両性の合意のみに基づいて成立し,相互の協力により維持されなければならないとする憲法第24条の精神を普及・徹底することを強調すべき」
 ・ 「『差別落書や発言などは現行法の名誉毀損で十分対処できる』とした,これまでの政府審議会等の意見を尊重すべき」
 ・ 「『差別を助長する』とか『誘発する』といった曖昧な表現は削除し,『差別の指示・宣言』といった用語も厳密に定義してほしい」
 ・ 「差別表現の問題は,民間どうしで解決すべき」
 ・ 「身元調査の問題については,企業等が応募者の能力と適性に基づいて公正な採用を行うよう指導することが先決」
 との意見も寄せられた。
  このほか,
 ・ 「国際人権B規約第20条2項の差別煽動の禁止を踏まえて検討してほしい」
 ・ 「同性愛などの性的指向等を理由とする差別的取扱い等の人権侵害を積極的救済の対象とすべきであり,そういった人々に対する差別,人権侵害を許さないシステムを確立する必要がある」
 ・ 「婚姻上の地位,家族構成,政治的意見,受刑経験などに基づく差別的取扱い,資格試験の欠格事項,居住サービスにおける年齢差別についても積極的救済の対象とすべき」
 などの意見が寄せられた。
 
虐待(意見の一覧)
 ・ 「児童虐待に対応するため,児童委員及び主任児童委員が積極的役割を果たすよう記述すべき」
 ・ 「児童相談所の人員を増やす必要がある」
 ・ 「警察,病院,民生委員等の連携による,早期発見・被害者保護が必要」
 ・ 「幼児虐待の早期発見のためのシステムの確立を望む」
 などの意見が寄せられた。
 
公権力による人権侵害(意見の一覧)
 ・ 「公権力による人権侵害については,差別・虐待だけに限らず,広く積極的救済の対象とすべき」
 ・ 「公権力による人権侵害に対しては,相当の調査権限を付与しなければ救済することが困難」
 ・ 「公権力による人権侵害に対しては,強制力を伴った調査,是正命令を行使できる強い権限を持つことが望まれる」
 ・ 「公権力による人権侵害に対する救済の手続,手法を明確にすべき」
 との意見が多く寄せられた。
  また,
 ・ 「公的機関には,人権侵害を発見した場合の人権機関への報告義務,人権機関の調査への協力義務,人権機関の措置に対する尊重義務を課すべき」
 などの意見が寄せられた。
 
メディアによる人権侵害 (意見の一覧)
 マスメディアに関しては,
 ・ 「自主規制を原則とすべき」
 ・ 「『報道評議会』など独立した第三者機関を設置し,マスコミ自身が報道被害の救済実現に努めることが必要」
 ・ 「マスメディアによる人権侵害は積極的救済の対象とすべきではない」
 との意見が多く寄せられたほか,
 ・ 「人権救済機関の関与が取材段階にも及べば,行政命令による記事差止めと同様の効力を持つ」
 などの意見も寄せられた。
  一方,
 ・ 「マスメディアによる人権侵害も積極的救済の対象とすべき」
 ・ 「マスメディアによる人権侵害については,罰則を科すなど新たな法規制を行う必要がある」
 ・ 「マスメディアによる人権侵害に厳しい対応を考えてほしい」
 などの意見も寄せられた。
  その他のメディアに関しては,
 ・ 「インターネット等を利用した差別表現の流布を積極的救済の対象とすべき」
 ・ 「インターネットによる人権侵害に対して規制をかけるべき」
 との意見が多く寄せられた。
  一方,
 ・ 「インターネット上の表現行為に関しては,自主的な第三者機関が,被害者の請求に基づいてプロバイダーに情報開示を要求できる体制をつくるとともに,有害情報についても,自主的なものと現行法で対応すべき」
 との意見も寄せられた。
 
救済手法の整備(意見の一覧)
 ・ 「人権救済機関の訴訟参加は不可欠」
 ・ 「人権擁護委員の調停への参加は不可能である。人権擁護委員ではなく,一定の専門性や人権問題に精通する人(関係機関,関係団体)等を参加させるべき」
 との意見が多く寄せられた。
  このほか,
 ・ 「人権救済機関が裁判所に差止命令発布を求める制度等を積極的に検討すべき。その際,その行為を明確に法律で禁止しておくことが必要」
 ・ 「差別表現に関し,命令,裁定制度を整備し,差止め,削除等の手法を取り入れるべき」
 ・ 訴訟援助については,準司法的機能を持つ行政機関である人権救済機関が中立的立場を放棄し,訴訟当事者に近い立場になるのは問題」
 などの意見が寄せられた。

 
(5) 「調査手続・権限の整備」に関して(意見の一覧)
   ・ 「官民を問わず,強制調査権限が必要」
 との意見が多く寄せられたが,一方で
 ・ 「強制調査権の行使は公権力に限定し,私人間の人権侵害については救済措置を含めてその対象から外すべき」
 ・ 「私人間の人権侵害については,重大かつ悪質なものに限って,その範囲と手続を明定し,調査への非協力に対して過料を課すことができるようにすべき」
 ・ 「メディアに対しては強制調査権は行使すべきでない」
 との意見も寄せられた。
  また,
 ・ 「場合によっては強制調査も必要だが,その前提として,その行為を禁止した法律が整備されている必要がある」
 ・ 「質問調査権,立入調査権など具体的な権限を付与すべき」
 ・ 「拘禁施設に対する抜き打ち的な立入調査権限を付与すべき」
 などの意見が寄せられた。

 
(6) 「人権救済機関の組織体制の整備」に関して
   
人権救済機関の独立性等(意見の一覧)
 ・ 「救済機関は政府から完全に独立した機関にすべき」
 ・ 「救済機関は政府から独立した機関にすべき」
 ・ 「救済機関は3条委員会(国家行政組織法3条の委員会)にすべき」
 ・ 「救済機関は総合的な調整機能を持つ内閣府か総務省が所管することが必要」
 ・ 「救済機関は内閣府が所管すべき」
 ・ 「当事者の経済的な負担が軽く,手続が簡易で,早期の実効的救済が期待できる体制を確立すべき」
 ・ 「救済機関の予算についても独立して計上すべき」
 ・ 「予算の編成に当たっては,委員会の自主性,独自性を尊重することが重要」
 との意見が多く寄せられた。
 
人権救済機関の全国的な組織体制の在り方(意見の一覧)
 ・ 「地方にも救済機関(委員会)を設置すべき」
 ・ 「地方にも中央と同等の権限を持った人権救済機関(委員会)を設置すべき」
 ・ 「都道府県,政令指定都市ごとに設置すべき」
 ・ 「中央と地方の委員会で機能分担すべき」
 ・ 「各市町村に少なくとも1か所,人口規模の大きい自治体は人口20万人に1か所を目途に人権相談窓口を設置することが必要」
 ・ 「各市町村に少なくとも1か所人権相談窓口を設置することが必要」
 ・ 「法務局・地方法務局の人権擁護にかかわる所掌事務は,人権委員会事務局に移管すべき」
 ・ 「各自治体に総合的・横断的な救済制度の仕組みをつくることが重要」
 との意見が多く寄せられた。
 
人権擁護委員が人権救済に果たすべき役割 (意見の一覧)
 ・ 「現行の人権擁護委員制度は機能していない」
 ・ 「人権擁護委員をあっせん,調停,仲裁に参加させるのは妥当でない」
 ・ 「人権擁護委員は積極的に相談業務に関与し,適性に応じて積極的救済にも関与すべき」
 ・ 「調査権限の拡大を図る必要がある」
 などの意見が寄せられた。
 
人権救済機関の人的構成に関する留意点(意見の一覧)
  委員会の人的構成については,
 ・ 「当事者の代表を加えるべき」
 ・ 「パリ原則を念頭に置き,男女のバランスや委員の独立性と委員構成の多元性を実現することが重要」
 との意見が多く寄せられた。
  このほか,
 ・ 「被差別当事者団体や各界の意見などを総合的に判断しながら人選するシステムが必要」
 ・ 「中央の委員は内閣総理大臣が国会の承認を得て任命し,地方の委員は知事・市長がそれぞれ議会の承認を得て任命するものとすべき」
 ・ 「国会に推薦委員会を設け,市民やNGOが意見を述べる機会が保障されるなど,委員の選任に公開性と市民参加が保障されるべき」
 ・ 「委員の解任事由を限定し,身分の独立性の確保が必要」
 との意見が多く寄せられた。
  また,人権擁護委員制度については,
 ・ 「抜本的に改革することが必要」
 ・ 「権限,役割,人数,資格,財政などの面で抜本的に改革することが必要」
 ・ 「抜本的に改め,(1)人権について一定の理解を条件とする,(2)年齢やジェンダーバランスを考慮するとともに,定住外国人を含むマイノリティーも加われるようにする,(3)実働日数を増やすために手当を増額するなどの工夫が必要」
 との意見が多く寄せられた。
  さらに,事務局職員については,
 ・ 「職員の資質を確保すべき」
 ・ 「職務遂行に必要な専門的知識経験を有する弁護士,NGO職員,地方自治体職員から採用すべき」
 ・ 「ジェンダーバランスを確保し,マイノリティー出身者から採用するなど社会の多元性を反映した職員構成となるよう配慮すべき」
 との意見が多く寄せられた。
 
救済にかかわる他の機関・団体との連携の在り方(意見の一覧)
 ・ 「民間団体との連携について具体的な方針・方策を示すことが必要」
 ・ 「民間団体を敵視すべきでなく,主体性を持って連携を図るべき」
 との意見が多く寄せられた。
  このほか,
 ・ 「既存の国,自治体の人権にかかわる救済制度については,包括的な 『差別禁止法』(仮称)の制定を前提に,最終的には,人権救済機関の機能に吸収すべき」
 ・ 「特に権力機関にかかわる人権侵害について,弁護士会の活動に一定の調査権限等を法的に付与することや,人権擁護機関との連携について検討すべき」
 ・ 「人権NGOとの恒常的な協議の必要性についても言及すべき」
 などの意見が寄せられた。
 
人権救済機関が他に所掌すべき事務(意見の一覧)
 ・ 「救済機関には,政策提言機能を持たせるべき」
 ・ 「救済機関の担う啓発の役割は,人権侵害や差別行為に対する取組との関係で必然的に求められてくる範囲に限定すべき」
 との意見が多く寄せられた。
  このほか,
 ・ 「差別,虐待等人権侵害の予防についての環境整備を行うこと」
 ・ 「人権啓発を,人権救済をサポートするという観点から推進することが必要」
 ・ 「国会や地方議会への年次報告を義務付けるべき」
 ・ 「本来人権の享有主体である国民を愚民視した人権啓発を救済機関が推進すると,国民意識の統制管理に向かい,内心の自由を侵害しかねない」
 ・ 「人権救済機関の人権啓発機能の対象と内容の明確化に努めるべき」
 などの意見が寄せられた。

(7) その他 (意見の一覧)
   ・ 「被害者救済制度が整備されても,確認・糾弾会などにより当事者間で 解決できるものは,それに委ねるべき」
 ・ 「救済機関の設置により,人権教育・啓発推進法を廃止することのないようにしてほしい」
 ・ 「ILO111号条約(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約)を批准すべき」
 との意見が多く寄せられた。
  一方,
 ・ 「私的制裁などの違法性のある確認・糾弾行為は,構造上,人権侵害にならざるを得ず,新たな偏見を広げるなどの弊害を生んでおり,1日も早く是正すべき」
 との意見も寄せられた。
  このほか,
 ・ 「国際人権規約の選択議定書の批准について検討すべき」
 ・ 「内閣府に人権行政について総合的調整機能を持つ人権庁を新設すべき」
 などの意見が寄せられた。