そんなとき法テラスがお役に立ちます


Vol.11 〜ホームページからFAQ(よくある質問と答え)が検索できます〜

法テラスでは,コールセンターや地方事務所で法制度の案内をしていますが,ホームページからもよくある質問と答えを検索することができます。

法テラスでは,様々なお問い合わせに適切・迅速にお答えできるよう,FAQ(よくある質問と答え)のデータベースを備えています。これは法的トラブルに関連する法律や制度などの情報を「1問1答」形式で整理したもので,法律の改正やお問い合わせの傾向などに合わせて常に更新・追加されています。

現在FAQの数は約3,500件にも達しているのですが,このうち,お問い合わせの多い約700件を法テラスのホームページで公開しています。


解説図

●information● 法テラスは,法的トラブル解決のための総合案内所。
法的トラブルなら法テラスへ,お気軽にお問合せください。

法テラス・コールセンター


中華人民共和国の行う法制度整備に対する支援(法制度整備支援)

1 中華人民共和国ってどんな国?

中華人民共和国(以下,「中国」)は,日本の約25倍(約960万平方km)の広大な国土を有し,日本の約10倍(約13億人)の人口を抱えた世界の大国です。

中国は,1978年以降,いわゆる改革・開放政策により,市場経済化を推し進め,いまや日本をしのぐほどの経済大国へと成長を遂げ,日本の貿易相手・投資先としても大変重要な国です。

他方,4000年の歴史を持つ中国においては,古くから律令制などの法制度が整っていました。日本が遣隋使,遣唐使などを送って,中国に倣って国内の法制度を整えたことは皆様もよくご存知かと思います。近時,中国は,改革・開放政策とともに「民主と法制」の強化という方針を掲げて急ピッチで民商事法を中心に法整備を推し進めてきましたが,特に,2001年世界貿易機構(WTO)に加盟してからは,国際水準に合致した法整備が急務となっています。

2 中国の法制度整備活動に対する支援内容

日本は,2007年,中国から要請を受け,同年11月から中国の民事訴訟法・仲裁法改正作業に対する支援を開始しました。

法務省法務総合研究所(特に同研究所国際協力部)は,独立行政法人国際協力機構(JICA)に協力し,中国の立法担当者に対し中国や日本で研修等を実施し,日本の民事訴訟法及び仲裁法,裁判実務等の紹介,解説等を行って中国側の立法作業がスムーズにいくように支援しました。これらの研修が好評でしたので,さらに日本の不法行為関連の法律や国際私法等についても研修等を行い,中国側の必要とする知識や情報を提供しました。

2009年12月,中国で権利侵害責任法が成立しましたが, この法律の起草にあたっては日本の損害賠償制度が参考にされました。なお,民事訴訟法等については,まだ中国で改正作業が終了していないので,今後も引き続き同様の支援を継続していく予定です。

3 2010年5月の訪中時の様子

「日中で支援成果を確認(JICAの訪中国とともに)」
「日中で支援の成果を確認(JICAの訪中団とともに)」

今年5月,3年間の法制度整備支援の成果を確認するため,中国北京市に行ってきました。

中国の立法担当者は,日本のこれまでの協力について感謝するとともに,日本の協力を高く評価し,今後も支援を継続してほしいと繰り返し要望しました。日本が明治時代に欧米の法制度を取り入れ,長年にわたり自国で発展させてきた歴史が,中国にとって身近に感じられ非常に参考となるようです。

4 雑感

国際協力部では,これまでカンボジアやベトナム等の法制度整備を支援してきましたが,中国のように立法能力の高い国への支援は,従来の法制度整備支援とは少し意味合いが異なる点もありました。

中国の立法担当者は,立法の専門家との自負があり,支援よりも相互「協力」あるいは相互「交流」,研修よりも「研究会」あるいは「検討会」という言葉を好んで用います。

中国では,経済の発展と同様,立法作業も急ピッチで進んで完成目前の感があり,世界でも最先端をゆく法理念や法制度を取り入れようとの意欲も旺盛です。近い将来,日本が中国の法制度を学び,見習う日がやってくるかもしれません。

だからこそ,今が中国に対する法制度整備支援の最後の「旬」なのかもしれないと感じました。

(国際協力部 教官)