職場レポート《現場から》

‐ 親子で楽しむ名物行事「茶摘み会」‐     駿府学園

静岡市郊外


親子で楽しむ名物行事「茶摘み会」

静岡市の郊外にある少年院・駿府学園の名物行事は「茶摘み会」です。数十年をかけて仕立てられた茶畑を利用して,八十八夜のころ,家族と一緒に行う茶摘み会が催されます。新茶を味わいながら,家族との心の交流も一気に深めようというねらいですが,家族や地域の多数の協力者の力も借りて創り上げる一大イベントになっており,職員は天候や茶の生育状況も見ながら綿密な準備を重ねます。

午前9時半の定刻を目指して,少年たちの家族が続々と会場へ到着してきます。駿府学園に入院している少年は,東京高等裁判所管内の家庭裁判所から送致されているため,家族は各地から早朝あるいは深夜のうちに家を出て,はるばる会場まで駆けつけてくれています。

最初の茶摘みは会場から1キロほど離れた茶畑で行われます。職員に先導され,茶摘み用の竹籠を手に全員で連れだって茶畑へ移動し始めると,和やかな親子の会話が始まります。茶畑に到着すると,新茶の鮮やかな色に感激する声や周囲の美しい景色に感動する声が各所で上がり,さっそく茶摘みの開始です。我が子に教わりながら〈一芯三葉〉と唱えて手元に集中する人,久しぶりの家族の会話やふれあいを存分に味わおうとするグループ,成長した息子の姿にただ見とれるお母さん…色々な家族模様があちこちで広がっていきます。

この日参加者が体験するのは茶摘みだけではありません。会場では古来の手もみ製茶の実演が行われており,参加家族はお茶の香りを感じながら製茶の体験もできます。できあがったお茶は,昼食会をはさんで午後に行う茶会で使用されます。

まず,おいしいお茶のいれ方の説明があり,製茶されたばかりの手もみ茶を使用して,さっそく少年たちが自分の手で家族にお茶をもてなします。ゆっくりと時間をかけて行う親子の対話の途中には,家族で短歌を詠む時間も設けてあり,緊張感がほぐれたせいか,夜を徹して運転して来たお父さんの中には,ついこくりと舟をこぐ人も見えます。都合により家族が参加できなかった少年には,地域の方々が皆で囲んで励ましてくださっています。

少年たちは,この日のためにあれこれ準備に余念がありませんでした。準備の甲斐があって家族をもてなす心を発揮でき,あちこちで笑顔がはじけます。見守る職員も,この茶摘み会を終えるときには少年と家族との自然な歩み寄りを感じることができます。ある父母がこの日詠んだ短歌を,最後に紹介します。

「お茶の葉が 親子の絆 深めた日 新芽のような親子の姿」

インフォメーションイメージ


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