CONTENTS

平成30年版犯罪白書について

○ 犯罪白書とは?

犯罪白書は,犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について,統計資料等に基づいて説明しているものです。

昭和35年から毎年発刊されており,犯罪対策を検討するための基礎的な資料としての役割を担っています。

○ 犯罪の動向は?

刑法犯の認知件数(警察が犯罪の発生を把握した件数)は,平成14年に戦後最多の約285万4,000件を記録しましたが,その後は15年連続で減少し,平成29年は約91万5,000件と,戦後最少を更新しました。

平成15年からの認知件数の減少は,刑法犯の7割以上を占める窃盗の件数が大幅に減少し続けたことに伴っています。

平成29年に刑法犯で検挙された者の人員は,戦後最少の約21万5,000人でしたが,そのうち,65歳以上の高齢者が21.5%を占めており,高齢化が進んでいます。

○ 再犯の現状は?

平成25年に刑事施設を出所した者のうち4割近くの者が,出所後の犯罪により,出所後5年以内に刑事施設に再入所しており,そのうち約半数が2年以内に刑事施設に再入所しています。

また,満期釈放者は,仮釈放者と比べて,再入率(各年の出所受刑者人員のうち刑事施設に再入所した者の人員の比率)が高いことが分かります。

○ 今回の特集は?

今回の犯罪白書では,「進む高齢化と犯罪」を特集し,高齢者犯罪の動向等を分析しています。

高齢の刑法犯の検挙人員は,窃盗が多いのが特徴です。

また,高齢の出所受刑者のうち,出所後の犯罪により,出所後2年以内に刑事施設に再入所する割合は,高齢ではない出所受刑者よりも高く,平成28年に刑事施設を出所した高齢者の5人に1人が再入所しています。

そのほか,高齢者による窃盗,殺人,傷害・暴行等について特別に調査を行い,実態等を検証しているほか,高齢犯罪者に対する取組を紹介しています。

高齢犯罪者の再犯防止のためには,高齢犯罪者を一くくりにせず,一人ひとり違う特性に応じた指導・支援を行うことが重要です。法務総合研究所では,高齢犯罪者に関する調査・研究を,今後も続けていきます。

○ もっと犯罪白書の内容を知りたい場合は?

法務省のホームページで閲覧できるほか,官報販売所などで購入できます。