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第1 動産譲渡登記制度とは?

● 動産譲渡登記ファイルに記録(登記)することにより,動産の譲渡について引渡し(民法第178条)があったものとみなされ,第三者対抗要件が具備されます。
● 動産譲渡登記の対象となる動産の譲渡人は,法人のみに限定されます。 

● 譲渡の目的(担保目的譲渡か,又は真正譲渡か)に限定はありません。
● 個別動産,集合動産のいずれの譲渡も,登記することができます。
● 代理人(倉庫業者等)が動産を占有する場合も,登記することができます。

1 制度の趣旨

 近時,金融実務においては,企業が保有する在庫商品や機械設備等,これまで担保としてあまり活用されてこなかった動産を活用した資金調達の手法が注目を集めています。
 動産を活用した資金調達の具体的な方法としては,企業が動産を譲渡担保に供して金融機関等から融資を受ける方法と,動産を流動化・証券化目的で譲渡し,譲渡代金として資金を取得する方法とがありますが,いずれの方法においても,動産自体は,譲渡後も企業の直接占有下に置かれたままとされるのが通常です。
 このような場合,本制度創設前は,占有改定(民法第183条)という外形的には判然としない公示方法によって対抗要件を具備するしかなかったため,後日,占有改定の有無・先後をめぐって紛争を生ずるおそれがありました。
 そこで,このようなおそれを極力解消し,動産を活用した企業の資金調達の円滑化を図るため,平成16年11月25日に「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」が成立し,平成17年10月3日から,動産譲渡登記制度の運用が開始されました。  

※ 譲渡担保: 動産を債権者に譲渡して借入れを行い,債務を弁済したときは動産の所有権が債務者に戻るものの,弁済しないときは動産の所有権が確定的に債権者に帰属するという担保手法をいいます。

2 動産譲渡登記を取り扱う登記所

 動産譲渡登記を取り扱う登記所(動産譲渡登記所)として,東京法務局(民事行政部動産登録課)が指定され,全国の動産譲渡登記に関する事務を取り扱っています。 
 
 動産譲渡登記所:東京法務局民事行政部動産登録課       
  〒165-8780 東京都中野区野方一丁目34番1号        
  TEL 03-3389-3362        
  FAX 03-3389-3771       
  ※ 動産譲渡登記所の案内図

 また,譲渡人の本店(主たる事務所)の所在地を管轄する登記所に動産譲渡登記事項概要ファイルが備えられ,動産譲渡登記所からの通知に基づき,当該譲渡人の商号(名称),本店(主たる事務所)及び当該譲渡の概括的な内容(譲渡された動産を特定する事項は含まれません。)が記録されます。

 (注)譲渡人が外国会社であって,日本における営業所を複数有するときは,動産譲渡登記の申請書において示された営業所の所在地を管轄する登記所に対してのみ,通知されます。

動産譲渡登記・手続概要

3 登記の対象及び効力

 動産譲渡登記の対象は,法人が行う動産の譲渡に限定されます。譲渡の目的(担保目的譲渡か,又は真正譲渡か)については,特に制限はありません。
 動産譲渡登記がされると,当該動産の譲渡について,引渡し(民法第178条)があったものとみなされ,対抗要件が具備されます。したがって,同一動産について二重譲渡がされた場合の譲受人相互間の優劣は,登記の先後によって決定され,また,動産譲渡登記と民法第178条の引渡しが競合した場合の譲受人相互間の優劣は,登記がされた時と引渡しがされた時の先後によって決定されることとなります。
 なお,動産譲渡登記は,動産の譲渡の事実を公示することを目的とするものであって,当該動産の存在自体やその所有権の帰属を公示することを目的とするものではありません。
 また,動産譲渡登記は動産譲渡ごとに独立の登記として動産譲渡登記ファイルに記録されるので,登記された動産がさらに転々譲渡されて登記された場合においても,当該動産が転々譲渡されていく経緯が一個の登記をもって公示されるわけではありません。

※ 動産譲渡登記では,「登記の年月日」のほか,「登記の時刻」も記録されるため,登記により対抗要件を備えた時刻も明確に公示されます。