会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A
平成18年5月1日から会社法が施行されました!
(注 | )会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)は,文中では整備法といいます。なお,整備法は会社法の施行日に施行されました。 また,会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成17年政令第367号)は,文中では経過措置政令といいます。 |
(目次)
Q3 | 会社法施行後,有限会社を株式会社にする手続について教えてください。 |
A |
整備法の施行により,有限会社という会社類型はなくなり,施行日に現にある有限会社は,株式会社として存続することになります(この会社を「特例有限会社」といいます。)。特例有限会社には,商号中に「有限会社」という文字を含まなければならないなどのいくつかの会社法の特則が定められています。 整備法の施行後,特例有限会社から通常の株式会社に移行するためには,商号の変更(○○有限会社→○○株式会社)についての定款の変更を株主総会において決議し,株式会社の設立の登記の申請と特例有限会社の解散の登記の申請を行う必要があります(整備法第45条・第46条)。 なお,当該商号の変更前に選任された役員の任期については,会社法上の役員の任期に関する規定が適用され,その任期は有限会社又は特例有限会社において選任した日から起算されますので,場合によっては,当該商号の変更の効力発生(通常の株式会社の設立の登記の完了)と同時に任期が満了することがあります。その場合は,改めて取締役を選任しなければ選任懈怠となりますのでご注意下さい。 |
Q4 | 会社(株式,有限,合名,合資)共同代表の登記はどうなるのですか。 |
A | 会社法及び整備法の施行により,共同代表(代理)制度は廃止され,登記事項ではなくなります。現在共同代表取締役,共同代表執行役,共同支配人として登記されている会社についても,会社法施行日以降は登記事項ではなくなります(整備法第42条第2項・第74条第1項・第113条第1項)。共同代表(代理)を廃止する登記は,登記官が職権で行うこととしています。 |
Q5 | 法人の共同代表や共同代理の登記はどうなるのですか。 | ||
A | 以下の法人の参事その他の代理人の共同代理に関する規定は,登記事項ではなくなり,職権で抹消されます。 船主相互保険組合,信用金庫,信用金庫連合会,労働金庫,労働金庫連合会,相互会社,外国相互会社,特定目的会社(注),たばこ耕作組合,農業協同組合,農業共同組合連合会,農業共済組合,漁業協同組合,漁業生産組合,漁業協同組合連合会,水産加工業協同組合,水産加工業協同組合連合会,共済水産業協同組合連合会,漁船保険組合,漁業信用基金協会,輸出水産業組合,漁業共済組合,漁業共済組合連合会,森林組合,生産森林組合,森林組合連合会,農林中央金庫,商工組合中央金庫,中小企業等協同組合,輸出組合,輸入組合,協業組合,商工組合,商工組合連合会,鉱工業技術研究組合,農住組合及び防災街区計画整備組合 また,以下の法人を代表する者の共同代表に関する規定も,登記事項ではなくなり,職権で抹消されます。 弁護士法人,司法書士法人,土地家屋調査士法人,監査法人,船主相互保険組合,投資法人,信用金庫,信用金庫連合会,労働金庫,労働金庫連合会,相互会社,特定目的会社(注),行政書士法人,税理士法人,酒類業組合,酒類業組合連合会,酒類業組合中央会,生活衛生同業組合,生活衛生同業小組合,生活衛生同業組合連合会,社会保険労務士法人,農業協同組合,農業協同組合連合会,漁業協同組合,水産加工業協同組合,水産加工業協同組合連合会,共済水産業協同組合連合会,輸出水産業組合,森林組合,森林組合連合会,中小企業等協同組合,輸出組合,輸入組合,協業組合,商工組合,商工組合連合会,鉱工業技術研究組合,商店街振興組合,商店街振興組合連合会,特許業務法人,内航海運組合及び内航海運組合連合会
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Q6 | 支店所在地における登記はどうなるのですか。 |
A | 会社法及び整備法の施行により,支店所在地の登記所には,索引的な登記事項である商号,本店及び支店所在地のみを登記することとされ(会社法第930条第2項),施行日に現にある支店の登記所の登記簿についても,登記事項は同様となります(整備法第42条第2項・第74条第1項・第113条第1項)。支店所在地の登記所に登記されている支店の登記事項を商号,本店及び支店所在地のみとする登記は,登記官が職権で行うこととしています。 |
Q7 | 支配人の登記はどうなるのですか。 |
A |
会社法及び整備法の施行により,支配人の登記はすべて本店の登記所の登記簿に記録することとされ(会社法第918条),施行日に現にある支配人の登記についても,本店の登記所の登記簿に移されることとなります(整備法第69条・第136条第7項)。また,当該支配人が印鑑を提出していた場合には,その印鑑に係る記録も同様に本店の登記簿に移されます。 なお,現在発行されている印鑑カードや商業登記に基づく電子認証制度により発行された電子証明書は,引き続き使用することができます。 |
Q8 | 会社法の施行後は,支配人に関する登記事項証明書はどこで入手することができるのですか。 | ||||
A |
会社法及び整備法の施行により,支配人の登記はすべて本店の登記所の登記簿に記録することとされ(会社法第918条),施行日に現にある支配人の登記についても,本店の登記所の登記簿に移されることとなります(整備法第69条・第136条第7項)。したがって,施行日後は,支配人を置いた支店の登記所でなく本店の登記所に対し当該支配人の登記事項証明書や印鑑証明書を請求することになります。 なお,最寄りの登記所が商業・法人登記情報交換サービスを実施している場合には,会社法施行後も,現在と同様に,支配人に関する登記事項証明書は,当該登記所から請求することができます。また,郵便による請求をしていただくこともできます。
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Q9 | 株式会社の取締役の員数はどうなるのですか。 |
A | 株式会社には,1人以上の取締役を置けば足りることになります(会社法第326条第1項)。なお,取締役会設置会社においては,取締役は3人以上でなければならないとされています(同法第331条第4項)。 |
Q10 | 役員の任期はどうなるのですか。 |
A |
会社法の施行により,取締役の任期は,原則として2年となりますが,株式の譲渡制限に関する定めを設けている株式会社については,定款で定めることにより最長10年まで伸ばすことができるようになります(会社法第332条第2項)。 また,監査役の任期は,原則として4年となりますが,株式の譲渡制限に関する定めを設けている株式会社については,定款で定めることにより最長10年まで伸ばすことができるようになります(会社法第336条第2項)。 |
Q11 | 現在の取締役の任期はどうなるのですか。 | ||
A |
会社法の施行の日に現に取締役である者の任期は,旧商法の任期の規定(旧商法第256条)によります(注)。
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Q12 | 公開会社である小会社の監査役は会社法が施行されるとどうなるのですか。 | ||
A |
現在,公開会社である小会社の監査役(会計監査権限のみを有します。)の任期は,会社法施行により満了します。この取扱いに伴い施行日から6か月以内に監査役の退任及び就任による変更の登記の申請をする必要があります。 なお,会社法施行後,新たな監査役が選任されない場合には,会社法施行の日に現に監査役である者が監査役の権利義務(会計監査権限だけでなく,業務監査権限を含みます。)を有することとなりますので,ご注意下さい(注)。
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Q13 | 株主総会議事録への署名又は記名押印は必要なのですか。 |
A | 会社法及び会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)においては,株主総会議事録に署名又は記名押印は必要とされていませんが,取締役会を設置していない会社が代表取締役の就任による変更の登記の申請をする場合には,議長及び出席した取締役は,株主総会(又は種類株主総会)の議事録に市区町村に届け出た印鑑をもって押印することが必要となります(商業登記規則第61条第4項第1号。ただし,変更前の代表取締役が登記所に提出した印鑑をもって押印していた場合を除きます。)。 |
Q14 | 会社を設立する際,類似商号の調査をする必要はないのですか。 |
A | 会社法の施行日後も,整備法による改正後の商業登記法の規定により同一場所における同一商号の登記は禁止されるので(整備法による改正後の商業登記法第27条),同一本店所在地に同一の商号の会社があるかどうかを調査する必要はあります。なお,会社法施行日後も,引き続き,商号調査簿は登記所において無料で閲覧できるようにする予定です。 |
Q15 | 商号や目的は申請書にどう記載するのですか。 | ||||
A |
会社法では,類似商号の禁止制度が廃止されましたので,商号と本店の所在地とがともに同一でなければ,商号が既存の会社と同一又は類似のものであっても,登記することが可能です。(注1) ただし,不正の目的をもって,他の会社と誤認させる商号を使用することは禁止されています(会社法第8条)。 なお,会社の目的が具体的かどうかについては,従来と異なり,登記申請に際して審査はしませんが,記載内容によって,例えば官公庁への届出や取引等において不都合が生ずることもあり得ますので,十分ご注意ください。(注2)
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Q16 | 払込みがあったことを証する書面とは何ですか。 |
A | 発起設立や募集株式の発行による変更の登記の申請の場合には,払込みを取り扱った銀行等の払込金の保管に関する証明書に限らず,「払込みがあったことを証する書面」として,代表者が作成した払込みの事実を証明する書面に払込みがされている預金通帳の写し等を合わせてとじたものを利用することができます。 |
Q17 | 確認会社を設立したのですが,会社法が施行されても,増資しなければならないのですか。 | ||
A |
「確認会社」は,最低資本金規制の特例措置として資本の額が1円でも会社の設立が許容されていますが,設立の日から5年以内に1000万円(株式会社の場合。有限会社の場合には300万円)に増資する必要があり,その登記がされないと解散することを定款に定め,その旨を解散の事由として登記簿に記録することとされています。 会社法では,最低資本金規制が廃止され,株式会社であっても資本金1円で設立することが可能になります。そして,確認会社についても,増資をする必要はなく,上記の定款の定めを取締役会等の決議で変更し,解散の事由の登記を抹消する登記申請をすることにより,会社を存続させることができることとなります(整備法第448条)。
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Q18 | 株式会社について,会社法の施行に伴い登記申請が必要となる場合とはどのような場合ですか。 | ||||||||||||
A |
整備法の施行に伴い,以下の場合には登記申請が必要となります。
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Q19 | 有限会社について,会社法の施行に伴い登記申請が必要となる場合とはどのような場合ですか。 |
A |
整備法の施行に伴い,以下の場合には登記申請が必要となります。 会社法施行前に,その定款に有限会社法第39条第1項ただし書(議決権の数又は議決権を行使することができる事項),第44条(利益の配当)又は第73条(残余財産の分配)の規定による別段の定めがある場合において,その定めが属人的なものでなく,持分に関するものであるときは,これらの定めは,それぞれ会社法第108条第1項第3号,第1号又は第2号に掲げる事項についての定めがある種類の株式とみなされるため(整備法第10条),定款変更は必要ありませんが,施行日から6か月以内(これより前に他の登記を行う場合には当該他の登記と同時に)にみなされた株式の種類,内容及び種類ごとの数を登記しなければなりません(整備法第42条第8項から第10項まで)。 |
Q20 | 合名会社や合資会社が合同会社(注)になるにはどうすればいいのですか。 | ||
A | 合名会社や合資会社は,社員全員の責任を有限責任とする定款の変更を総社員の同意をもって行った上で,持分会社の種類の変更の登記をすることにより合同会社になることができます。
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Q21 | 会社法の施行に伴い,登記事項証明書はどうなるのですか。 | ||||||||
A |
会社法施行に伴い,登記事項に変更が生じますが,原則として,登記官が,職権で必要な登記をします。(注1) なお,従前の登記については,職権登記が完了する前であっても,所要の登記がされたものとみなす旨の経過措置が定められています。登記事項証明書の請求や登記情報提供サービス(注2)の利用があった場合には,会社法施行前の登記内容が記載された登記事項証明書が交付される場合がありますので,ご留意願います。(注3)
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