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「縁あって一緒に暮らすんだから、うちにいる間は、あったかく過ごしてほしい」

石上 美知代さん/更生保護施設職員


石上 美知代さん/更生保護施設職員
(インタビュー内容は平成20年当時のものです。)


「うちの食事は手づくり。豪華ではないけれど、手間はかけてます」と誇らしげに語る石上さん。「うち」とは更生保護施設のこと。石上さんは職員として、もう20年以上も入寮者のために食事をつくり続けている。朝夕の食堂には、心のこもった手料理が並ぶ。「朝は4時半くらいには台所に立ちます。朝が早い仕事の子もいるから。あったかいご飯を食べてもらって、それから『いってらっしゃい』って送り出すんです。夕方も玄関近くの事務所にいるから、『おかえり』って声かけて。『食事にする?お風呂にする?』なんて、なんだか家みたいですね」と石上さんは笑う。

毎日の食事へのこだわりには理由がある。「よくね、他の職員に『石上さんは食事が武器だから』なんて言われるんだけど。でも食卓って、ほんとにいい機会なんですよ。一人ひとりの顔が見られるから、体調も分かるし、仕事のことで悩みがあったら打ち明けてくれるし」。毎日のように顔を合わせ、言葉を交わすことで分かり合えることもある。立ち直りにおける気持ちの揺れに気がつくのも、食卓でのことが多いと石上さんは言う。「たとえば夕飯のとき、いつもより食欲が無かったら、『あ、何か悩みがあるな』って気がつきやすい。そんな時は、事務所で面談することもありますけど、やっぱり食堂の方が話しやすいかもしれませんね」。

食卓というコミュニケーションを通じて、家庭の大切さを思い知らされることも少なくない。「小さい頃、親にきちんとかまってもらえなかった。そんな子が、無関心な親を振り向かせようとして非行をする。それが始まりという場合がすごく多いんです」。だからこそ、石上さんが自らに固く誓っていることがある。「私ね、自分の子どもは愛情を持って育ててきたつもりだから、少々なら手抜きをしてもいいと思ってるんです。でも、ここにいる子たちには、手を抜くようなことは絶対にすまいと、そう心に決めています。家庭の幸せとか、ごく普通の愛情を味わってこなかった子が多いから。少しの間だけど、ここを自分の家のように思ってくれればいいなって」。日々をしっかりと見守り、温かく迎えてくれる人がいる場所。まぎれもない「家庭」が、ここにはある。

「たまに、『どうしてそこまでする必要があるんだ』『やりすぎだ』なんて言われることもあります。でも、私はそうは思わない。ただ食事を与えて、部屋を与えてっていうことじゃなくて、これからもあやまちをくり返すことがないように、この場所で育てていきたいと思っているから」。

この日、取材が行われたのは、ちょうど夕飯支度の最中。石上さん自慢のロールキャベツからは、やわらかくてあったかい「おふくろの味」を思わせる香りが立ち上っていた。


更生保護施設:犯罪や非行をした人たちの社会復帰に際し、自立までの間、居室や食事を提供したり、生活指導などを行っている民間の施設です。

この記事に関する問い合わせ先

法務省保護局更生保護振興課(03-3580-4111)
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