本部事件の捜査


東京地方検察庁検事
経歴
 平成13年に任官後,東京,大阪,長崎,横浜,福島,静岡,名古屋,千葉の各地方検察庁で勤務。

本部係検事の役割

本部係検事とは

 殺人や強盗殺人等の凶悪重大事件が発生すると,警察が事案の早期解明と犯人の早期検挙に向けて捜査本部を設置することがあります。
 このような事件を本部事件といいます。
 そして,このような本部事件の捜査において,発生当初から,捜査本部と共同して捜査を行い,事件の解決を目指すのが本部係検事です。

本部係検事の役割

 本部事件は,人の命を奪い,その家族の生活を一変させ,地域にも深刻な不安や恐怖を与える凶悪事件であり,警察には,被害者や遺族の無念を晴らすとともに,その犯人による第二,第三の犯行を防止して地域の不安を解消するという強い期待が寄せられます。
 そのため,警察は,この期待に応えるために,捜査本部を設置し,大量の捜査員を投入して犯人の早期検挙に努めるわけです。
 とはいえ,ただ速やかに逮捕すればいいという訳ではありません。
 犯人でない者を誤って逮捕するようなことがあってはなりませんし,逮捕したものの十分な証拠がないために適正に処分できないということもあってはなりません。
 そのため,本部係検事は,法律実務家としての視点から証拠を見て,刑事裁判で適正な判決を得るに足りる証拠が収集されているかどうかを見極め,被疑者を検挙すべきかどうかを警察と共に慎重に判断することが求められます。
 この判断をできる限り迅速に,かつ適正に行うため,本部係検事は,事件が発覚するや直ちに警察から連絡を受け,事件現場に駆けつけ,死体の検視や司法解剖等に立ち会い,重要な証拠を自分の目で確認したりしながら,警察と共に捜査を行っていくのです。
 一般的な事件においては,検察官は,事件の全容がおおむね解明され,警察から事件送致を受けたところから事件に関わることになりますが,本部係検事は,事件発生直後から,自らも主体的に捜査に関わり,凶悪重大犯罪の捜査方針の決定に携わることができるという点において,特別な役割を担っていると言えます。

本部係の醍醐味

 本部係検事は,警察と連絡を取り合うための携帯電話(本部携帯と呼ばれています)を常に持ち歩き,事件が発生すれば昼夜を問わず対応しなければなりません。
 その職責は重く,気が休まるときがありませんが,これほど「捜査をやっている」という実感とやりがいを感じることができる仕事はないと思います。
 本部係検事になれば,このような捜査の醍醐味を存分に味わうことができますよ。