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エジプト

エジプトは、1973年の第四次中東戦争後、イスラエルに対する政策を転換し、1979年に同国と国交を樹立した。イスラエルの国家承認は、アラブ国家としてはエジプトが初めてであったため、国内外から激しい反発を招き、特に、「ムスリム同胞団」(注82)は、平和条約を結んだサダト大統領(当時)を強く非難した。1981年、同大統領が「ムスリム同胞団」から分離した急進的過激組織によって暗殺された後、政権を引き継いだムバラク大統領(当時)は、イスラム過激組織によるテロ活動を厳しく取り締まった。同大統領は、2011年2月、チュニジアの「ジャスミン革命」(注83)に触発された反政府デモによって辞任に追い込まれた。その後、エジプトの政治的混乱から、北東部・シナイ半島におけるテロ対策が一時手薄になり、イスラム過激組織「アンサール・バイト・アル・マクディス」(ABM)(注84)が、イスラエルに対するロケット弾攻撃、イスラエル向け天然ガスパイプラインの爆破等を実行した。その後、ABMは、治安当局者を標的としたテロを続発させ、2014年11月には、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディ(当時)に忠誠を表明し、以後、「シナイ州」(注85)に改称した。「シナイ州」は、その後もシナイ半島を拠点に活発に活動し、2015年10月のロシア旅客機墜落事件(乗客及び乗員全224人が死亡)のほか、治安当局、コプト教徒(注86)及び地元住民(注87)を標的としたテロを実行した。また、首都近郊でも、イスラム過激組織が活動し、同年11月にギザ県のピラミッド付近で発生した検問所銃撃事件等で、「ISILエジプト」(注88)名の犯行声明が発出された。治安当局は、2018年2月、シナイ半島で大規模なテロリスト掃討作戦を行い、同組織は多くのメンバーを喪失した(注89)

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