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ヨルダン

ヨルダンでは、「パレスチナ解放機構」(PLO)(注73)等のパレスチナ武装勢力が、同国を拠点としてイスラエルに対する攻撃を実行してきた。ヨルダン政府は、1971年にPLOを国内から一掃したが、その後、中東和平を実現させて国内の治安を安定させるため、1988年11月、レバノンに拠点を移していたPLOのパレスチナ代表権を承認し、1994年10月には、エジプトに次いでイスラエルとの間で平和条約に調印した。しかし、イスラエルとの関係修復は、国内の対イスラエル強硬派の不満を高め、ヨルダン王制打倒を掲げる反政府活動を活発化させた。これに対し、治安当局は、反政府活動の取締りを強化し、後に「イラクのアルカイダ」(AQI、現「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL))を設立するアブ・ムサブ・アル・ザルカウィら多数の過激主義者を逮捕、収監した。

1999年に釈放されたザルカウィは、同国王制打倒に向け活動を再開したが、同人が関与する爆弾テロ計画が露見したため、ヨルダンを脱出した。その後、ヨルダン国内では、2002年10月の米国人外交官殺害事件、2005年8月のアカバ湾での米国艦船を標的とするロケット弾発射事件、同年11月の首都アンマンのホテル3か所に対する連続爆弾テロ等が発生した。いずれの事件も、ザルカウィの指示によるものと指摘されている(注74)

ヨルダンでは、上記アンマンでの連続爆弾テロ以降、大規模な爆弾テロ等は発生していなかったが、2016年6月、シリア国境付近の北東部・マフラク県ルクバンのヨルダン軍関連施設付近で自動車爆弾テロが発生し、ISILと関連を有する「アーマク通信」がISILによる犯行であると主張した。同国では、それ以降もISIL支持者によるテロが発生しており、同年12月には、中部・カラク県カラクで、巡回中の警察官に発砲した後にカラク城に立て籠もる事件が発生し、ISIL名の犯行声明が発出された。2017年1月には、南部・マアーン県でヨルダン軍兵士射殺事件が発生し、2018年8月には、北西部・バルカ県で開催されていた音楽祭の警備車両が爆破される事件が発生したほか、2019年11月には、北部・ジェラシュ県で、同国在住パレスチナ人による観光客襲撃事件が発生した。

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