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リビア

リビアでは、2011年2月、隣国チュニジアで発生した「ジャスミン革命」に触発された反政府デモが全土に拡大し、内戦状態に陥った。内戦発生以降、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)の傘下組織等のイスラム過激組織が、リビア侵入の動きを見せた(注90)。さらに、宗派、民族、部族間における対立や民兵集団同士の抗争等が表面化したほか、2012年9月にベンガジで発生した米国公館襲撃事件(駐リビア米国大使ら米国人4人が死亡)等、欧米権益に対するテロも発生した。

2014年6月、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が「イスラム国」の「建国」を宣言して以降、リビアでも、「トリポリ州」、「バルカ州」及び「フェザーン州」の3つの関連組織(注91)が設立された。東部では、同年10月にISIL関連組織「バルカ州」がデルナを、また、中部では、

2015年2月にISIL関連組織「トリポリ州」がシルトを制圧し、拠点化を進めた。こうした中、同年3月、ISILは、オンライン英語機関誌「ダービク」第8号で、イラク及びシリアへの移住が困難なアフリカ出身者に対してリビアへの移住を呼び掛けるなどした(注92)。しかし、「バルカ州」は、同年6月、対立するイスラム過激組織との戦闘に敗れてデルナから撤退したほか、2016年12月、「トリポリ州」も、民兵組織の攻勢を受けてシルトを失った。その後、ISIL関連組織メンバーは、中部及び南部の砂漠地帯等に離散したが、2017年夏頃から再度活動を活発化させ、2018年には、トリポリでもISILに関連したテロが続発するようになり、12月には、外務省に対する自爆テロが発生した。2019年には、「リビア州」(注93)が南部を中心に銃撃事件等を実行し、2020年5月には、首都トリポリで軍の車両に対する爆弾テロ、2021年6月には、南部・セブハ県で治安当局に対する自爆テロ等散発的な攻撃を実行した。同組織は、誘拐等の犯罪、「徴税」と称して獲得した豊富な資金を有しているとされ(注94)、2019年7月に発出した声明では、リビアが将来的にISILの要所となると主張している。

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