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サウジアラビア

サウジアラビアでは、湾岸戦争(1990年)の際、米軍が同国への駐留を開始すると、イスラム過激組織は、異教徒がイスラム教の聖地を擁するアラビア半島を侵略したとして、米軍駐留を許可したサウジアラビア政府を批判し、1995年、首都リヤドで米国人らを標的とした爆弾テロを実行した。これを受け、サウジアラビア政府がイスラム過激組織に対する取締りを強化すると、過激主義者の一部は、国外に逃亡し、「対米ジハード」を宣言したオサマ・ビン・ラディンの「アルカイダ」に加わり、2001年9月の米国同時多発テロ事件に関与した。

サウジアラビア政府は、2003年5月、「アルカイダ」系組織による爆弾テロを機に、テロリストに対する摘発を更に強化した。その結果、2004年に同国で設立された「アラビア半島のアルカイダ」(現在のAQAPとは別組織)は活動拠点を失い、イエメンの「アルカイダ」勢力に合流した。2009年1月、イエメンで「アラビア半島のアルカイダ」(現AQAP)が設立された後、サウジアラビア出身の同組織幹部が、テロの標的として同国を名指しした。

2015年5月には、東部・東部州で自爆テロが発生し、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が「ナジュド州」(注75) 名の犯行声明を発出するなど、ISIL関連組織によるテロが散発的に発生した。その後も、2016年7月に発生した西部・マッカ州ジッダ所在の米国総領事館付近での自爆テロ等において、サウジアラビア治安当局は、ISILによる犯行との見方を示した。2019年4月に発生した首都リヤド近郊での治安部隊銃撃事件では、ISILが犯行を主張したほか、2020年11月、ジッダで開催された第一次世界大戦終結記念式典では、同式典に参加していたフランス総領事を標的とした爆弾テロが発生し、ISILが「アル・ヒジャーズ州」(注76)名の犯行声明を発出した。

サウジアラビア治安当局は、ISIL関係者に対する摘発作戦を継続的に行っており、2016年10月には、FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップロシア大会アジア最終予選サウジアラビア対アラブ首長国連邦戦の試合会場を標的とした自動車爆弾テロ計画を、2017年6月には、西部・マッカ州マッカのイスラム教聖地に対するテロ計画をそれぞれ摘発した。

なお、サウジアラビアからISIL等に参加する目的でイラク又はシリアに渡航した者は、約3,200人であり、2017年時点で、そのうちの約760人が帰国したとされる(注77)

「アルカイダ」関連組織については、2014年7月、南部・ナジュラーン州で、AQAPがサウジアラビア国境警備隊等に対する攻撃を実行したほか、2019年11月にも、首都リヤドで、イエメン人がミュージカル公演中の出演者及び警備員を刺傷する事件が発生し、治安当局はAQAPによる犯行と断定した。

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