フロントページ > 国際テロリズム要覧について>地域別テロ情勢 > バングラデシュ

バングラデシュ

バングラデシュでは、2015年10月、邦人1人が射殺される事件が発生し、同事件の後には「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)名の犯行声明が発出された。その後も外国人、「異教徒」(イスラム教スンニ派以外の宗派及び他宗教の信者)等を標的とした襲撃及び殺害事件が相次ぎ、2016年7月には、首都ダッカにおいて、主に外国人が利用するレストランが武装集団に襲撃され、邦人7人を含む20人以上が死亡する事件が発生した。同事件後にも、ISIL名の犯行声明が発出されたが、バングラデシュ政府は、「ジャマートゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ」(JMB)(注51)の分派組織(通称「ネオJMB」)による犯行であると断定し、同国内におけるISILの存在を否定するとともに、「ネオJMB」とISILの直接的な関係は確認されていないとした。

一方、ISILは、2016年4月に公開したオンライン英語機関誌「ダービク」第14号にバングラデシュ関係の特集記事を掲載し、上記レストラン襲撃事件後の同年10月には機関誌「ルーミヤ」英語版第2号において、事件首謀者の一人が生前に書いたとされる記事を掲載した。2017年3月には、首都ダッカで、バングラデシュ治安当局の基地や国際空港検問所に対する自爆テロ等が発生し、ISILと関連を有する「アーマク通信」が、「殉教志願者が実行した」などと主張した。2019年4月には、ダッカで即席爆発装置(IED)が爆発して警察官3人が負傷した事案について、約2年ぶりにISIL名の犯行声明が発出された。2020年2月には、同国南東部・チッタゴン管区チャットグラムにおける警察当局を標的とした爆弾テロ、同年7月には、ダッカの警察署内における爆弾テロについて、それぞれISIL名の犯行声明が発出された。なお、2021年以降、バングラデシュでISIL名の犯行声明が発出された事件は確認されていない。

このほか、バングラデシュ国内では、「アルカイダ」に関連した活動も確認されており、2013年以降、「世俗的な言論活動を展開する者」(いわゆるブロガー)、「異教徒」等を標的とした殺害事件について、「アルカイダ」と関係を有するとされる(注52)「アンサールッラー・バングラ・チーム」(ABT)(注53)、ABTの後継団体とされる(注54)「アンサール・アル・イスラム」(AAI)(注55)等が犯行を主張した。AAIについては、ソーシャルメディアを通じて声明等を相次いで発出するなど、活発に活動しており、2018年7月には、バングラデシュ南東部において、ベンガル系イスラム教徒(いわゆるロヒンギャ)(注56)が滞在するキャンプで勧誘活動を行ったなどとして幹部が逮捕され、2021年5月には、メンバーが刃物を使用してダッカの国会襲撃を試みた事件に加え、AAIの思想に感化された者がダッカの私立大学のマイクロバスに火炎瓶を投てきした事件も発生した。

このページの先頭へ

ADOBE READER

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。