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スリランカ

2019年4月、スリランカ南西部・コロンボ、西部・ネゴンボ及び東部・バティカロアにおいて、外国人が利用するホテル3か所及びキリスト教会3か所の計6か所で、邦人1人を含む250人以上が死亡、邦人4人を含む500人以上が負傷する同時爆破テロが発生し、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)名の犯行声明が発出された。一方、スリランカ政府は、同事件について、地元イスラム過激組織「ナショナル・タウヒード・ジャマート」(NTJ)(注57)による犯行であると発表し、背後関係等の解明のため、大統領調査委員会を設置した。

大統領調査委員会は、事件発生から約2年経過した2021年2月、最終報告書を提出した。同報告書では、事件の首謀者はNTJのナンバー2であるナウファ・モウラヴィであること、ナウファ・モウラヴィは、スリランカにおけるISILの「カリフ国家」の「建国」に取り組み、同国でテロを実行するため、事件の実行犯リーダーであるザハラン・ハシムに過激思想を扶植したこと、スリランカ国内には数百人ものISIL支持者が存在すること等が明らかにされた。2022年に入ると、スリランカ政府は、テロ活動に関与している疑いのある組織・個人が掲載されたリストを改訂し、ザハラン・ハシムが過去に活動に関与していたとする団体等を追加した。

「アルカイダ」関連では、目立ったテロ活動は見られていなかったが、2022年11月、米国が、「アルカイダ」支援者のスリランカにおける協力者であるとしてスリランカ人1人を制裁対象に指定した(注58)

このほか、タミル人国家の樹立を掲げてスリランカ政府と激しく衝突し、一時は同国北部の広範囲にわたる地域を支配下に置くなどした「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)(注59)については、2009年5月に最高指導者のプラバカラン議長ら主要幹部の死亡等により、スリランカ国内の組織は壊滅状態となったが、拠点であった北部及び東部では、「LTTEの再建を企てた」などとして、関係者の摘発事案が散発的に続いている。一方、海外に拠点を置くLTTE関連勢力は、2009年6月、同組織の国際部門責任者であったクマラン・パトマナタンが、死亡したプラバカラン議長の後継者就任を表明し、海外在住タミル人に組織再建等を呼び掛けた(注60)

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