フロントページ > 国際テロリズム要覧について>地域別テロ情勢 > マリ

マリ

マリでは、2012年1月、北部の分離独立を求めるトゥアレグ族の武装組織「アザワド解放国民運動」(MNLA)(注7)が、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQIM)、「アンサール・ディーン」(AD)(注8)、「西アフリカ統一聖戦運動」(MUJAO)(注9)と共に、政府に対する攻勢を開始し、北部のキダル、ガオ及びトンブクトゥの3州から政府軍を排除した上で、同年4月、これらの3州において、「アザワド国」の独立を宣言した。3州の主要都市を支配下に置いたMNLA等は、同年6月、イスラムの教えに反しているとして、世界遺産に指定されたトンブクトゥの霊廟(びょう)等を破壊した。しかし、この頃から武装組織間の対立が深まり、AQIM、AD、MUJAOは、同年11月までに、上記3州の主要都市からMNLAを排除するとともに、2013年1月、南部へ向けて侵攻を開始した。これを受け、フランスは、マリ暫定大統領の要請に基づき軍事介入を開始し、アフリカ諸国の部隊と共に、北部の主要都市を奪還した。

拠点から追われたAQIM関連組織は、北部で、治安当局、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)部隊、欧米人等を標的としたテロを継続していたが、2015年には、南部に位置する首都バマコでもレストランやホテルを襲撃するなど、その活動範囲を拡大させた。その後も、AQIM同関連組織は、南方に向けて活動範囲を更に拡大させる一方、北部でも活発な活動を継続した。

こうした中、2017年3月には、マリ北部を含むサハラ及びサヘル地域を拠点とするAQIM関連組織等が、「イスラム・ムスリムの支援団」(JNIM)(注10)を設立した。JNIMは、北部及び中部で、治安当局、MINUSMA部隊等を標的としたテロを実行したほか、2020年10月には、マリ暫定政権との交渉により、拘束していた人質4人と暫定政権が拘束していた同組織メンバーら約200人の交換を行った。JNIMは、2021年にも同国北部及び中部でのテロを継続し、2月にはマリ軍に対する襲撃事件、6月にはフランス軍やMINUSMAに対する自爆テロを実行した。

また、マリでは、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)関連組織「サヘル州」(注11)も活発に活動しており、北部でトゥアレグ族と対立する勢力を襲撃しているほか、東部でJNIMと散発的に衝突し、勢力争いを繰り広げている。

なお、フランスは、マリ暫定政権が国民の親露感情の高まり等を背景にロシアとの関係を強化したことに懸念を表明し、2022年8月、マリ暫定政権との関係悪化を理由として、同国に駐留するフランス軍を撤退させ、部隊の一部をニジェールへ移動させた。

このページの先頭へ

ADOBE READER

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。