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ソマリア

ソマリアでは、1991年、社会主義を標ぼうするバーレ大統領(当時)の政権が崩壊し、内戦状態に陥った。その後、2005年に周辺諸国の仲介によって暫定政府が樹立されたが、2006年には、イスラム主義反政府連合組織「イスラム法廷連合」(UIC)(注23)が、首都モガディシュを制圧し、中南部の大部分を支配下に置いた。これに対し、暫定政府は、隣国エチオピアと共同で同組織に対する掃討作戦を実施し、12月、モガディシュを奪還した。掃討作戦の結果、UICはエリトリアへ活動拠点を移したが、武装闘争を主張する一部勢力がソマリアにとどまり、イスラム過激組織「アル・シャバーブ」を設立した。

「アル・シャバーブ」は、他の反政府武装組織と連携し、暫定政府との間で戦闘を繰り広げる一方、2007年3月以降は、アフリカ連合が派遣したアフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)部隊、モガディシュに所在する国連や外国の関連施設に対するテロを実行し、2012年2月には「アルカイダ」最高指導者アイマン・アル・ザワヒリに対する忠誠を表明した。

2022年6月に就任したモハムッド大統領は、「アル・シャバーブ」の撲滅を目指すと宣言し、治安対策を強化しているが、依然として「アル・シャバーブ」によるテロが頻発する状況が続いている。同組織は、2022年10月にモガディシュの教育省前における自動車爆弾テロ、11月に大統領官邸に近接するホテルの襲撃事件等を実行した。

一方、「アル・シャバーブ」幹部であり、プントランドに拠点を置く精神的指導者アブドゥル・カディル・ムミン(注24)は、2015年10月、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディ(当時)への忠誠を表明し、「アル・シャバーブ」から離脱した。これに対し、「アル・シャバーブ」指導部は、ISIL支持の動きを牽(けん)制する声明を発出し、ISILを支持したメンバーを殺害した。

ムミン一派は、2016年10月、プントランドの港湾都市カンダラを一時占拠(同年12月、プントランド治安部隊が奪還)した。2018年には、ISILが、ムミンを中心とする組織を「ソマリア州」(注25)として認め、同組織は、モガディシュを含む南部における治安当局等を標的としたテロを増加させるなど、活動を活発化させた(注26)。ISILは、同年11月、アラビア語週刊誌「アル・ナバア」で、「アル・シャバーブ」が「ソマリア州」を排除しようとしているとして、「アル・シャバーブ」に警告を発し、同年12月には、「アル・シャバーブ」と「ソマリア州」が衝突するなど、両者の対立が表面化した。「ソマリア州」は、2019年、「アル・シャバーブ」やソマリア軍、AMISOM、米アフリカ軍による攻勢を受けて、勢力を減退させたが(注27)、プントランド及びモガディシュで小規模な勢力を維持している。

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