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行刑改革会議第1分科会 第6回会議議事概要

1 日時

平成15年11月10日(月)14時から16時45分まで

2 場所

矯正局会議室(14階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
(会長)宮澤浩一(慶応義塾大学名誉教授),(委員)井嶋一友(弁護士・元最高裁判所判事),菊田幸一(明治大学法学部教授),滝鼻卓雄((株)読売新聞東京本社取締役副社長・編集主幹),成田豊((株)電通会長)(委員・50音順)

4 議題

(1)  個別論点の検討
ア  仮釈放制度の見直しについて
イ  懲役刑と禁錮刑の単一化について
ウ  処遇制度の見直しについて
(2)  その他

5 会議経過

(1)  仮釈放制度の見直しについて
ア  保護局観察課長及び矯正局矯正調査官から別添資料1【PDF】に基づき説明したところ,以下のとおり質疑がなされた。
・  受刑者本人や家族に仮釈放の申請権を認めていないのはなぜか。
(回答: 仮釈放が恩恵と考えられているため。)
・  過剰収容下では,仮釈放の事務負担は増大しているのか。
(回答: 処遇困難者が増えており,保護観察対象者も増えていることから,事務負担は増大しており,現状で手一杯である。)
・  満期間際にならないと仮釈放が認められない現状があるのではないか。
(回答: そのようなことはない。保護観察を有効に機能させるためにも一定の保護観察期間を設けるようにしており,現在では平均して5.3か月の保護観察期間となっている。)
・  執行率はほぼ横ばいであるが,14年に低くなっているのは何か原因があるのか。
(回答: 保護局から特に指示を出したということはない。過剰収容とも直接の関係はないと思う。)
・  仮釈放の基準として「社会の感情」というものが挙げられているが,被害者感情のほかにどのようなものがあるのか。
(回答: 重大な事件の場合には検察官の意見を聞くことがあるし,保護司から地域の感情等を聞くことがある。)
イ  意見交換
・  仮釈放の手続が煩雑になっている上,仮釈放を認めた場合の再犯のことを考えるなどして,仮釈放に消極的になっているのではないか。
・  環境調整に時間を要するという説明があったが,面会時間が30分と制限されていることによって家族との絆が弱くなっているのではないか。
・  仮釈放が所内の秩序維持のための制度になってしまっているのではないか。
・  現行の制度上,保護局が受け身になるということがあるにしても,矯正局と保護局との間で,現状を踏まえてしっかり協議してもらいたい。例えば,刑務所に常駐する保護観察官の数を増やすなどすれば,両局間で連絡が密になり,保護局サイドからも積極的に運用することが可能になるのではないか。
・  仮釈放の事務負担を軽減することが必要であり,作成する調査書などもできる限り簡素化することが必要ではないか。
(2)  懲役刑と禁錮刑の単一化について(意見交換)
・  昭和40年代に刑法改正が議論された際には,懲役刑と禁錮刑の単一化は大きなトピックであったが,神学論争になるおそれがある。
・  この問題は刑法改正に関係する問題であり,正面から議論することは行刑改革会議の役割を超えることになる。
・  禁錮刑受刑者のほとんどが作業を行っている現状からすると,懲役刑と禁錮刑との間で実質的な差異はなくなっている。処遇としての労役の在り方に見直すべき点がないか,工夫すべき点がないか考えるべきであり,これまで議論しているように,作業のみではなく,教育や治療に時間を割くべきではないか。
(3)  処遇制度の見直しについて(第2ラウンド)
ア  矯正局矯正調査官から,別添資料2【PDF】に基づき説明したところ,以下のとおり質疑がなされた。
・  特別な教育プログラムは強制的に行わせることができるのか。
(回答: 刑務作業ではないので,強制的に行わせることはできない。入所時のオリエンテーションの際に説明したり,個別的に誘うなどして参加を呼びかけている。)
・  覚せい剤のプログラムの対象者はどのような者か。
(回答: 自己使用者である。)
・  特別のプログラムの実施状況はどのような段階か。
(回答: 性犯罪者に対するプログラムなどはまだまだ検討過程である。カリキュラムや指導内容などを検討して多くの施設に広めようと考えている。)
・  盗癖がある者にはどのようなプログラムが考えられるのか。
(回答: 盗犯の場合,価値観の問題があるので,価値観を矯正するようなプログラムが考えられる。)
・  医療センター構想の中には,薬物中毒者に対する特別プログラムの実施は含まれていないのか。
(回答: まだ煮詰めて検討していないが,含める可能性はある。)
イ  意見交換
・  このようなプログラムを実施するためには,指導にあたる教官,技官,医師,外部の専門家などの人員が必要であることを強調すべき。
・  薬物中毒者に対するプログラムなどは,離脱のためのリハビリであり,希望者のみではなく,義務的なものとすべきである。現行法で義務化することができないのであれば,法改正を考えるべきである。
・  数が多くないとしても,性犯罪者についても,精神医学的,先端的科学の見地からのプログラムが必要である。
・  薬物の乱用により心身に障害のある者は,潜在的な者も含めれば相当数いるはずであり,このような者については,特化したプログラムを実施するべきであるし,そのためには,せめて薬物中毒者については集禁して処遇すべきである。
・  集禁することは難しいかもしれないが,性犯罪者や暴力団関係者についても特化した教育・処遇を考えるべき。
・  外国人受刑者については,社会復帰のためのプログラムを実施することに余り意味はないので,積極的に移送の交渉を進めるべきである。
・  薬物中毒者や性犯罪者に対する教育を充実させていくことにより,そのような処遇をしたいと考える刑務官も出てくるのではないか。保安中心の刑務官という姿が変わる可能性もある。
・  教育を充実させていくためのスペースや人員の確保,医療との連携は大切である。
(4)  その他
 井嶋委員から要望のあったアンケート結果についての補充的分析結果について,別添資料3【PDF】を提出して概要を説明した。

6  今後の日程等

 次回は12月1日(月曜日)午後2時開催とする。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-
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