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法定受託事務に関する訴訟の報告制度

Q&A

Q1 第1号法定受託事務に関する訴訟についての法務大臣への報告制度とは,どのようなものですか?

A 地方公共団体の行政庁を当事者または参加人とする第1号法定受託事務に関する訴訟について,法務大臣は,当該地方公共団体に対し,法定受託事務に関する法令等の解釈や参考判例,具体的な主張・立証の方法などについて技術的な助言,勧告,資料提出の要求および指示をすることができることとされました(国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(法務大臣権限法)6条の2第3項)。
 また,法務大臣は,当該訴訟の結果が,国の利害を考慮して必要があると認めるときは,法務局訟務部または地方法務局訟務部門の職員等にその訴訟を行わせることができることになりました(法務大臣権限法6条の2第4項)。
 このようなことから,上記の訴訟については,地方公共団体は,法務大臣(法務局訟務部又は地方法務局訟務部門)に対し,直ちに報告を要することとされました。
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Q2 地方公共団体が法務大臣に対して報告を要するのは,どのようなときですか?

A 地方公共団体が法務大臣に対して報告を要するのは次のときです。
○地方公共団体の行政庁を当事者とする第1号法定受託事務に関する訴訟が提起されたとき
○地方公共団体の行政庁が訴訟に参加しようとする場合において,その訴訟の争点が第1号法定受託事務の処理に関するものであるとき
○地方公共団体の行政庁を当事者とする第1号法定受託事務に関する調停事件,行政事件訴訟法に定める執行停止申立事件が提起されたとき,または第1号法定受託事務に関する非訟事件の申立てをしようとするとき
(参考)
国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律
6条の2第1項
 地方公共団体の行政庁を当事者とする第一号法定受託事務に関する訴訟が提起されたときは,当該地方公共団体は,法務大臣に対し,直ちに,その旨を報告しなければならない。
6条の2第2項
 地方公共団体の行政庁が訴訟に参加しようとする場合において,当該訴訟の争点が第一号法定受託事務の処理に関するものであるときは,当該地方公共団体は,法務大臣に対し,あらかじめ,訴訟に参加する旨を報告しなければならない。
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Q3 地方公共団体の行政庁を当事者とする第1号法定受託事務に関する訴訟とは?

A 例えば,第1号法定受託事務である生活保護の決定・実施に関する事務について,生活保護受給申請拒否処分をした市町村長等に対する当該拒否処分の取消訴訟が提起された場合などです。このような第1号法定受託事務に関する訴訟については,その結果が全国の同様の事務の処理,ひいては国の利害にも影響を及ぼすことから法務大臣の関与の必要性が認められたものです。
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Q4 地方公共団体の行政庁が訴訟に参加しようとする場合とは?

A 例えば,私人間の所有権移転登記手続請求事件において,いわゆる争点訴訟として,第1号法定受託事務である都道府県知事の行った農地に関する権利の設定・移転等の許可の効力が争われている場合に,行政事件訴訟法23条の規定により当該知事が訴訟に参加しようとする場合などです。
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Q5 地方公共団体の行政庁が非訟事件の申立てをしようとする場合とは?

A 例えば,第1号法定受託事務である宗教法人の解散命令の申立てについて,都道府県知事が,裁判所に対し,宗教法人法81条1項及び7項の規定により,非訟事件手続法の定めるところにより,申立てをしようとする場合などです。
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報告の方法

 地方公共団体は,法務大臣への報告を,次の事項を記載した書面に訴状の写しを添付して,当該地方公共団体の所在地を管轄区域とする法務局・地方法務局に対して行います。
(1) 訴訟が提起された旨
(2) 訴訟を実施する担当職員及びその所属部局名,電話連絡先など
御不明の点は,法務局・地方法務局におたずねください。

地方公共団体の事務に関する訴訟の実施請求について

 地方公共団体は,国とは別個の法人ですから,地方公共団体を当事者または参加人とする訴訟については,当該地方公共団体が独自に処理することが原則です。しかし,地方公共団体を当事者または参加人とする訴訟の中には,その結果により国の財政に負担を生じるものや国の行政目的の遂行に支障を及ぼすものなど,国の利害に関係のあるものがあります。そのため,地方公共団体は,一定の要件と手続が必要となりますが,これらの訴訟について,法務大臣に対し,法務局訟務部・地方法務局訟務部門の職員に訴訟活動を行わせることを請求することができます(法務大臣権限法7条1項)。
 第1号法定受託事務の処理に関する地方公共団体を当事者または参加人とする訴訟についても,上記の法務大臣権限法7条1項の請求をすることができます。