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インターネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会中間取りまとめ

 近年、SNSの普及に伴い、インターネット上の誹謗中傷が重大な社会問題となっています。
 法務省の人権擁護機関では、こうした被害を未然に防ぐための啓発活動や、被害を受けた方からの相談を受け、違法な投稿についてプロバイダ事業者に対して削除要請を行うなどの取組を行っており、プロバイダ事業者においても、約款等に基づく投稿の削除や、投稿制限等のサービス設計上の工夫など、様々な取組が進められています。
 こうした中、法務省の人権擁護機関やプロバイダ事業者が行う誹謗中傷の投稿の削除に関する取組に資するよう、法的な問題を整理する目的で、令和3年4月、公益社団法人商事法務研究会に、インターネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会(座長 宍戸常寿東京大学大学院法学政治学研究科教授)が設けられ、法務省人権擁護局も関係行政機関として参加しています。
 
 この検討会においては、いわゆる「ヘイトスピーチ」を含むインターネット上の様々な表現類型について、その違法性や削除に関する法的基準等が検討され、令和4年1月、それまでの議論を整理した「中間取りまとめ」が公表されました。
 「ヘイトスピーチ」については、民事上の救済(投稿の削除)の観点から、「ヘイトスピーチ」がどのような人格権を侵害するものなのか、「ヘイトスピーチ」が集団に向けられた場合に個人の人格権が侵害されたということができるのかといった法的な救済に関する点や、プロバイダ事業者の約款等による自主的な対応の在り方について議論され、その結果が中間報告書の中で取りまとめられています。
 具体的には、まず、「ヘイトスピーチ」が個人に向けられた場合には、名誉権、名誉感情、私生活上の平穏といった人格権を侵害し得るものであるとされました。その上で、こうした「ヘイトスピーチ」は、集団に向けられた場合であっても、集団等の規模、構成員の特定の程度によっては、個人の人格権の侵害が認められ得るものとされました。
 また、個人の人格権を侵害するとはいえない「ヘイトスピーチ」であっても、中には被害者に深刻な精神的苦痛を与えるものがあるといった考慮から、いわゆるヘイトスピーチ解消法第2条の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に該当するものなどについては、削除依頼や法務省の人権擁護機関からの情報提供を受けたプロバイダ事業者は、約款等に基づく自主的な対応を積極的に行うことが期待されるものとされました。
 
 今後は、令和4年2月18日まで行われた意見募集の結果を踏まえ、最終取りまとめに向けて、更に議論が行われることとなっています。法務省の人権擁護局としては、表現の自由に十分配慮しつつも、救済されるべき者が適切に救済を受けられるように、引き続き、積極的に議論に参加していきます。