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ヘイトスピーチ解消法施行から9年

9年前の平成28年6月3日、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されました。

9年前を振り返ると、特定の民族や国籍の人々に対する、不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチを伴う街頭宣伝活動が公然と行われるとともに、その様子が関連する団体のインターネット上のウェブサイト等で宣伝されるなど、社会の大きな注目を集め、その状況は国際社会からも懸念が示されていました。そうした背景の下で成立したヘイトスピーチ解消法は、ヘイトスピーチは許されるものではないという、社会全体の基本的なルールを示す上で、重要な一歩となりました。

この法律に基づき、法務省をはじめとする関係省庁や地方公共団体では、ヘイトスピーチの解消に向けた様々な取組を進めてきました。法務省の人権擁護機関では、ヘイトスピーチは許されないものであるという認識を広めるための広報・啓発活動を積極的に展開しています。具体的には、ポスターやリーフレット、啓発動画などを制作し、広く配布・公開しています。また、法務省の人権擁護機関に設置している相談窓口では、ヘイトスピーチの被害に遭われた方々からの相談に応じ、必要な情報提供や支援を行っています。

  啓発活動の一例(ポスタージャック(集中掲示)の実施)

法律が制定されてから9年が経過した現在においても、ヘイトスピーチが完全に社会から消え去ったとはいえません。街頭での過激なデモは減少傾向にあるものの、インターネット上では、依然として不当な差別的言動を目にすることも少なくありません。

ヘイトスピーチは、特定の個人や集団の尊厳を深く傷つけるだけでなく、社会の分断を助長する行為です。ヘイトスピーチを根絶し、誰もが安心して暮らせる社会を実現するためには、法務省をはじめとする関係機関の不断の努力はもちろんのこと、皆さん一人一人の意識改革が不可欠です。なぜヘイトスピーチが許されないのか、それが社会にどのような悪影響を及ぼすのかを改めて考えてみませんか。

9年という歳月は、ヘイトスピーチの解消に向けた道のりの、まだ途中にすぎません。これまでに積み重ねてきた取組を土台として、今後も、ヘイトスピーチのない、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、ともに歩んでいきましょう。