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「平成24年版犯罪白書」について

犯罪白書

○ 犯罪白書とは?

犯罪白書は,刑事政策に関する基礎資料として,昭和35年以来,毎年発刊されています。犯罪の動向や犯罪者の処遇などについて紹介するとともに,犯罪対策を検討するための基礎的な資料としての役割を担っています。

○ 治安情勢はどうなっている?

刑法犯の認知件数(図1参照)は,平成14年に戦後最高を記録しましたが,近年は減少傾向にあります。

刑法犯 認知件数・検挙率の推移

しかし,戦後を通じてみればまだ相当高い水準にあるばかりでなく,再犯の状況(図2参照)が示すように,一般刑法犯(刑法犯全体から自動車運転過失致死傷等を除いたもの)の検挙人員については,再犯者率(検挙人員に占める再犯者の人員の比率)が上昇しています。

○ 再犯者率が上昇しているのは,再犯者の人員が増加して,治安が悪化しているということ?

一般刑法犯検挙人員中の再犯者人員・再犯者率の推移

再犯の状況(図2参照)からは,近年,初犯者と再犯者が共に減少しつつあり,初犯者の減り方に比べ再犯者の減り方が鈍いことが分かります。このように,再犯者率の上昇だけをもって治安が悪化したと判断はできませんが,効果的な再犯防止対策を推進することは重要だと考えられます。

○ 昨年7月に犯罪対策閣僚会議(首相官邸ホームページ)が策定した「再犯防止に向けた総合対策」(法務省ホームページ)との関連は?

「再犯防止に向けた総合対策」では,社会における刑務所出所者等の「居場所」と「出番」を作ることが重要とされています。今回の犯罪白書の特集「刑務所出所者等の社会復帰支援」は,「居場所」と「出番」の確保の中心となる就労や住居確保等に焦点を当て,民間を含めた取組の実情を紹介し,保護司と受刑者・少年院在院者に対して社会復帰で直面する課題と必要な支援等について特別調査を実施するなど,この対策を考える上で参考となる内容となっています。

○ もっと犯罪白書の内容を知りたいのですが,どこで入手できますか?

政府刊行物サービス・センターなどで購入できるほか,法務省のホームページでも閲覧できます。販売されている近年の犯罪白書には,各図表の作成に用いた数値などが収録されたCD-ROMが付いているほか,日本語版の発刊後は,英語版が作成され,法務省のホームページに掲載されていますので,こちらも併せて御活用ください。

平成25年版「内外情勢の回顧と展望」について

公安調査庁は,「破壊活動防止法」や「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(団体規制法)に基づき,オウム真理教に対する観察処分を実施するなど,団体の規制及び規制のための調査を行うとともに,我が国の情報コミュニティの一員として,国際テロや北朝鮮情勢など国内外の情報の収集・分析に取り組んでいます。

「内外情勢の回顧と展望」(平成25年版)は,平成24年における内外公安動向を回顧し(11月末現在),今後を展望したものです。

以下に,その主なポイントを紹介します。

なお,「内外情勢の回顧と展望」の全文は,公安調査庁のホームページに掲載していますので,併せてご活用ください。

○ 北朝鮮

北朝鮮は,2011年(平成23年)12月の金正日キム・ジョンイル 総書記死去を受け,三男の金正恩キム・ジョンウン 第1書記を中心とする新たな体制を発足させました。金第1書記は,「先軍政治」の踏襲を鮮明にしながら,食糧生産や首都整備に力を注ぐとともに,経済運営の改革に関する政策検討にも取り組みました。対外的には,核・ミサイル問題をめぐり米国との間で成立した「2.29合意」にもかかわらず,「人工衛星」と称するミサイルの発射を強行したほか,米国の対北朝鮮「敵視政策」への非難や,「核抑止力」の強化を進めていく旨の主張を繰り返しました。

○ 中国

中国は,我が国政府による尖閣諸島の取得・保有をめぐり,国際社会での対日批判や公船の海域派遣を執拗に繰り返すなど激しく反発し,文化交流の停止など過去には見られないほどの強硬姿勢を示しました。南シナ海においても,係争国との間で摩擦事案を繰り返すなど海洋権益確保のための強硬姿勢を顕在化させました。国内では所得格差の拡大や汚職腐敗問題などの社会矛盾が噴出し,牽引力であった経済成長にも陰りが見える中,第18回党大会が開催され習近平しゆうきんぺい 新指導部が発足,民生改善や治安管理強化による社会秩序の安定を企図するものとみられます。

○ 国際テロ

国際テロに関しては,「アルカイダ」中枢は弱体化するも,アラブ諸国での影響力確保を企図しています。また,その関連組織などがテロを継続している上,"一匹狼"テロリストも新たな脅威となっています。

○ オウム真理教

オウム真理教は,主流派が"麻原回帰"路線に基づき,信徒に対し,麻原への絶対的帰依を扶植する指導を行うとともに,信徒の管理・統制を強化しました。また,組織を挙げて勧誘活動を展開し,多数の新規信徒を獲得しました。

他方,上祐派は,"麻原隠し"路線を貫き,各種メディアを活用して,「脱麻原」を宣伝する一方,麻原の修行を特徴付けていたイニシエーションと同種の儀式を実施しました。このほか,インターネットを利用した布教・勧誘活動なども行いました。

以上

内外情勢の回顧と展望