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ベトナム司法制度共同研究を実施しました!

法務総合研究所国際協力部では,2014年6月30日から7月4日までの日程で,ベトナム司法制度共同研究を実施しました。

どんなことをしたの?

ベトナムでは,2015年に刑法を改正する計画となっており,現在,その草案作りなどをしています。新しい刑法では,ハイテク犯罪や国際犯罪などこれまでの刑法では対応できなかった問題や犯罪者の更生のための新たな方法を取り入れることを予定しています。

そこで,ベトナムが新しい刑法を作る上で,日本の知識や経験を参考にしてもらうため,改正作業の中心メンバーである前司法省次官のホアン・テェ・リエンさん,国会司法委員会副委員長のレ・ティ・ガーさんなど8名の研究員に参加してもらい,日本の専門家による講義や意見交換を行いました。

意見交換会の様子の画像

意見交換会の様子

どんな内容だったの?

日本側からは,元最高裁判所判事である古田佑紀先生のほか,法務省や最高検察庁から,そのテーマに精通した専門家に参加してもらい,ベトナムが改正を予定しているテーマについて,講義と意見交換を行いました。

今回の共同研究で取り上げたテーマは,刑法の理論に関するものや,犯罪防止の国際条約に関するものなど様々な分野に及んでいましたが,どのテーマにおいても議論は盛り上がり,大変実りのあるものになりました。

特に,古田先生による「日本の刑法と特別刑法」という講義では,犯罪を刑法という一つの法律にすべてまとめるか,それとも,いくつかの法律に分けて規定するかという点について詳しい説明がありましたが,ベトナム側では意見が割れているテーマだったらしく,その後の意見交換においても,私たちもはらはらするほど,国会や司法省などそれぞれの立場からの議論が白熱していました。

(古田先生の講義の内容などについては,法務総合研究所国際協力部のホームページで,講義録等を公開する予定です。)

古田佑紀先生による講義の画像

古田佑紀先生(元最高裁判事,元次長検事)による講義

これからはどのようなことをするの?

今回の共同研究では,今後の日本との協力についても話し合われました。国際協力部では,今後も2015年の刑法改正に向けて支援を行うことを予定しています。

ベトナムでは,今回の講義や意見交換で得た知識などを活かして,今後も刑法の草案作りを進めていきますが,今回の講義や意見交換の内容が,今後,改正される刑法に反映されることも期待されています。

これからのベトナムとの関係は?

法務省は,1994年からベトナムに対する法整備支援を行っており,現在は,国際協力機構(JICA)が実施する法整備支援プロジェクトに全面的に協力しています。

これまでに,ベトナムの民法,民事訴訟法,刑事訴訟法などの重要な法律の改正に大きな成果をあげてきたので,今回のベトナムの刑法改正においても,日本による支援が要請されました。

ベトナムは,法治国家の建設のため,2020年をゴールとした司法改革を行っており,現在行われている法整備支援プロジェクトも,ベトナムが進める司法改革に大きな貢献をしています。

法務総合研究所は,法整備支援プロジェクトや法務省独自の支援を通じて,引き続き,ベトナムの司法改革に協力していきます。

研究員との記念撮影の画像

研究員との記念撮影

(法務総合研究所国際協力部)