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法制度整備支援の現場から
〜ラオスに合った法律実務家の育て方を考えよう!〜

皆さん,ラオスという国を御存じですか?最近,村上春樹さんの本の題名になったことで御存じの方,あるいは京都市動物園にラオスから4頭のゾウさんが贈られたことで御存じの方がいらっしゃるかもしれません。ラオスは,インドシナ半島の中心にあり,周りを陸地で囲まれた海のない本州くらいの大きさの国土に,約689万人の人たちが住む小さな国です。今,私たちのプロジェクトでは,ラオスで質の高い法律実務家(裁判官,検察官,弁護士)をどうやって育てるかを議論しています。

ラオスでは,最近まで,裁判官,検察官,弁護士のタマゴを,別々の機関で育成していましたが,平成27年(2015年)1月,国立司法研修所という機関が設立され,日本のように法律実務家を目指す人たちを一括して育成するシステムが始まりました。法律実務家の育成プロセスは国によって様々ですが,ラオスでは,法律実務家を統一的に養成する日本の制度が大いに参考になると考えて,このシステムを採用しました。

しかし,育成プロセスを変えただけでは質の高い法律実務家を育成することはできません。実は,ラオスでは,まだ,法律の理論や使い方を学ぶための教材が十分でなく,教え方も成熟していません。また,大学法学部での教育,国立司法研修所での教育,裁判官,検察官,弁護士になってからの教育が一連のプロセスとして連動していないのが現状です。

そこで,私たちのプロジェクトでは,ラオスの大学の先生,裁判官,検察官,国立司法研修所の関係者の人たちが中心となり,ラオスに常駐している私たち日本の検事と弁護士を中心とする専門家チームが協力し,大学・国立司法研修所・実務の教育機関でそれぞれどのような教育を行うべきか,教材をどうやって開発するのか,どのような教え方が効果的かなどを研究・検討しています。

そのときに大事なのは,たとえ研究や検討に時間がかかっても,ラオスの実情に合ったものをラオスの人たちの手によって作り上げるということです。なぜなら,そうすることが,近い将来,ラオスの人たちだけの力で,法律実務家の育成システムの改善等を続けられるようになることにつながるからです。

このような日本の法整備支援のやり方は,ラオスでも高く評価を受けています。

(ラオス長期派遣専門家 須田 大)

平成27年(2015年)10月7日国立司法研修所開所式の様子

平成27年(2015年)10月7日国立司法研修所開所式

教育研修改善サブワーキンググループ協議の様子

教育研修改善サブワーキンググループ協議風景